2つのカバレージ、あるいは赤狂徒から見たPTと今後
2016年10月19日 スタンダード コメント (2)前口上
決勝:八十岡 翔太(日本) vs. Carlos Romao(ブラジル)
http://coverage.mtg-jp.com/ptkld16/article/017840/
金子さんの熱い想いが伝わってくる素晴らしいカバレージ。多くの人は既に読了しているかと思いますが、まだの人は動画で見たからいいやと言わずに是非読むべきそうすべき。
で本題はこちら
プロツアー『カラデシュ』現地レポート 2日目・3日目編
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/3445
金子さんの記事に負けず劣らず熱い記事なのですが、こちらはプロがどう環境を読んで構築したかが主となっています。
詳しい内容は読んでいただくとして、この記事を基に今回のPTと今後の環境について整理。
■分類
共通認識のためにまずは大まかな分類をば。
ビートダウン:機体・人間
ミッドレンジ:各種ジャンク・昂揚・青白・マッドネス
コンボ:霊気池・打撃体・巨像・現出
コントロ―ル:ジェスカイ・グリクシス・赤青
各デッキ毎に
■機体
・赤白
基本形。スタン7-2-1でTOP8に進出したベン・ハルのリストはオーソドックスなタイプだが、赤白型としては最高成績(8-1-1)を収めたリード・デュークはメインにスカイソブリンの代わりにアヴァシンを採用している。赤白の問題点として、機体がデッキの核であるため、機体を除去されるとパワーとテンポを著しく損なうという問題がある。
・マルドゥ
《屑鉄場のたかり屋》と《無許可の分解》を使うために黒にも触ったタイプ。オリジナルの赤白が機体を丁寧に除去されるとテンポも打撃力も損なってしまうのに対して、マルドゥ型は機体に依らないビートも可能になっている。
・4C
メインの基本コンセプトはマルドゥと同じで、サイド後は青のカウンターを使えるタイプ。《耕作者の荷馬車》は速攻トランプルこそ付いていないものの、3マナと軽いうえに5/5というサイズが除去にも強く、色事故も緩和してくれるという優れもの。青を使う最大の理由は対コンボで、素早く殴り切れずとも、打ち消しで時間稼ぎをすることが出来る。斎藤プロは「最速」と述べているが最速ではない。
・トークン
機体系の中では一番成績が良い(8-0-2)。トークンというと様々なイメージが浮かぶが、設計思想としてはモダンのZooが最も近い。すなわち軽い優良クリーチャーで高速ビートを仕掛け、機体やギデオンで蓋をする。機体の中で最も速く、それを可能にしているのは4枚の《無謀な奇襲隊》。今後はこの高速型と4Cの万能型が機体の主流になるのではないかと思う。ちなみに八十岡選手がスタンで唯一負けたデッキです。
[速]←トークン―4C・マルドゥ―赤白→[遅]
■ミッドレンジ
・昂揚
動きが比較的安定している。コントロールに強いが、持ち込んだプロたちがそれを意図したかというと疑わしい。コンボには干渉できず、ビートダウンには殴り倒されるという二重苦で、それを反映してか大会初日には全体の13%が使用し霊気池に次いで2番目に多い使用率を誇ったが、2日目には12%に減り、TOP8には誰も残らなかった。
・マッドネス
こちらも昂揚と似たようなもので、機体ビートには追い付かず、コンボ相手には干渉手段がない。さらに昂揚より安定性に欠け、PWも採用していないので、コントロールに有利が付かない。
・青白
スタンラウンドの隠れた勝者。スタンラウンド最高成績の9-1を4つの青白が独占している。対コンボは打消しがあり、ビートダウンには殴り切られるリスクがあるものの、ギセラが残れば絆魂でリカバリーが可能。最大の敵である闇の掌握の採用数が減ったことにより、アヴァシンや無私の霊魂の破壊不能を有効活用できるようになった。
■コンボ
・霊気池
4ターン目エムラorウラモグできる大人気ガチャ。霊気池は鶴で探せるのでハンデスに強く、ブン回ればビートダウンよりも速いというコンボオブコンボ。反面カウンターに滅法弱く、サイド後は霊気池側も払拭などのカウンター対策を入れるものの、それを見越した呪文捕らえに悶絶させられることが多い。最大勢力だったが、多くのプレイヤーに対策され苦しい戦いを強いられた。
・打撃体
パンプ+二段攻撃によるワンショットキルを狙うデッキ。ティムールの激闘入り果敢デッキのような挙動をする。コンボが揃わなくとも、トランプルとパンプスペルで殴り勝つプランを取れる。丁寧にクリーチャーを除去されると厳しい。
・現出
なぜコンボかはhttp://team-cygames.com/2016/10/17/2405/参照。ミッドレンジ気味のコンボなのでコンボとしては中途半端、ミッドレンジとしては安定性に欠けるという結果に。
■コントロール
・青赤
除去コン。電招の塔を置いて軽いドローや除去を連打し焼き勝つデッキ。サイドには追加のフィニッシャーとして二ブリスと氷の中の存在が各4枚採用されている。他のコントロールと違って、終盤に塔を引いても即攻勢に出られないのが心細い。
・ジェスカイ
アヴァシンや燻蒸を使える。
・グリクシス
みんなしってるね。
■PTメタレベル
Level 1(環境の前提):ビートダウン
Level 2(1をメタったデッキ):コンボ
Level 3(2をメタったデッキ):コントロール
■相性
一般論ではなくこの環境での相性
・ビートダウン 有利:コントロール・ミッドレンジ 不利~互角:コンボ
・ミッドレンジ 有利:コントロール 不利:ビートダウン・コンボ
・コンボ 有利:ミッドレンジ 互角~有利:ビートダウン 不利:コントロール
・コントロール 有利:コンボ 不利:ビートダウン・ミッドレンジ
■明暗
勝ち組:機体・コントロール・青白ミッドレンジ
負け組:コンボ・ミッドレンジ・その他ローグ
・機体
勝因:初日メタゲームでは9.2%、2日目は9.56%で、トップ8には3人を送り出し、Level1(環境の基準=絶対対策される)のアーキタイプでありながら大健闘をしている。SCGの優勝リストからさらに進化しているのが勝因。リーシータン達の共有した4Cはさらなる速度とカウンターによる対コンボ耐性を備えているし、赤白トークンは奇襲隊を使用することで環境最高速度と復帰力、回転翼機に頼らない勝ち筋を手に入れている。
今後:プレイが難しいコントロール、安定しないコンボと比べると分かりやすく強いので使用者は増える。そしてこれからの機体は速さを求めるべきだと思う。具体的にはアヴァシンやソブリンといった5マナ以上の重いスペルはメインでは採用しない方が良い。ただでさえ干渉手段が少ないが故にコンボに弱いのに、速度でも負ける必要はない。
・コントロール
勝因:コンボに強く、対機体も微不利ではあるものの、大量のインスタント除去により普通に戦えるレベル。
今後:カモだったコンボが減ると思われるので、ミッドレンジやより速くなったビートダウンに対応できるかが鍵。
・青白ミッドレンジ
勝因:正直よくわかんないです…青が入っているのでコンボに強いのは分かるんですが…
今後:増える(雑)
・コンボ
敗因:安定しない、勝ち筋が少ない(霊気池)、対策が容易
今後:絶対的に改良が必要。現状維持だとただのカモ。ブン回りの強さはピカイチなのでほんの少しの改善で化ける可能性がある。
・ミッドレンジ
敗因:アンフェアデッキに勝てない、ビートダウンに追い付けない
今後:ビートダウンに対しては絆魂で粘れば良いが、コンボに対してどれだけ耐性を上げられるか。コントロールに強いので数は増えると思われる。
■結論:メタは混沌
結局PTでは弱いデッキが幾つか炙り出されたものの、一強ではなく、どの強いデッキも弱点を抱えている。
弱いデッキもメタの変化や調整によって再びTier1に躍り出る可能性が十分にあるし、依然として環境は混沌としている。
最速のデッキ及びコンボデッキというボトムラインは示されたので、そこからどう構築するか。
うーんこの竜頭蛇尾。
ま、まぁ文章化することに意味があるから…
決勝:八十岡 翔太(日本) vs. Carlos Romao(ブラジル)
http://coverage.mtg-jp.com/ptkld16/article/017840/
金子さんの熱い想いが伝わってくる素晴らしいカバレージ。多くの人は既に読了しているかと思いますが、まだの人は動画で見たからいいやと言わずに是非読むべきそうすべき。
で本題はこちら
プロツアー『カラデシュ』現地レポート 2日目・3日目編
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/3445
金子さんの記事に負けず劣らず熱い記事なのですが、こちらはプロがどう環境を読んで構築したかが主となっています。
詳しい内容は読んでいただくとして、この記事を基に今回のPTと今後の環境について整理。
■分類
共通認識のためにまずは大まかな分類をば。
ビートダウン:機体・人間
ミッドレンジ:各種ジャンク・昂揚・青白・マッドネス
コンボ:霊気池・打撃体・巨像・現出
コントロ―ル:ジェスカイ・グリクシス・赤青
各デッキ毎に
■機体
・赤白
基本形。スタン7-2-1でTOP8に進出したベン・ハルのリストはオーソドックスなタイプだが、赤白型としては最高成績(8-1-1)を収めたリード・デュークはメインにスカイソブリンの代わりにアヴァシンを採用している。赤白の問題点として、機体がデッキの核であるため、機体を除去されるとパワーとテンポを著しく損なうという問題がある。
・マルドゥ
《屑鉄場のたかり屋》と《無許可の分解》を使うために黒にも触ったタイプ。オリジナルの赤白が機体を丁寧に除去されるとテンポも打撃力も損なってしまうのに対して、マルドゥ型は機体に依らないビートも可能になっている。
・4C
メインの基本コンセプトはマルドゥと同じで、サイド後は青のカウンターを使えるタイプ。《耕作者の荷馬車》は速攻トランプルこそ付いていないものの、3マナと軽いうえに5/5というサイズが除去にも強く、色事故も緩和してくれるという優れもの。青を使う最大の理由は対コンボで、素早く殴り切れずとも、打ち消しで時間稼ぎをすることが出来る。斎藤プロは「最速」と述べているが最速ではない。
・トークン
機体系の中では一番成績が良い(8-0-2)。トークンというと様々なイメージが浮かぶが、設計思想としてはモダンのZooが最も近い。すなわち軽い優良クリーチャーで高速ビートを仕掛け、機体やギデオンで蓋をする。機体の中で最も速く、それを可能にしているのは4枚の《無謀な奇襲隊》。今後はこの高速型と4Cの万能型が機体の主流になるのではないかと思う。ちなみに八十岡選手がスタンで唯一負けたデッキです。
[速]←トークン―4C・マルドゥ―赤白→[遅]
■ミッドレンジ
・昂揚
動きが比較的安定している。コントロールに強いが、持ち込んだプロたちがそれを意図したかというと疑わしい。コンボには干渉できず、ビートダウンには殴り倒されるという二重苦で、それを反映してか大会初日には全体の13%が使用し霊気池に次いで2番目に多い使用率を誇ったが、2日目には12%に減り、TOP8には誰も残らなかった。
・マッドネス
こちらも昂揚と似たようなもので、機体ビートには追い付かず、コンボ相手には干渉手段がない。さらに昂揚より安定性に欠け、PWも採用していないので、コントロールに有利が付かない。
・青白
スタンラウンドの隠れた勝者。スタンラウンド最高成績の9-1を4つの青白が独占している。対コンボは打消しがあり、ビートダウンには殴り切られるリスクがあるものの、ギセラが残れば絆魂でリカバリーが可能。最大の敵である闇の掌握の採用数が減ったことにより、アヴァシンや無私の霊魂の破壊不能を有効活用できるようになった。
■コンボ
・霊気池
4ターン目エムラorウラモグできる大人気ガチャ。霊気池は鶴で探せるのでハンデスに強く、ブン回ればビートダウンよりも速いというコンボオブコンボ。反面カウンターに滅法弱く、サイド後は霊気池側も払拭などのカウンター対策を入れるものの、それを見越した呪文捕らえに悶絶させられることが多い。最大勢力だったが、多くのプレイヤーに対策され苦しい戦いを強いられた。
・打撃体
パンプ+二段攻撃によるワンショットキルを狙うデッキ。ティムールの激闘入り果敢デッキのような挙動をする。コンボが揃わなくとも、トランプルとパンプスペルで殴り勝つプランを取れる。丁寧にクリーチャーを除去されると厳しい。
・現出
なぜコンボかはhttp://team-cygames.com/2016/10/17/2405/参照。ミッドレンジ気味のコンボなのでコンボとしては中途半端、ミッドレンジとしては安定性に欠けるという結果に。
■コントロール
・青赤
除去コン。電招の塔を置いて軽いドローや除去を連打し焼き勝つデッキ。サイドには追加のフィニッシャーとして二ブリスと氷の中の存在が各4枚採用されている。他のコントロールと違って、終盤に塔を引いても即攻勢に出られないのが心細い。
・ジェスカイ
アヴァシンや燻蒸を使える。
・グリクシス
みんなしってるね。
■PTメタレベル
Level 1(環境の前提):ビートダウン
Level 2(1をメタったデッキ):コンボ
Level 3(2をメタったデッキ):コントロール
■相性
一般論ではなくこの環境での相性
・ビートダウン 有利:コントロール・ミッドレンジ 不利~互角:コンボ
・ミッドレンジ 有利:コントロール 不利:ビートダウン・コンボ
・コンボ 有利:ミッドレンジ 互角~有利:ビートダウン 不利:コントロール
・コントロール 有利:コンボ 不利:ビートダウン・ミッドレンジ
■明暗
勝ち組:機体・コントロール・青白ミッドレンジ
負け組:コンボ・ミッドレンジ・その他ローグ
・機体
勝因:初日メタゲームでは9.2%、2日目は9.56%で、トップ8には3人を送り出し、Level1(環境の基準=絶対対策される)のアーキタイプでありながら大健闘をしている。SCGの優勝リストからさらに進化しているのが勝因。リーシータン達の共有した4Cはさらなる速度とカウンターによる対コンボ耐性を備えているし、赤白トークンは奇襲隊を使用することで環境最高速度と復帰力、回転翼機に頼らない勝ち筋を手に入れている。
今後:プレイが難しいコントロール、安定しないコンボと比べると分かりやすく強いので使用者は増える。そしてこれからの機体は速さを求めるべきだと思う。具体的にはアヴァシンやソブリンといった5マナ以上の重いスペルはメインでは採用しない方が良い。ただでさえ干渉手段が少ないが故にコンボに弱いのに、速度でも負ける必要はない。
・コントロール
勝因:コンボに強く、対機体も微不利ではあるものの、大量のインスタント除去により普通に戦えるレベル。
今後:カモだったコンボが減ると思われるので、ミッドレンジやより速くなったビートダウンに対応できるかが鍵。
・青白ミッドレンジ
勝因:正直よくわかんないです…青が入っているのでコンボに強いのは分かるんですが…
今後:増える(雑)
・コンボ
敗因:安定しない、勝ち筋が少ない(霊気池)、対策が容易
今後:絶対的に改良が必要。現状維持だとただのカモ。ブン回りの強さはピカイチなのでほんの少しの改善で化ける可能性がある。
・ミッドレンジ
敗因:アンフェアデッキに勝てない、ビートダウンに追い付けない
今後:ビートダウンに対しては絆魂で粘れば良いが、コンボに対してどれだけ耐性を上げられるか。コントロールに強いので数は増えると思われる。
■結論:メタは混沌
結局PTでは弱いデッキが幾つか炙り出されたものの、一強ではなく、どの強いデッキも弱点を抱えている。
弱いデッキもメタの変化や調整によって再びTier1に躍り出る可能性が十分にあるし、依然として環境は混沌としている。
最速のデッキ及びコンボデッキというボトムラインは示されたので、そこからどう構築するか。
うーんこの竜頭蛇尾。
ま、まぁ文章化することに意味があるから…
コメント
ありがとうございます。拙い記事ですが…