https://note.mu/enokitake/n/n5064cdf1fb1f#Kjssi
1年(以上)ぶりの翻訳。
試験的にnote導入しました。画像ペタペタ楽しい。



余談1:grindyの訳難しい。本国でもgrindyって厳密にはどういう意味みたいな議論があるみたいで、そりゃ訳し辛いわなと。
余談2:カードのテキスト読めるように画像作ったものの、デッキリストの画像だけは圧縮でちょっと厳しくなってて悲しみ。サイドは大丈夫そうですが。
余談3:ヴァラの記事ってマジで少ないですよね。去年の春ごろチャネルに1本上がってはいたんですが、そっちは血編み型だったのでスルーしました(実際今誰も血編み入れてないし)。
余談4:サポート機能は切ってます。
みんな大好き金魚より。
原文:What Makes a Card Bannable in Standard? by SaffronOlive
https://www.mtggoldfish.com/articles/what-makes-a-card-bannable-in-standard

以下訳



 先週行われた、今年を締めくくるSCG Invitationalでは、2日目進出デッキの65%はティムールか4Cエネルギーで、75%が1ターン目に《霊気との調和》をキャストするデッキだった。これらの数字を見て、最初に頭に浮かんだのがカウブレードだった。当時のスタンダードは一つの最強デッキに支配された環境だった。カウブレードは基本的にはとてもフェアなデッキであり、同時に強力でもあったので、凄まじい使用率を誇った。65%を占めるティムールや4C、75%の調和は多く見えるかもしれないが、カウブレが禁止される前はGP2日目進出デッキの88%が2枚以上の神ジェイスを採用し、70%が石鍛冶を入れていた。
 そういう点ではエネルギーデッキはまだカウブレードほどではない(75%も十分凄いが、88%は高すぎて最早信じられないレベルだ)が、プレイヤーの興味は既に次のデッキやアーキタイプに興味が移っている。とはいえローテーションはまだまだ先だし、今のデータを見て、ウィザーズがエネルギーデッキに対して何らかのアクションを起こすだろうかと考えてもしょうがないように思える。とりわけ、6週間後にイクサランの相克がメタを動かせなかったとしたら尚更だ。
 とはいえ、エネルギーとその禁止の話が出るたび、決まって「確かにエネルギーはとても強力なデッキだけど、同時にフェアなデッキでもある」という指摘に突き当たる。エネルギーデッキは4ターンキルするわけでもないし、無限コンボでも、特定の壊れカードがあるわけでもない。他のデッキができないくらい山ほど強力なカードを詰め込んでいるだけだ。そしてまさにそれが理由で、さらに多くのプレイヤーが、スタン最強カード群を使えるエネルギーを使うようになっているんだ。
 つまりここで問題なのは、フェアデッキでも禁止されうるのか?ということだ。この問いにしっかり答えるためには、もう一段階上の問いに向き合う必要がある。それはスタンで禁止される要因とは何か?ということだ。ウィザーズが行う禁止で最高なのは、禁止する時は必ずその背景を説明する記事を公表してくれることだ。そこでちょっと古い告知を掘り出して、ウィザーズがスタンで禁止を出す理由を分析してみよう。というわけで今回は、ウィザーズがこれまで禁止する際に使った6つの理由を検証し、その後に今のエネルギーデッキはそれらの要件に当てはまるか照らし合わせてみるとする。そうすれば、将来禁止されるかどうか予想する助けになるだろうからね。



①やらかし 頭蓋骨絞め 守護フェリダー カウブレード

 スタンダードにおける禁止は、ウィザーズが自身の過ちを認めたということでもある。カードプ-ルが広すぎて全ての相互作用をテスト出来ないエターナルフォーマットと違い、スタンは広範囲にわたってテストされており、新しいセットを作る際のゴールの一つは、禁止されるほど強力なカードを刷らないというものだ(アーロン・フォーサイスがカウブレ禁止時の記事で述べている)。とはいえ、今回僕らはもっと具体的な「やらかし」案件を検証していく。
 つい忘れがちだが、ウィザーズ社員は現実の人間で、いくら彼らが安全策をとっているとはいえ、僕らと同じ人間だから時には間違いを犯す時もある。たまに決して印刷され日の目を見るべきではなかったカードを世に送り出してしまったりね。禁止改訂告知を読むと、この項目に明確に当てはまるカードは2つある。
頭蓋骨絞め (1)
アーティファクト — 装備品
装備しているクリーチャーは+1/-1の修整を受ける。
装備しているクリーチャーが死亡するたび、カードを2枚引く。
装備(1)((1):あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それにつける。装備はソーサリーとしてのみ行う。このカードはつけられていない状態で戦場に出て、クリーチャーが戦場を離れても戦場に残る。)

 《頭蓋骨絞め》のデザインの変遷は非常に興味深い。開発期間中、この装備品は変更を繰り返し、完全に安全な(それこそアンプレイアブルなほど弱い)カードから、禁止カードにまで変化した。初期デザインがあまりに弱かったので、誰もそのカードの経過を気に留めなかったんだ(例えば、生物のタフネスにマイナス修正を加えるテキストはデベロップの後期に加えられた)。そして何の前触れもなく、最高に壊れたカードがスタンダードに解き放たれた。
守護フェリダー (3)(白)
クリーチャー — 猫 ビースト
守護フェリダーが戦場に出たとき、あなたがコントロールする他のパーマネント1つを対象とする。あなたはそれを追放してもよい。そうしたなら、その後そのカードをオーナーのコントロール下で戦場に戻す。
1/4

 もう一つはより最近のカードだ。《守護フェリダー》。ウィザーズはこのカードが持つコンボを見落とした。最初は信じ難かったよ。なぜなら《修復の天使》のようなカードは無限コンボにならないような言葉遣いがされているからだ。しかし、《たなびき織りの天使》(訳注:カラデシュの6マナ天使。CIPで天使を含む他のクリーチャー1体ブリンクできる)にはこういった文言は無く、その数カ月後に、ウィザーズは単体で無限ブリンクするバージョンの人質取りを刷った(もっとも人質取りが問題を起こす前にウィザーズは問題を把握してエラッタを出したけどね)。これはすなわち、近年のセットにおいてウィザーズは無限コンボとなるとどうもマークが薄くなっているということだ。とにかく、ウィザーズはこの失態の責任を取ったし、コピーキャットのような無限コンボは、気付けていれば決して世に出さなかっただろうと言っている。加えて、このフェリダーの失敗(と幾つかの他の問題)によって、ウィザーズはフルタイムの熱心なプレイデザインチームを創設したようだ。守護フェリダーは間違いなく失敗カードだが、それによってウィザーズに変化が訪れたという意味で、長い目で見れば良い失敗だったと言えるだろう。



②圧倒的な支配率 カウブレ―ド(と一連のデッキ)

 禁止制限告知にはメタゲームにおける占有率がよく出てくるが、その数字の本当の意味を理解するのは実は非常に困難だ。「2日目進出デッキの88%が《精神を刻む者、ジェイス》を、同じく70%が《石鍛冶の神秘家》を使っていた」カウブレ禁止時、この数字は大々的に取り上げられた。環境に一つのデッキしかないというのは間違いなく健全ではない。しかし、これより小さい数字も禁止制限告知で言及されることがある。たしかに、親和のメタ占有率は禁止理由の一つではあったが、2003年当時の具体的なデータが乏しく、告知では他の要因に焦点を当てている。一方40%でもフェリダー禁止の理由になったし、《霊気池の驚異》禁止の際にも、43%という数字が言及された。しかしメタ占有率が40%というだけでは禁止はならない。というのも、これらの禁止には他の理由が同時に示されているからだ。
精神を刻む者、ジェイス (2)(青)(青)
伝説のプレインズウォーカー — ジェイス
[+2]:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーのライブラリーの一番上のカードを見る。あなたはそのカードを、そのプレイヤーのライブラリーの一番下に置いてもよい。
[0]:カードを3枚引く。その後、あなたの手札のカード2枚をあなたのライブラリーの一番上に望む順番で置く。
[-1]:クリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
[-12]:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーのライブラリーからすべてのカードを追放する。その後、そのプレイヤーは自分の手札を自分のライブラリーに加えて切り直す。
忠誠値3

 全ての禁止制限告知に目を通すと分かるが、確かにメタ占有率だけで禁止はあり得る(カウブレ)が、占有率だけを禁止理由にするには、本当に、本当に高い占有率でなければならないし、禁止の鉄槌を振り下ろす前にウィザーズは十分な時間をとると思われる(メタの動きとプレイヤーの反応をみるために)。とはいえ、40%を超えたら危険ゾーンであることは間違いない。40%だけでは必ずしも禁止とはならないが、40%のメタ占有率と他の要因が合わされば、禁止される可能性は十分ある。



③人口減/楽しくない カウブレード 親和 霊気池の驚異

 最初は人口減と「楽しくない」理由を個別に取り扱おうと思っていたが、それらは不可分だということに気付いた。実際、《霊気池の驚異》は唯一、人口減に言及されなかった「楽しくない」ことによる禁止だ。しかし僕が記憶している限り、霊気池全盛期の人口減は一つの問題だったと思う。
 ここで今一度、ウィザーズの究極目的は儲けることだと思い出す必要がある。ありがたいことにウィザーズは楽しいMTGのカードを作ることによって利益を生み、そしてそれは僕ら全員を幸せにもする。なので基本的にはWinWinだ。しかし、もしウィザーズが急に思い切った施策をとるとすれば、それは人々がマジックをプレイしなくなった時だ。これはカウブレや親和のように人口減が禁止の要因となった時だけでなく、他の状況でも見られる(例えばローテーションの変更とか。とはいえその時の人口が減った本当の理由は《約束された終末、エムラクール》や《密輸人の回転翼機》かもしれないから、僕らプレイヤーは完全には知りえない)。
 おそらく、人口減が最も禁止に影響したのはカウブレだろう。当時の告知で、ウィザーズは「一強メタ」に対してプレイヤーがどう反応するか見たかったという。少なくとも2011年当時は、一強というだけではスタンで禁止するのは不十分だった(とはいえこれはここ数年で変わったようだ。スタンの禁止ラインが少しばかり下がったことを鑑みるとね)。最終的にジェイスと石鍛冶を禁止させたのは、プレイヤーが大会に姿をみせなくなったからで、それによってウィザーズは禁止の鉄槌を振り下ろすに至ったんだ。
 ここで問題なのは、人口減というのは、僕らウィザーズ外部の人間には知りえない情報ということだ。ウィザーズならイベントの参加人数を把握できるだろうが、僕らは大抵裏付けの取れない特定の地域の特定のショップの証言しかなく、もし仮にこういった噂話を統合したとしても、根本的な原因に辿り着くのはほぼ不可能だ。スタンダードが不健全だからなのか、それとも他の要因なのか?他の禁止理由が外部からも容易に把握できる(メタゲームや壊れコンボの存在によって)のに対し、人口減は観測し難い。ただこれだけは言える。もしウィザーズに他の何よりも急速な行動を起こさせるものがあるとしたら、それは人口減だ。



④解答不足 カウブレード 霊気池の驚異

 ウィザーズは常に学習し、忘れ、そして再学習している。ジェイスが禁止された時、禁止制限告知で示された最も大きな教訓は、スタンには常に《真髄の針》や《忘却の輪》のような回答が必要ということだった。この教訓の成果は『ラヴニカへの回帰』や『テ―ロス』までは見て取れたが、その後からはウィザーズは恒久的な解答の重要性を忘れだした。そして《霊気池の驚異》の禁止制限告知でウィザーズが言うには、霊気池を抑止するためだけに(針のような)解答となるカードを盛り込むことも検討した(しかし結局ウィザーズはその案を退けた)ということだ。ありがたいことにイクサランに《魔術遠眼鏡》が真髄の針的な安全弁として収録された。願わくば今回ばかりはこの教訓が忘れられず、針やリング、そして《強迫》がスタンにありますように。特定のカードをちょっと強くし過ぎてしまった時のセーフティネットとしてね。



⑤コミュニティの抗議 霊気池の驚異

 霊気池の禁止制限告知は他全ての禁止制限告知の中でも飛び抜けて特異で興味深い。なぜなら霊気池デッキがいかに強力で、どれほど多くプレイされたかを語るのではなく、前半の丸々半分でそのデッキが実はそれほど強力でも、多過ぎたわけでもないと語っているからだ。MOのデータによると多くの上位デッキは霊気池に対して悪くない勝率を誇っていた。そして確かに43%のメタ占有率は大きい数字だが、既に述べたように、それだけでは禁止にするのは難しい。その告知で述べているのは詰まるところこういうことだ。「我々ウィザーズとしては、霊気池はデータ的に問題ないと思いますが、あなた方コミュニティはそうは思っていないようなので、皆さんのために禁止します」
霊気池の驚異 (4)
伝説のアーティファクト
あなたがコントロールするパーマネントが1つ墓地に置かれるたび、あなたは(E)(エネルギー・カウンター1個)を得る。
(T),(E)(E)(E)(E)(E)(E)を支払う:あなたのライブラリーの一番上からカードを6枚見る。あなたはその中からカード1枚を、そのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。

 ある意味、これは素晴らしいことだ。僕らはウィザーズに耳を傾けてもらいたい。そしてウィザーズがスタンで(しぶしぶ)禁止したという事実は、ウィザーズがコミュニティの声を聞いているという明確なサインだ。他方で霊気池の告知は、コミュニティが延々と大きな声で不平を垂れ流し続ければ、ウィザーズは動くという認識に繋がりかねない。僕らユーザーコミュニティは今や、不平を叫び続ければ要求が通るということを知ってしまったから、これからさらに頻繁にその武器を使うだろう。そして結果的に、ノイズを取り払って本当に重要な要望を探し当てるのが困難になり(カード在庫買い占め問題のようにね。それはゲームにとって差し迫った危機なのに全く改善する兆しがない)、重要でないばかりか、不合理な要望を拾ってしまうかもしれない(アモンケット発売から数週間くらいは、栄光をもたらすものを禁止しろという声があった)。基本的に、ウィザーズがコミュニティの声に耳を傾けるのは素晴らしいことだが、僕らはこの力を良いことに使うように気を付け、そして本当に重要な問題にだけ声を割くようにすべきだ。でないとウィザーズはまとめて無視するようになってしまうかもしれない。



⑥メタゲームに多様性をもたらすため 約束された終末、エムラクール 密輸人の回転翼機 反射魔道士

 おそらく最も理解しがたい禁止は、昨冬に《約束された終末、エムラクール》《密輸人の回転翼機》《反射魔道士》が約束された終末を迎えた時だろう。当時のメタゲームを見ても、いずれの数字も壊れているとは言い難い。最もプレイされた青白フラッシュのメタ占有率は約30%で、それにエムラ、ヘリデッキが続く。特定のカードが壊れていたり(《頭蓋骨絞め》や《守護フェリダー》、もしくは《霊気池の驚異》)、メタ占有率が飛び抜けて高かったり(カウブレード、親和)、人口が大幅に減ったなら、禁止理由を理解するのはたやすい。しかし、「不均衡」「楽しさ」「創造的」といった言葉はあまりに抽象的で、それらの言葉をマジックに関する特定の意味に結び付けるのは不可能に近い。ましてそういった言葉をスタンで禁止する理由に結び付けるなんてもってのほかだ。
約束された終末、エムラクール (13)
伝説のクリーチャー — エルドラージ
約束された終末、エムラクールを唱えるためのコストは、あなたの墓地にあるカードに含まれるカード・タイプ1種類につき(1)少なくなる。
あなたが約束された終末、エムラクールを唱えたとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーの次のターンの間、あなたはそのプレイヤーのコントロールを得る。そのターンに続いて、そのプレイヤーは追加の1ターンを得る。
飛行、トランプル、プロテクション(インスタント)
13/13

密輸人の回転翼機 (2)
アーティファクト — 機体
飛行
密輸人の回転翼機が攻撃かブロックするたび、あなたはカードを1枚引いてもよい。そうしたなら、カード1枚を捨てる。
搭乗1(あなたがコントロールする望む数のクリーチャーを、パワーの合計が1以上になるように選んでタップする:ターン終了時まで、この機体はアーティファクト・クリーチャーになる。)
3/3

反射魔道士 (1)(白)(青)
クリーチャー — 人間ウィザード
反射魔道士が戦場に出たとき、対戦相手がコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。あなたの次のターンまで、そのクリーチャーのオーナーはそれと同じ名前を持つ呪文を唱えられない。
2/3

 これはエムラヘリ反射禁止が間違いだったということではない。告知の残り半分を読めば、エムラとヘリは「やらかし」カテゴリーにも分類できることが分かるだろう。とはいえ、これらのカードがどれほど間違っていたのかは、もしそれの潜在能力を理解していたら世に出さなかったとウィザーズに言わしめた《頭蓋骨絞め》や《守護フェリダー》ほど明らかではない。むしろヘリとエムラは意図的に非常に強力にデザインされている(それはウィザーズのカード製作における目的の大部分だ)。それらのカードはたまたま少し強すぎただけだ。特にスタンにそれらへの回答が乏しかったということを鑑みるとね。
 つまるところ、禁止される要因に関して、エムラヘリ反射の告知から曖昧な不確定性以外の意味を読み取るのは難しい。ある意味これは良いことだ:ウィザーズはスタンダードの異常事態に気付き(告知では触れられていないが、巷では人口減によりローテ変更に至ったという噂だ)行動を起こしたんだからね。一方で、従来の禁止要件には明らかに当てはまらないカードがスタンで禁止されたというのはひどく奇妙なことだ。



まとめ

 これまでの分析から引き出される教訓はおそらく、ここ数年でスタンにおける禁止要因は大きく変わったということだ。親和とカウブレの禁止は両方ともきちんと分析できる:両デッキともメタ占有率が高すぎたし、プレイヤーはマジックを楽しめず、人口は減り、そしてウィザーズはキーカードを禁止した。単純明快だ。
 一方で近年の禁止はかつての禁止基準をきっちりと満たすわけではない。ウィザーズが間違いを犯したから、《守護フェリダー》の禁止は《頭蓋骨絞め》の延長線上にあるが、最近の記事でウィザーズ曰く、フェリダーは従来の禁止要件には当てはまらず(最も顕著なのは霊気池で、それの禁止告知では霊気池はそれほど支配的でも強力でもないということが語られている)しかし結局他の理由で禁止された。
霊気との調和 (緑)
ソーサリー
あなたのライブラリーから基本土地カード1枚を探し、それを公開してあなたの手札に加え、その後あなたのライブラリーを切り直す。あなたは(E)(E)(エネルギー・カウンター2個)を得る。

地勢 (緑)
ソーサリー
あなたのライブラリーから、基本土地カードを1枚探す。それを公開し、あなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリーを切り直す。

反射魔道士 (1)(白)(青)
クリーチャー — 人間 ウィザード
反射魔道士が戦場に出たとき、対戦相手がコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。あなたの次のターンまで、そのクリーチャーのオーナーはそれと同じ名前を持つ呪文を唱えられない。
2/3

霊気の達人 (1)(青)(青)
クリーチャー — 人間ウィザード
霊気の達人が戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
2/2

 楽しくなく、人口を減らすような明らかに環境を支配しているデッキは常に禁止されうるし、これからは常にそうなりそうだ。しかしそうなると、これまで以上に分析し難い第二の禁止候補グループが現れることになる。《霊気との調和》禁止に対する有力な反論として、調和はただの、かつてプレイアブルですらなかった《地勢》の亜種だというものがある。しかし思い出してほしい。《反射魔道士》はただの《霊気の達人》の亜種で、これもまたスタン時代は強力でもプレイアブルでもなかった。しかしだからといって青白3マナのアンコモンが禁止を免れたわけではない。エネルギーに関しては、これまで論じてきた禁止カテゴリーに当てはまるかどうかだけ、今回は検証して終わりにしよう。



エネルギーは禁止されうるのか?

①やらかし:エネルギーは失敗なのか?多分。しかしもし過ちであるなら、絞めやフェリダーというより、親和やヘリのような、新しいメカニズムを単に強くし過ぎたということになる。ウィザーズはエネルギーを強力にしたかった?イエス。間違いない。これほどまでに強力にしたかった?ノー。おそらく違う。が、特定の壊れコンボを見逃したり(守護フェリダー)、特定のカードを強力にし過ぎた(頭蓋骨絞め)というわけじゃないから、少なくとも従来の基準なら、エネルギーが禁止されるとは言い難い。

②支配率:これまでのおさらいをしよう。70~88%のメタ占有率であれば、その理由だけで禁止されうる(カウブレ)が、40%では(霊気池)他の理由なしに禁止するのは難しい。ウィザーズがMOのデータを絞り、直近の大きな大会が3人チームの内2人は非エネルギーデッキを使うチームスタンのWMCだったから、詳細なメタゲームの数字を得るのは難しいが、SCG Invitationalの数字を見ると、エネルギーは2日目進出デッキの60~75%であり、これは「それだけでは禁止できない」40%とそれだけで禁止されうる70~88%の中間だ。60%強のメタ占有率でエネルギーデッキを禁止できるかは断言できない。もしかしたら可能かもしれないし、不可能かもしれない。しかし確実に言えるのは、一度40%のラインを超え(続け)ると、そこは薄氷の上であり、たとえ些細なものでもあと一つか二つ要因があれば、禁止される可能性がある。つまり、少なくともメタ占有率という物差しにおいては、エネルギーは既に禁止できる状態と禁止に近い状態の間のどこかであると言える。

③人口減/楽しくない:既に述べたように、プレイ人口は非常に測定し難い。スタン人口が自分の周りで減少しているという人がいても、サンプルとして小さすぎるし、特定地域で何が起きているかなんて確かめようがないから、あまり意味がないんだ。スタンの大会人口を正確に測定するために、ツイッターで非科学的な調査をしたんだけど、多くの人がイクサランが発売されてから悪くなっていると答えた一方で、全体の約半数が「結果だけ見る」をクリックしたから、あまり参考にならなかった。
 楽しさについて。そもそも楽しさ自体が主観的という問題もあるが、まだ人々は霊気池やフェリダー、エムラのようにはエネルギーについて文句を言っていない。なのでもしかしたら皆50%の確率でエネルギーデッキに当たることに関してはそれほど気にしていないのかもしれない。従来の感覚で言えば、4ターン目にイカれたことをされて負けるなんてことはないからね。結局エネルギーがこれらの評価値に当てはまっているか判断するのは難しいが、人口が減っているというデータをウィザーズが有しているなら、禁止につながるかもしれない。

④解答不足:この点に関しては、議論の余地すらないと思う。ウィザーズはもっとエネルギーに触れるカードを刷るべきだった。マーク・ローズウォーターが自身のブログで言うには、「もしやり直せるなら、対戦相手のエネルギーに干渉する手段をもっと作っただろう」とのことだ。

⑤コミュニティの抗議:最近の他の禁止とエネルギーとではこれが最も違う点だと思う。霊気池やフェリダーの時は多くの人が憤慨し文句を言っていたが、エネルギーに関しては意見が割れているからだ。エネルギーが嫌いな人もいる一方で、それを全く問題ないと思っている人もいて、コミュニティの声がウィザーズに行動を起こさせるような状態には至っていない。もちろん、これはいくらか主観的な見方だが、僕が記憶している限り霊気池やフェリダーの時は、プロコミュニティ含む幅広いSNSで常に禁止が議論されていた。エネルギーに関する議論はあるが、近年の禁止カードの時とは状況がかなり違うということだ。これが、人々がエネルギーを気にかけていないからなのか、それともただに禁止に疲れたからなのか(もしくはその両方なのか)は分からないが、少なくとも今のところ、エネルギーを禁止させるにはコミュニティの声が十分ではないように思う。

⑥メタゲームに多様性をもたらすため:今のスタン環境はもっと多様になれるのか?イエス。今のスタンはエムラやヘリ、反射魔道士が禁止されたときよりも多様性がないのか?多分。これはエネルギー禁止の理由になるか?分からない。「メタゲームに多様性をもたらすため」はとても曖昧で抽象的な禁止基準で、間違いなく全てのスタン環境に当てはまるだろう。全てのメタゲームはもっと多様に、楽しくなる可能性を秘めている。これは最高に愛されている環境にも最悪の環境にも当てはまることだ。基本的に、この項目はあまりに広すぎて、他の禁止においてもエネルギーに限定しても、何も意味していないに等しい。しかし、全ての禁止が理解できるものや、分類しやすいカテゴリーに入るわけでもないということを思い出させてはくれる。今分かっているのは、ウィザーズはエネルギーだけでなく、ハゾレトや秘密の備蓄品も禁止しようとしているかもしれないってことだ。ふんわりした理由でね。

では、これらのことからエネルギー禁止に関して分かることは?今利用できる情報に基づくと、メタ占有率に解答不足やもしくは少し「やらかし」を認めることが加わると、ウィザーズは簡単に禁止を正当化できる。一方でウィザーズは同じくらい簡単に「禁止はなし」に靡く可能性もある。コミュニティの抗議がそれほど多くないし、エネルギーは必ずしも4ターン目に相手を倒してしまうフェリダーや霊気池のような、楽しくなかったりアンフェアなデッキではないという理由でね。すなわち、エネルギーが次の告知で禁止される可能性は半々で、次の禁止を逃れ、相克がリリースされ、環境が何も変わらなかったら禁止の可能性は高まる。
 どんな状況にも有効なのがプレイ人口だ。もし人口が減れば(それに関してウィザーズ外部からは噂程度の証拠しか入手できない)、エネルギー禁止の可能性は大幅に上がる(もし禁止されなかったら驚くほど)だろう。高いメタ占有率と人口減が合わされば、カウブレや親和の時のように従来の基準でエネルギーが禁止される。もし人口が減少しなかったら、禁止の可能性は低くなる。来月もしくは2ヶ月以内に何か(コミュニティの激しい抗議やメタを席巻するとか)が起こらない限りはね。



結論

とにかく、今回はこんなところだ。君の行きつけのショップのスタン人口はどうかな?エネルギーやスタンダード環境についてどう思う?コメントで教えてくれ!いつものように、Twitter@SaffronOliveやSaffronOlive@MTGGoldfish.com宛でも大丈夫だ。



訳終わり
【翻訳】レッド・デック・(本当に)ウィンズ
【翻訳】レッド・デック・(本当に)ウィンズ
PVによる赤単解説です。
原文:Red Deck Really Does Win by Paulo Vitor Damo da Rosa
https://www.channelfireball.com/articles/red-deck-really-does-win/

以下訳


 赤単はPT破滅の刻で非常に人気のデッキだったが、構築内容は様々なバリエーションがあった。ヤン・ウィンチャンのように《焼夷流》と《集団的抵抗》でバーンルートを備えたものや、サム・ブラックのように21枚の土地とカルトーシュでより軽く手数を増やしたタイプもあった。僕らはというと、24枚の土地、チャンドラ、そして《削剥》でより盤面で有利を築くタイプにした。確かに僕らのリストも砂漠とハゾレトで対戦相手を焼き切るポテンシャルはあるが、それは目指す勝ち方ではない。

どのリストも一長一短だが、以下が赤単の「核」だろう。

4《ボーマットの急使》
8他の1マナ
3《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》
4《地揺すりのケンラ》
4《アン一門の壊し屋》
3-4《熱烈の神ハゾレト》
1-2《反逆の先導者、チャンドラ》
8火力呪文
23-24土地

そして僕らのリストはこうなった
クリーチャー26
4 《ボーマットの急使》
4 《ファルケンラスの過食者》
4 《村の伝書士》
4 《地揺すりのケンラ》
3 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》
4 《アン一門の壊し屋》
3 《熱烈の神ハゾレト》

呪文10
4 《ショック》
4 《削剥》
2 《反逆の先導者、チャンドラ》

土地24
14《山》
4《ラムナプの遺跡》
4《陽焼けした砂漠》
2《屍肉あさりの地》

サイドボード
2 《ピア・ナラー》
2 《砂かけ獣》
2 《栄光をもたらすもの》
2 《チャンドラの敗北》
1 《チャンドラの誓い》
2 《粗暴な協力》
2 《霊気圏の収集艇》
2 《反逆の先導者、チャンドラ》



カード選択

ボーマットの急使4枚、ファルケンラスの過食者4枚、村の伝書士4枚、損魂魔道士0枚
 《ボーマットの急使》は最高の1マナだ。このカードは強力というだけじゃなく(とある試合では1体のボーマットで6枚のカードを引くこともあった)、キャストするのが最も容易でもあるんだ――無色しか出ない土地が6枚入っているから、赤マナ源が1つしかないという状況はそこそこ起きる。ボーマットを採用することで、たとえ無色土地があっても2ターン目までに1マナスペルを3回キャストできるんだ。
 他の1マナはそれぞれ異なった状況で優れているから、ボーマット程すんなり評価は下せない。《村の伝書士》は速攻があり、他の1マナクリーチャー2枚が出た時は0点なのに対して、これは即座に1点のダメージを与えられる。さらに、裏返った伝書士はとても強力だ。このデッキは「ブロックできない」効果が満載だから、クリーチャーに威迫が付くことで、実質的にブロックされなくなるんだ。伝書士は青白モニュメントや青白ギフトのような1/2は多いが2マナが少ないデッキに対してとても有効で、さらに青赤コンに対しても裏返りやすいという意味で良い働きをする。しかし赤単ミラーだと最悪で、ゲームの早い段階で赤単がスペルをキャストせずにターンを渡すことなんて殆どないし、たとえ裏返ったとしても1ターンに2つ以上のスペルをキャストしてすぐに表返ってしまうからね。
 一般論として、伝書士は後手より先手の方が輝く。なのでサイドボードする際には、後手なら抜いて、逆に先手なら残しておくべきだろう。
 《ファルケンラスの過食者》はどんな相手にも同じような働きをするという意味で、平均的な1マナカードだ。飛び抜けて素晴らしいということは決してないが、同時に飛び抜けて悪いということもない。《スレイベンの検査官》や《残忍な剥ぎ取り》といったタフネス2のブロッカーと相打ちできるし、相手のブロッカーを除去できれば(このデッキでは容易だ)かなりのダメージを叩き出してくれる。
 《損魂魔道士》はミラーマッチで最高のカードだ。ボーマットや伝書士を一方的に討ち取れるし、2体並べばカーリをダブルブロックでき、時々大きくなったりもする。そして最も重要なのは、赤単でハゾレトに対処できる唯一のカードということだ。ハゾレトはミラーで最も重要なカードで、火力呪文を-1/-1カウンターに変換してそれに対処できるようになるというのは、とても大きなアドバンテージだ。サイドボード前にそれができるのは《集団的抵抗》だけだが(もしくは火力を2枚組み合わせる)、サイズを小さくするだけでも十分かもしれない。サイドボード後なら損魂魔道士と《チャンドラの敗北》と組み合わせてたった2マナで対処できるようになる。
 PTで赤単が最大勢力になると予想はしていたけど、正直ここまで多いとは思っていなかった。青赤コンや青白デッキ(モニュメントやギフト)はもっと多いと予想していたから、伝書士と過食者を4枚採用したんだ。(※訳者注:原文では「損魂魔道士4」となっていましたが、明らかに文脈に沿わないので「過食者4」の誤植と判断しました。)

カーリ・ゼヴ3枚
 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》は素晴らしく、もし伝説じゃなかったら間違いなく4枚採用したいカードだ。3点クロックで、《ショック》や《コジレックの帰還》で除去されず、全てのダメージを防ごうと思ったら3体ものブロッカーが必要なので、とてもブロックし辛い。問題はブロックし辛いうえに幾つかの除去に耐性があるために、いつまでも死なないといことだ――2ターン目にプレイしたカーリが、ゲームが終わるまで死んでないということはよくある。すなわち、複数のカーリをドローしたくないということだ。なので僕は3枚が限界だと思うが、2枚しか採用しないのは間違いだ。

ショック4枚、削剥4枚、焼夷流0枚、集団的抵抗0枚
 早い段階で僕らはこの環境の赤単は必ずしもバーンデッキではないと判断した――クリーチャーが強力で打点が高いので、殆どの状況で火力を攻撃を通すための除去として使うことになる。その結果、僕らは相手のクリーチャーを除去するのに最も有効な除去を採用することにした――たとえ本体火力を犠牲にしても。そういったわけでメインに《削剥》と《ショック》を入れたんだ。僕らはギフトデッキがもう少し多いと想定していたので、アーティファクト破壊を入れるのは理に適っていたんだ。
 多くの赤単が《焼夷流》をメインにし、《削剥》をサイドに下げているが、《削剥》はメインにするのが正解だと思う。本体3点がないことによって数パーセントのゲームに負けるかもしれないが、サイド枠が4つ空くことで得る恩恵の方が大きい。そしてその枠に、僕らはより多くのミラー対策を積むことができたんだ。通常の赤単は、サイドボードに無駄になるかもしれない枠があっても気にしないが(赤のサイドボードの選択肢は酷いものだからね)、今の選択肢はとても良い。だからいくつかのマッチアップで僅かに効く程度のサイドカードを採用してる枠はない。

ハゾレト3枚、チャンドラ2枚
 赤単に手をつけて僕らが真っ先に行ったのは、3~4枚目のハゾレトを加えることだった。多くのリストが1~2枚しか採用していなかったが、ハゾレトがあまりに強力だったので、僕らは全く理解できなかった。誰も彼女を殺せないし、ハゾレトを引けたかどうかで勝率に大きな差があったんだ。さらに予想外の利点として、カードが1枚少なければハゾレトを1ターン早く走らせることができるので、マリガンを通常より緩和してくれる。
 PTが近づくにつれ、BG及びゾンビとの試合を増やした。その結果これらのマッチアップではチャンドラが必要という結論に至った。僕らはカリタスを倒す手段が必要で、チャンドラは4枚目のハゾレト(通常ならこちらの方が優れている)を押しのけて採用するのに十分強力だった。
 ハゾレトがチャンドラよりも重要なのは赤単ミラーだけで、僕らはそのマッチアップには自信があった。というのも僕らのリストは4枚目のハゾレト無しでもミラーに強い構成だったし、現実ほど赤単は多くないだろうと踏んでいたんだ。なのでハゾレト4枚、チャンドラ1枚ではなく、ハゾレト3枚、チャンドラ2枚でいくことにした。

土地24枚
 これが他の赤単との最も大きな違いだ。大抵は23枚で、サム・ブラックはさらに少ない21枚だ。この赤単はこれまでの多くのアグロデッキよりも土地を上手く活用できるデッキだと思う――ハゾレトで余分な土地を処分できるし、砂漠もあり、《地揺すりのケンラ》は6マナとしても活用できる。多少フラッドしても許容できるが、逆に早い段階でのスクリューは許容できない。ハゾレトのようなカードを抱えながらランドセットできないのはとても苦痛だし、それによってキャストが遅れるだけならまだしも、手札が多いと動き出すのも遅くなってしまう。そういうわけで僕らはマナスクリューがなるべく少なくなるように調整したんだ。


サイドボード

 赤単のサイドボーディングで最も重要なのは柔軟性だ。確かにサイドボードガイドに従うことはできる。しかし赤は特に多くのバージョンがあるから、対戦相手の行動を見てしっかりと適応しなければならない。例えば、セス・マンフィールドに対してするサイドボーディングと、ヤン・ウィンチャンに対してするサイドボーディングでは、同じ赤単なのにデッキにあるカードは10枚も異なる!さらにデッキリストが分からないスイスラウンドで当たった時などは、サイドプラン自体が異なったものになる。
 勿論咄嗟に適応したのは僕らだけじゃない。スイスランドでサム・ブラックと当たった時、ゲーム2で僕のサイドプランを見て、彼はゲーム3ではサイドボーディングを全て変えたんだ。もし君が赤単をプレイするならこれをできなければならない。なぜならあるバージョンに有効なカードも別なバージョンに対しては全くの役立たずになるからだ。
なので以下に述べるのは一般的な用法だ。

砂かけ獣2枚
 《砂かけ獣》の能力を活用するには砂漠カードを10枚ほど採用する必要があるが、条件さえクリアしてしまえばこれは素晴らしい働きをする。3/3は悪くないサイズで、特に《ショック》や《マグマのしぶき》、リリアナ、《致命的な一押し》をよく見る環境なら尚更だ。そして3点能力では、厄介なカーリ・ゼヴや《ハンウィアー守備隊》といった倒したいクリーチャーは殆ど除去できる。砂かけ獣はミラーではチャンドラよりも遥かに強力で、サイドボード後の「重くいこう」プラン(Genesisの方が僕らのプランより重かったから、後に「ミッドレンジでいこう」に変わったけど)に必要不可欠なカードだ。

チャンドラの敗北2枚
 1マナインスタントで他の赤単デッキのほぼすべてのカードに対処できるのは笑っちゃうくらい軽い。僕らはミラーマッチでチャンドラは弱いと判断したが、他のプレイヤーはそうではなかったので、たとえ忠誠値が5になってもこれ1枚で対処できるのは素晴らしかった。さらにカーリ・ゼヴや、砂かけ獣、ハンウィアー守備隊、そして栄光をもたらすものにも対処できる。ただしボーマットと永遠化したケンラには効かないので注意が必要だ。

粗暴な協力2枚
 僕らはこのカードを全くテストしなかったが、PTの前日に入れることにした。主に《地下墓地の選別者》や《膨れ鞘》といった突破するのが難しいカードや、青白モニュメント、そして赤単ミラーの回答としての採用だ。もし相手の場に《ハンウィアー守備隊》と山ほどのタフ1クリーチャーがいるなら、これはとても強力だ。しかし守備隊ではなく損魂魔道士を相手がプレイしてきたら、それほど良いカードではない。

反逆の先導者、チャンドラ2枚
 これはゾンビとBGに対して最高のカードで、青赤コンに対しても同様だ。多くの場合、これをプレイする時は盤面を更地にしておくべきだ。もし有利でないなら、相手がそこから挽回するのはとても困難だろう。

チャンドラの誓い1枚
 僕らは《巻きつき蛇》やゾンビロードを倒す手段を必要としていて、これの後にチャンドラをプレイすれば相手のリリアナも落とせるから、これはまさに最高のカードだった。ただ、《木端+微塵》はカリタスや昂揚した残忍な剥ぎ取りを除去できるから、そちらの方が優れている可能性もある。剥ぎ取りはそこまで気にする必要もないが、カリタスは厄介なので、それに対処できるカードがあるのは悪くない。

栄光をもたらすもの2枚
 「ミッドレンジでいこう」プランの一角を担っている。《闇の掌握》を握られていないなら、黒いデッキに対してとても効果的だ。通常であれば赤単相手にこれをサイドインしないが、トップ8では速攻4点は他の効くか分からない除去よりセスのバージョンには有効だろうと思ったのでサイドインした。また、準決勝のヤン・ウィンチャンに対してもサイドインした。なぜなら彼のデッキには《チャンドラの敗北》が1枚も入ってなかったからね。ただ彼のサイドボードプランを理解してからは先手で入れるのはやめたよ。

霊気圏の収集艇2枚
 収集艇はもし生き残ればミラーマッチで最高のカードだ。皆《削剥》をプレイしている(すべき)から、マナとカードを損なう時もあり、それは最悪だが、もしそうならなかったら、それはもうすごいことになる。3/5飛行は何でもブロックできるし、何も気にせずアタックできる。絆魂はデカいし、対戦相手のブロックできなくする能力にも引っかからない――搭乗するまではクリーチャーじゃないからね。対ゾンビでも、除去耐性がありブロックされないのでとても強力だ。

ピア・ナラー2枚
 ピアは完全なミラー用だが、ミラーで素晴らしい働きをする。タフネス1のクリーチャーは山ほどいるから、トークンはカード1枚分の働きをするし、収集艇に搭乗もでき、収集艇をパンプして絆魂を増大させることも可能だ。準決勝で、セスがトークンに《マグマのしぶき》を複数回使ったことが、いかにこのマッチアップでピアが強力かを物語っている。


大まかなサイドボードプラン

赤単
(しつこいようだけど、これは暫定的なプランだ。相手がどういったバージョンかに大きく左右される。なのでこれは相手のデッキがどのバージョンか全く分からないという場合のプランだ)
Out
4《村の伝書士》
4《アン一門の壊し屋》
2《反逆の先導者、チャンドラ》
In
2《粗暴な協力》
2《ピア・ナラー》
2《チャンドラの敗北》
2《砂かけ獣》
2《霊気圏の収集艇》
もしさらにサイドインしたいものがあるなら、《削剥》を何枚か抜いても良いだろう。しかし収集艇を採用する人が増えるだろうから、僕だったらそれはしないけどね。

ゾンビ
Out
3《熱烈の神ハゾレト》
4《村の伝書士》
2《ファルケンラスの過食者》
In
1《チャンドラの誓い》
2《反逆の先導者、チャンドラ》
2《栄光をもたらすもの》
2《砂かけ獣》
2《霊気圏の収取艇》
ハゾレトは《闇の掌握》や《闇の救済》で対処されてしまうから、対ゾンビではあまり良くない。他の4~5マナのカードの方が良い働きをするし、あまり多くの重いカードをいれていしまうと、デッキがノロくなってしまう。確かにデッキを重くはするが、ターン4までにスペルをキャストしなきゃいけないからね。

BG巻きつき蛇
先手
Out
2《ファルケンラスの過食者》
2《ショック》
1《熱烈の神ハゾレト》
In
1《チャンドラの誓い》
2《反逆の先導者、チャンドラ》
2《栄光をもたらすもの》

後手
Out
4《村の伝書士》
1《熱烈の神ハゾレト》
In
1《チャンドラの誓い》
2《反逆の先導者、チャンドラ》
2《栄光をもたらすもの》
ライフレースになることは少ないから、収集艇はこのマッチアップでは有効ではない。相手が殴るのはクリーチャーが馬鹿デカくなった時だから、3~6点のライフゲインは大して関係ないんだ。もし相手が《残忍な剥ぎ取り》を採用していなかったら、《ショック》は数枚、もしくは全部抜いて良いだろう。


小技

・複数の1マナが初手にある時は、数ターン先まで考えてどのカードを先に出すか考えておくこと。ダメージの高さは、「裏返ってそのままの伝書士>ファルケンラスの過食者>一度裏返ったのち表返った伝書士>ボーマットの急使と変身しない伝書士」となる。例えばもし次のターンに2つのスペルを唱えるなら、1ターン目に伝書士をプレイする理由はない。
・もし相手がボーマットを除去できなさそうなら、最初にボーマットをプレイし、カードを溜めろ。追加のカードは追加のダメージよりも価値がある。これは特に、4マナスペルが0の軽いスペルばかりのハンドの時に当てはまる。もし相手のデッキがボーマットを気軽に除去できる、もしくはハゾレトがあるとかで手札を捨てたくないという時には、ファルケンラスの過食者を先に出すのが良いだろう。また、ハンドがとてもアグレッシブで、1点の差が重要な場面でも、過食者を先に出すのは正解だ。
・《陽焼けした砂漠》はプレインズウォーカーを殺すこともできる――マイナスを使って忠誠値が1になったニッサやチャンドラにトドメをさしたり、アン一門の壊し屋と組み合わせればリリアナを即座に落とせたりする。このように、砂漠は可能な限り手札に温存しておくのが吉だ。これによりライフを1点削れるという情報を相手に与える必要もない。例外は、ハゾレトかボーマットがあり、ディスカードするかもしれない場合だ。こういう状況では砂漠をプレイし、山を捨てるべきだ。
・もし早い段階でハゾレトで攻撃できそうなら、大抵やる価値がある。例えば、通常なら気にしないクリーチャーに削剥を使ったり、1~2ターン目にショックを対戦相手本体に使ったりする。
・このデッキはマリガンを許容する。ハゾレトは多くのカードより価値があるし、ワンマリガン、もしかしたらダブルマリガンから救い出してくれたりする。
・ファルケンラスの過食者の能力を忘れるな。必要になることは滅多にないが(場に1体、ハンドに1体必要)、ハゾレトやボーマット、そしてチャンドラの敗北のルーティング能力で使う時があるかもしれない。
・ボーマットを2体コントロールしているなら、手札を2回空にして、両方ドローするように積み上げることが可能だ。
・もし1ターン目に伝書士を出した後、相手が2ターン目に除去したい生物(巻きつき蛇とかね)を出してきたら、ターンをパスして伝書士を変身させてから、削剥を使えば良い。その手のデッキは表返させるような軽いスペルを多くは持ち合わせていないから、伝書士を変身させるのは攻撃して1点のダメージを与えるより価値がある。
・《屍肉あさりの地》は主に《王神の贈り物》デッキ対策だが、他にも使い道がある。例えば、僕はPTを通して、相手のケンラを追放したり、リリアナのマイナス能力に対応したり、イシュカナのトークン生成を止めたりした。さらに相手がプレイした《戦墓の巨人》を小さくしたり、《ウルヴェンワルド横断》でのサーチを咎めたりもできる。
・このターンアタックする気がないのに速攻クリーチャーをプレイするのは問題ない。アン一門の壊し屋2体と一緒に攻撃するのがベストなこともあるから、それがアンタップするのを待つのは理に適っている。攻撃できるハゾレトを敢えて立たせておくのもありだ。


その先へ

 今後、赤単使用者はかなり増えるだろうし、赤単を使っていないプレイヤーは当然それを打ち倒そうとしてくるだろう。成功するものもあるだろうが、大抵は失敗するだろう――このデッキはとても強力でポッと出でたまたま勝ったわけじゃないからね。とはいえ、ゾンビや打撃体、そしてBGは十分に太刀打ちできるし、近い将来、赤単が環境を席巻する可能性は低いと思う。
 もし赤単を使おうと思うなら、僕が使わなかったカードで考慮すべきはおそらく4枚目のハゾレトと《損魂魔道士》だ。僕はこれらが4枚必要とは思わなかったが、例えば伝書士と魔導士をそれぞれ2枚にするのはアリだろう。これなら他のマッチアップをそこまで崩さずにミラーを改善できる。
 サイドボードに関しては、《粗暴な協力》以外は全て気に入っている。というのもこれから守備隊を採用しようとする人は少ないだろうし、タフネス1のクリーチャーはなるべく減らそうとするだろうからね。今のところそれが有効に働くデッキはないから、これを採用する必要はないと思う。それの代わりに追加のピアや収集艇、もしくはセスみたいに《現実を砕くもの》をミラー用に採用しても良いね。



訳終わり

霊気池といえばすっかりティムールですが、アグロデッキでたまに当たって悶絶するのはスゥルタイ型。第一人者のリード・デュークの解説です。
原文:Sultai Marvel by Reid Duke
https://www.channelfireball.com/articles/sultai-marvel/

以下訳



 《霊気地の驚異》がスタンダードで最も強力な戦略の一つ(そして単体のカードとしてもベストカードの一つ)というのは広く知られたところだが、だからといってそれが完璧ということじゃない。安定性に欠けるし、酷くやっかいなドローに悩まされがちだ。初手にウラモグが来て渋々キープしたら、最初のドローで追加のウラモグを引くなんてことが何回もあって、従来の構築は僕向きじゃないと悟ったよ。そんなわけで、もっと良い霊気池はないかと探し始めたんだ。
 僕が思うに、鍵は、もし引いてしまったとしてもキャストできるような強力な霊気池の「当たり」を選ぶことだった。《墓後家蜘蛛、イシュカナ》、《陰謀の悪魔》そして《害悪の機械巨人》は、スタンダードにおいて直面する様々な状況においてゲームを決める性能があり、特にこれらがインスタントスピードで出てきたら尚更だ。こういったカードでデッキを埋めることで普通の昂揚コントロールのように振る舞うことも出来るようになるし、不安定な戦略に一貫性を与えることができ、同時に様々な角度から攻め(守りも)が出来るようになる。《発生の器》や《ウルヴェンワルド横断》、そしてサイクリングカードによって君のデッキは油を十分にさした機械になる。
 アモンケットのリリース前にスゥルタイ霊気池をテストしたんだけど(https://www.channelfireball.com/videos/channel-reid-standard-sultai-marvel/)、僕が望むラインには到達していなかった。そしたら2つの大きな変化が、スゥルタイ霊気池をヘンテコでジョークのようなデッキから、トップメタにも負けないデッキに変えたんだ。1つ目の変化はもちろん――これは全ての霊気池デッキに当てはまることだけど――コピーキャットコンボの禁止だ。そして2つ目は《死の権威、リリアナ》の登場だ。
 このリリアナはこのようなスタイルのデッキがずっと待ち望んでいたカードだ。彼女は高い初期忠誠値を有し、自衛能力があり、長期にわたって価値を生み続ける強力なPWだ。さらに、強力なETBを有したゲームエンド級のクリーチャーと組み合わせれば、彼女はまさにデッキの立役者になる。アグロデッキでイシュカナと蜘蛛トークンを乗り越えるのは至難の業だ。しかしちょっと想像してみてくれ。今やアグロがリソースを注ぎ込んでイシュカナを一度退けたとしても、君がこのリリアナをプレイすればイシュカナをリアニメイトできるんだ!そうなると今度は壁となるブロッカーと、その後ろにPWまで鎮座するわけだ!同じように、《害悪の機械巨人》を再利用するのも最高だし、運が良ければ《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を墓地に送り込んだ後に、4~5ターン目にしながら直接戦場に出せるかもしれない。

スゥルタイ霊気池

土地22
4 《霊気拠点》
4 《花盛りの湿地》
4 《植物の聖域》
4 《森》
3 《沼》
2 《進化する未開地》
1 《島》

クリーチャー15
2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
4 《導路の召使い》
4 《ならず者の精製屋》
2 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
2 《陰謀の悪魔》
1 《害悪の機械巨人》

呪文23
4 《霊気との調和》
4 《致命的な一押し》
3 《発生の器》
2 《ウルヴェンワルド横断》
2 《織木師の組細工》
1 《造反者の解放》
4 《霊気池の驚異》
1 《ヤヘンニの巧技》
2 《死の権威、リリアナ》

サイドボード15
2 《不帰+回帰》
4 《光袖会の収集者》
2 《否認》
2 《没収》
2 《不屈の追跡者》
1 《刻み角》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《ヤヘンニの巧技》


 このデッキを使用したPTアモンケットは20位だった。最後の2ラウンドは(多分)TOP8がかかっていて、それに負けてしまったんだ。しかしマルドゥ機体や多くのクリーチャー主体のデッキ、さらにはゾンビや霊気池に対しても有利に感じたよ(対霊気地はメインは微不利でサイド後は微有利)。


キーカード
 
《霊気池の驚異》:「オールイン」型の霊気池デッキでなくとも、このカードは依然として最高のドローだ。《絶え間ない飢餓、ウラモグ》をめくることが出来れば4ターン目に勝利できるし、対アグロであればイシュカナや《陰謀の悪魔》でも良い。もしくは長期的にアド源として使っても十分に対戦相手を苦しめることが出来る。

《ならず者の精製屋》:「スゥルタイ」霊気池は実際のところただの《ならず者の精製屋》に手を広げた緑黒昂揚だ。精製屋はそれほどの価値があるカードで、重要なエネルギー供給源でもあるから、基本的には常に何枚でも引きたいカードだ。

《霊気との調和》《導路の召使い》《霊気拠点》《織木師の組細工》はエネルギー供給を担っている。スゥルタイ霊気池はティムール型よりエネルギーの生成が得意ではないが、その代わりに強力なプランBを持ち合わせているし、それは即ち《没収》で身動き出来なくなることはないということだ。加えて、霊気池の誘発型能力でも多くのエネルギーを得ることが出来る。

《絶え間ない飢餓、ウラモグ》にアクセスできるということは重要だ。確かに手札に2枚来てしまったら最悪だが、ロングゲームであればいつかはライブラリーや墓地にあるウラモグを探し当てたいという時が来るからね。

《墓後家蜘蛛、イシュカナ》は君をクリーチャーの攻撃から守ってくれる。イシュカナは昂揚をデッキの軸に据える最大の理由だ。

《陰謀の悪魔》は幾つかのマッチアップでパワーレベルがウラモグと競合するが、同時に6マナで容易にキャストできるというメリットがある。この悪魔をインスタントスピードでキャストするのはスタンダードで最も楽しい瞬間の一つだし、スゥルタイ昂揚の大きな魅力でもある。この悪魔はゾンビとマルドゥ機体の両者に対して最高のカードの一つで、実際、これに回答されないゲームは100%勝つだろう。クリーチャーが死亡した時にエネルギーを得られることと、自分の墓地だけでなく対戦相手の墓地からもクリーチャーをリアニメイト出来るということを覚えておこう。

《死の権威、リリアナ》:彼女のことは既に褒めちぎったね。リリアナとイシュカナはピーナッツバターとジャムみたいなものだ。(※訳者注:ピーナッツバターとジャムのサンドイッチは英語圏では非常にポピュラ―な間食)彼女はスゥルタイ霊気池に完璧にフィットしているんだ。

《致命的な一推し》はスタンダードで最高の防御的除去だ。《キランの真意号》と《墓所破り》がいる限り、これを4枚デッキに採用せずに家を出るべきじゃない。

《発生の器》《ウルヴェンワルド横断》はデッキの潤滑油だ。器は昂揚のみならず悪魔とリリアナのためにも墓地を肥やしてくれるし、また《霊気地の驚異》に辿り着けるようにデッキを掘り進めてもくれる。


選択肢となるカード

《害悪の機械巨人》は《陰謀の悪魔》や《墓後家蜘蛛、イシュカナ》ほど重要ではないが、厳しい状況から救い出してくれることがあるし、緑中心のクリーチャーデッキに対しては絶対的に最高のカードだ。もし緑黒系が人気になったら、このカードをメインとサイドに複数採用するように助言するね。

《ヤヘンニの巧技》はゾンビ対策だ。しかし、このカードがあって嬉しいマッチアップや状況はとても多い。このデッキではインスタントスピードで唱えられる可能性があるから、さらに価値は上がる(クリーチャーやソーサリーでさえ、このカードを霊気池で当てることが出来れば、手札からインスタントスピードでキャストできる)。

《造反者の解放》は低コストで昂揚達成に貢献するだけでなく、マルドゥ機体や霊気池デッキに対して素晴らしい働きをする。このカードをあと1~2枚追加できる枠があればな、と思うよ。

《不帰+回帰》:時にはギデオンや大きなクリーチャーを倒す手段が必要になることがある。75枚の中に《不帰+回帰》があるというのは良いことだ。


小技

霊気池起動を迷ったら、対戦相手の攻撃ステップに。《陰謀の悪魔》と《ヤヘンニの巧技》は対戦相手のターンにキャストが最も効果的だ。また、不確定要素は対戦相手に選択を迫る。

《導路の召使い》のトレードを恐れるな。手札に《霊気池の驚異》がある場合は特に。温存しておけるほどエネルギーは余らないからだ。

《霊気との調和》と《ウルヴェンワルド横断》は大抵沼をサーチする。《陰謀の悪魔》は黒のトリプルシンボルだし、1ターンに複数の黒いスペルをキャストしたい状況は多いからだ。しかし、《発生の器》は緑が濃いカードであり、器をキャストして即起動したい状況を作りたくなるということに注意だ。

ゾンビを《陰謀の悪魔》や《ヤヘンニの巧技》の効果圏外へ逃れさせるな。ライフを守りたくても、時として早いターンにゾンビを倒すことについては注意が必要だ。4/4の《戦墓の巨人》を倒すのは骨が折れるからね。同様に、貪欲になるあまり《ヤヘンニの巧技》を温存し過ぎないように。追加のロードで範囲外へ逃げられるし、《精神背信》でハンデスされるかもしれない。

複数の《織木師の組細工》や《絶え間ない飢餓、ウラモグ》、もしくは《霊気地の驚異》1枚をサイドアウトする戦略を覚えておいて損はない。これは対戦相手が《没収》をサイドインするのであれば非常に効果的だ。


マッチアップとサイドボード

ティムール霊気池

 ティムール霊気池はこちらより多くのウラモグとエネルギーを備えているから、プランAでは相手の方が上だ。しかしプランBはこちらの方が優れているし、サイド後はプランAよりもプランBを巡る戦いになる。もし両プレイヤーがパーミッションスペルとアーティファクト破壊満載になった場合は、《光袖会の収集者》や《不屈の追跡者》が簡単にゲームをかっさらっていくだろう。加えて、黒は《没収》が使える。

大まかなサイドボーディング
Out
2《織木師の組細工》
4《致命的な一押し》
3《発生の器》
2《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
1《陰謀の悪魔》
1《死の権威、リリアナ》
In
2《没収》
4《光袖会の収集者》
2《不屈の追跡者》
2《否認》
2《不帰+回帰》
1《刻み角》


ティムール側が《不屈の追跡者》のようなクリーチャーをサイドインしても驚いてはいけない。《不帰+回帰》と《害悪の機械巨人》は良い保険になる。


ゾンビ

 ゾンビは不安定なマッチアップだ。《墓所破り》に回答できなければそれだけで負けるし、ロードを並べて全体除去範囲外に逃げられても負ける。こちらが勝つのはこういった状況でない時だ。イシュカナと陰謀の悪魔、それらに付随してくるクリーチャーがあるから、《戦慄の放浪者》や《無情な死者》などの継続的な攻めにヒヤヒヤすることはない。これはスゥルタイ霊気池がティムール霊気池や完全なコントロールデッキより大きく優れている点だ。

大まかなサイドボーディング
Out

2《織木師の組細工》
1《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
1 《造反者の解放》
In
2《不帰+回帰》
1《ヤヘンニの巧技》
1《ゲトの裏切り者、カリタス》


《ゲトの裏切り者、カリタス》は、相手が除去の数を減らすであろうサイドボード後に素晴らしい働きをする。《ヤヘンニの巧技》はおそらく初手にあったら最高のカードだが、ゲームの後半の厳しい状況でも常に助けになるとは限らない。なので《不帰+回帰》や《害悪の機械巨人》といった確定除去で多様な状況に対応できるようにすることが重要だ。


マルドゥ機体

 PTアモンケットで僕がスゥルタイ霊気池を選んだ主な理由の一つが、他の霊気池よりもこのデッキの対マルドゥ機体が気に入っていたからだ。《致命的な一押し》は相手の速い攻めを捌くのにこれ以上ないカードで、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》は地上クリーチャーも飛行クリーチャーも、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》でさえも一度に止めて、盤面を安定させてくれる。先手で相手にブン回られると負けたりもするが、基本的にはこちらが有利なマッチだ。

大まかなサイドボーディング
Out

1《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
1《害悪の機械巨人》
1《死の権威、リリアナ》
1《ウルヴェンワルド横断》
In
1《不帰+回帰》
1《刻み角》
2《不屈の追跡者》


 トップメタの中では、対マルドゥ機体は最もサイドボードが流動的なマッチアップだ。相手の《経験豊富な操縦者》《ピア・ナラー》《異端聖戦士、サリア》の数によって《ヤヘンニの巧技》は0~2枚まで変動する(このマッチアップでサリアは最も厄介なカードの一つだ)。もし相手が《没収》を入れてくると思うなら組細工と霊気池の数を調整してもいいが、相手がそうするという確信がない限りは僕はやらないだろうね。
 《不屈の追跡者》のサイドインは奇妙に見えるかもしれないが、マルドゥには山ほど強力なパーマネントがあり、イシュカナで盤面を安定させた後にゲームに勝てるようにアドバンテージを確保しておく必要がある。加えて、《精神背信》や《没収》で手札をズタズタにされた時にも追跡者は役に立ってくれる。


結論

 スゥルタイ霊気池は霊気池としての強みだけでなく、強力なプランBも持ち合わせており、すなわち高いレベルでの一貫性もある。対戦相手が一般的な霊気池デッキを打ち倒すために用いる策の多くは、このデッキにはそこまで有効ではない。
 ゾンビとティムール霊気池はPTアモンケットで勝ち組だった――ああいったデッキとのマッチアップは構わないが、楽しいものではない。しかし、マルドゥ機体と緑黒巻きつき蛇といったデッキは依然としてまだ存在しているわけで、スゥルタイ霊気池はそういったデッキを狩るのに最高の選択だ。



訳終わり
【翻訳】マイク・シグリスト的アモンケットトップ10
マイク・シグリストによるスタンダード視点のアモンケットランキングです。

原文:The Top 10 Amonkhet Cards for Standard by Mike Sigrist
https://www.channelfireball.com/articles/the-top-10-amonkhet-cards-for-standard/

以下訳


 遂にアモンケットのフルスポが公開されたね。僕はこのセットのフレイバー全てが大好きだ。
しかし今のスタンの不安な状態が原因で、僕はちょっとプレビューに参加するのが乗り気じゃなかった。公開されたカードを見ながらずっと考えていたよ「でもサヒーリコンボはどうするんだ?」ってね。同じような声を多くのプレイヤー、特にフルスポが出たら一目散に構築するようなプレイヤーから聞いたよ。
 今のところ何が禁止されるか分からないが、《守護フェリダー》と《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の両方が禁止の鉄槌を食らうだろうと僕は踏んでいる。
 サヒーリコンボはスタンダードにいてはいけない。開発は見過ごしを認めたから、僕は開発がスタンダードに新しい風を吹き込むことで、次のスタンダードでの過ちも認めると信じている。サヒーリコンボのパーツの方がギデオンより禁止される可能性は高いと思うけど、両方とも禁止するのには今は絶好の機会だと思う。
ギデオンは刷られてからずっとスタンではベストカードであり続けた。そして今回、新しいギデオンが来たわけだから、今こそ同盟者の方のギデオンとお別れする時だと思う。
 新しいカードに話を戻すと、それらがスタンダードで実際にプレイされるのを待ちきれないよ。神のような幾つかのカードは実際に手に取って動かしてみないと評価がとても難しい。禁止改訂がどう転ぶか分からないのでこれらのカードを評価するのはとても難しいんだ。なので、今回僕はただ直観に従って普通の状況下における格付けをしようと思う。
そんなわけで、スタンダードで使えるアモンケットのカードトップ10の始まりだ。

10位 死の権威、リリアナ
Liliana, Death’s Majesty / 死の権威、リリアナ (3)(黒)(黒)
プレインズウォーカー — リリアナ
[+1]:黒の2/2のゾンビ・クリーチャー・トークンを1体生成する。あなたのライブラリーの一番上からカードを2枚あなたの墓地に置く。
[-3]:あなたの墓地からクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを戦場に戻す。そのクリーチャーは、それの他のタイプや色に加えて黒のゾンビでもある。
[-7]:ゾンビでないクリーチャーをすべて破壊する。
忠誠値5

 《死の権威、リリアナ》は僕がPWに求める要件の多くを満たしている。初期忠誠値が高い?イエス。自分を守れる能力がある?イエス。奥義は強力か?イエス。問題は(このカードがトップ10の一番下になった理由でもある)は《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》とマナ域的に競合し、唯一性により《最後の望み、リリアナ》と競合するということだ。
 とは言うものの《死の権威、リリアナ》はこれを中心にして構築するポテンシャルを秘めており、リアニする生物を墓地に送りつつ同時にリアニもこなすリアニスペルとして振る舞うこともできるし、ゾンビデッキの頂点に据えても良い。そういうわけで彼女は10位になったのだ。

9位 刻み角
刻み角/Manglehorn (2)(緑)
クリーチャー — ビースト
刻み角が戦場に出たとき、アーティファクト1つを対象とする。あなたはそれを破壊してもよい。
対戦相手がコントロールするアーティファクトはタップ状態で戦場に出る。
2/2

 今のスタンダードでは多くのアーティファクトを見かけるから、《刻み角》はメインに採用されるだろうと予想している。《歩行バリスタ》や《屑鉄場のたかり屋》、《キランの真意号》といったカードが多くのデッキに入り込んでいるから、《刻み角》をメインデッキから採用するのは十分アリだと思う。
 サイクリングによって昂揚を達成しやすくなるから、1枚刺しの《刻み角》を《ウルヴェンワルド横断》でサーチするというシルバーバレット戦略なんかもよく見かけるようになるだろうね。
 このカードの最大の問題は、4Cサヒーリがほんの僅かな《歩行バリスタ》以外はアーティファクトを殆どプレイしないということだが、サヒーリコンボ相手であってもこのカードは有用だ。なぜなら《サヒーリ・ライ》のコピーはアーティファクトだから、《刻み角》の2つ目の能力によってタップ状態で場に出るからね。

8位 ドレイクの安息地
ドレイクの安息地/Drake Haven (2)(青)
エンチャント
あなたがカードを1枚サイクリングするか捨てるたび、あなたは(1)を支払ってもよい。そうしたなら、飛行を持つ青の2/2のドレイク(Drake)・クリーチャー・トークンを1体生成する。

 《ドレイクの安息地》は評価が難しいカードだ。1つのアーキタイプを生み出す可能性を秘めているし、てんで駄目な可能性もある。このカードは現代マジックにちょっと合わない気がするから、僕はこれに過度な期待はしないようにしている。勿論、効果は強力なんだけどね。
 《ドレイクの安息地》は強くなった《稲妻の裂け目》といったところだが、新時代のマジックでは《稲妻の裂け目》は遅すぎる。これを中心とした構築の可能性と豊富な低マナサイクリングカードによって、《ドレイクの安息地》はスタンダードで躍進するポテンシャルあると思う。いや、本当にこのカードがアモンケット環境で沢山キャストされることを願っているよ。僕はこのカードのデザインが大好きなんだ。

7位 マグマのしぶき
Magma Spray / マグマのしぶき (赤)
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。マグマのしぶきはそれに2点のダメージを与える。このターン、そのクリーチャーが死亡するなら、代わりにそれを追放する。

 スタンダードの多くのデッキに投入されている《屑鉄場のたかり屋》に対処するために、プレイヤーが《マグマのしぶき》再録を望むようになったのは割と最近だ。《マグマのしぶき》はそういう意味で素晴らしい役割を果たすだろうし、ゆえにスタンダードで多く見かけることになるだろう。不朽も加わったことで、このカードの価値は想像以上に高くなった。
 《マグマのしぶき》の切実な問題は《ショック》と競合するということだろう。《ショック》はPWを追い詰めることができる――その重要性は《サヒーリ・ライ》と《守護フェリダー》コンボによるところが大きい。もしコンボパーツのどちらかが次の禁止改訂で絞首台に上げられることがあれば、《ショック》は最終的には全て《マグマのしぶき》に入れ替わるだろう。

6位 明日からの引き寄せ
明日からの引き寄せ/Pull from Tomorrow (X)(青)(青)
インスタント
カードをX枚引き、その後カード1枚を捨てる。

 《明日からの引き寄せ》はまさに、コントロールを強くするためにここのところずっと待ち望まれていたカードだ。これはインスタントのXドローだから、峠を越したなと思った時にコントロールの手札が乏しくならないようにゲーム全体を規定する。このカードはスタンダードで間違いなくプレイされると思うけど、スフィンクスの啓示と違って、想像より多く使われるということはないだろう。
 《明日からの引き寄せ》が抱える最大の問題は、《奔流の機械巨人》と噛み合わないということだ。両方ともマナコストが重いし、インスタントではあるがギアハルクで再利用できない。それでも「そしたら対戦相手が《明日からの引き寄せ》をトップしてさ」といった話を沢山聞くことになるだろうが、前述の理由によりそこまでプレイはされないとも思う。そういうこともあってこのランキングでは実際のカードパワーよりも低く評価している。とはいえ、僕は「本当に」大量のマナを注ぎ込んだ最初の《明日からの引き寄せ》をプレイする瞬間を楽しみにしてるよ。

5位 検閲
Censor / 検閲 (1)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(1)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
サイクリング(青)((青),このカードを捨てる:カードを1枚引く。)

 《検閲》は素晴らしいデザインのカウンターだ。しばらくの間は対戦相手のマナカーブをぶち壊すことが出来るし、腐ったらサイクリングすれば良い。このカードはスタンダードの青いデッキで複数枚採用され、そしてそういった青いデッキの存在によってスタンダードのゲームプレイは変わるだろうと思う。
 このカードの存在は僕らに面白い選択を迫り、君が持っていないのに対戦相手がこのカードをケアした動きをすれば追加の価値も得られるわけだ。そしてもし君がこれを持って「いる」時にケアをされたら、サイクリングの出番だ。
 プレイヤーがまだこのカードに適応しきれていない環境初期には、このカードを見かける機会はとても多いだろう。そして《検閲》が実際にプレイされなくてもその効力を発揮し始めたら、プレイヤーは他のカードを使う。一旦《検閲》が一般的なデッキから消えたら、賢いプレイヤーはガードが下がっているのを見越してまたデッキに加えるだろうね。

4位 栄光をもたらすもの
栄光をもたらすもの/Glorybringer (3)(赤)(赤)
クリーチャー — ドラゴン
飛行、速攻
栄光をもたらすものが攻撃するに際し、あなたはこれを督励してもよい。そうしたとき、対戦相手がコントロールするドラゴン(Dragon)でないクリーチャー1体を対象とする。これはそれに4点のダメージを与える。(督励されたクリーチャーは、あなたの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。)

 《栄光をもたらすもの》は《嵐の息吹のドラゴン》以降で最高の速攻飛行クリーチャーだ。PWにプレッシャーを与え、クリーチャーを倒し、クロックにもなる――これら全てが1枚のカードに収まっているからこのカードは素晴らしく、ゆえにこのカードは今後のスタンダードで定番になるだろう。
 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》にとって《栄光をもたらすもの》は天敵となるだろうが、別の5マナ4/4飛行クリーチャーが《栄光をもたらすもの》を完膚なきまで叩き潰すだろうということも分かっている。《大天使アヴァシン》はこのドラゴンに対して素晴らしい働きをするから、それによって5マナで《栄光をもたらすもの》をキャストしてアタックしないというような面白い駆け引きが起こるだろうね。このカードには期待してるけど、アヴァシンの奇襲には目を光らせておく必要がありそうだ。

3位 排斥
Cast Out / 排斥 (3)(白)
エンチャント
瞬速
排斥が戦場に出たとき、対戦相手がコントロールする土地でないパーマネント1つを対象とし、排斥が戦場を離れるまでそれを追放する。
サイクリング(白)((白),このカードを捨てる:カードを1枚引く。)

 《排斥》が上位なのは、このカードは近いうちにスタンダードの定番カードになると思うからだ。サイクリングによってマナカーブが多少重くなっても問題ない。ギデオンのような4マナカードが手札に溢れたりしてもね。《排斥》は白いデッキ全てに一定数は採用されるだろうと踏んでいる。回答札として幅広い脅威に対応できるし、サイクリングもできるからだ。
 《英雄の破滅》以来、単色のインスタントでPWに対処できるカードはなかったが、《サヒーリ・ライ》コンボや《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》のようなPWをあちらこちらで見かけるような環境(次もまぁ多分そうなる)では、《排斥》のPWへの対処能力は必須だ。

2位 サイクリング2色土地
隠れた茂み/Sheltered Thicket
土地 — 山・森
(T):あなたのマナ・プールに(赤)か(緑)を加える。
隠れた茂みはタップ状態で戦場に出る。
サイクリング(2),このカードを捨てる:カードを1枚引く。

 機能的なマナがスタンダードにおいていかに重要かを考えたら、サイクリング2色土地がこのランキングに入るのは当然と言える。サイクリング土地は『テ―ロス』の占術土地と似ていて、フラッド時にドローに変換できるというユニークな機能を有している。しかし世間ではちょっとこの土地を持ち上げすぎなんじゃないかと僕は思う。
 占術土地が素晴らしかったのは、その土地をプレイした時に恩恵を受けるからで、これによってゲーム前半は土地を探せるし、後半はスペルを探しに行ける。一方サイクリング土地はフラッドを緩和させるだけで、タップインさせたら追加効果は得られないという短所がある。それでも良い土地であることに変わりはないが、僕らが愛した占術土地よりは僅かに劣ると思う。
 サイクリング2色土地は『イニストラードを覆う影』のシャドウランドと自然なシナジーがある。サイクリング土地公開でシャドウランドを早い段階でプレイして、後半は余分な土地をサイクリングするというわけだ。これは3色デッキを構築する際の面白い決断につながる――僕はその作業が大の苦手なんだけれども。
 フラッドのリスクを軽減できるので、サイクリング土地には多め土地を許容するという利点もある。これは《明日からの引き寄せ》のようなカードを中心にデッキを構築しているコントロールにとって非常に大きな恩恵をもたらす(大量ドローで不要な土地を多く引くため)。
 サイクリング土地はスタンダードで山ほどプレイされるだろう。これは間違いない。

1位 試練に臨むギデオン
Gideon of the Trials / 試練に臨むギデオン (1)(白)(白)
プレインズウォーカー — ギデオン(Gideon)
[+1]:パーマネント1つを対象とする。あなたの次のターンまで、それが与えるダメージをすべて軽減する。
[0]:ターン終了時まで、試練に臨むギデオンは破壊不能を持つ4/4の人間(Human)・兵士(Soldier)クリーチャーになる。これはプレインズウォーカーでもある。このターン、これに与えられるダメージをすべて軽減する。
[0]:あなたは「あなたがギデオン(Gideon)・プレインズウォーカーをコントロールしているかぎり、あなたはこのゲームに敗北できず、対戦相手はこのゲームに勝利できない。」を持つ紋章を得る。
忠誠値3

 このカードは評価が難しい――《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》がどうなるか分からないとなると特にね。なので今回はカードパワーだけを見て評価したいと思う。ウィザーズが《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》をどう扱っても良いようにね。もし同盟者の方のギデオンがリーガルであり続けるなら、《試練に臨むギデオン》を目にする機会は大幅に減るだろうけど、もし同盟者が禁止されるのなら《キランの真意号》を採用したアグレッシブなデッキにスッポリ収まるだろう。
 《試練に臨むギデオン》は2つの強力な能力を持った強力な3マナPWだ。自身を守る能力と強力な脅威となる能力が、これを素晴らしい3マナカードにしており、おそらく《キランの真意号》の後に出すカードとして相応しい。一旦着地してしまえばコントロールではゲーム序盤に対処できないので、《試練に臨むギデオン》は3マナでありながら、カウンター系のデッキをうんざりさせることができる。
 《ギデオン・ジュラ》の攻撃強制能力に似ている、ゲームに敗北しなくなる奥義はクールなだけでなく、《栄光の幕切れ》と組み合わせることで、アグロデッキでありながら《Time Walk》的な効果を得ることが出来るんだ。多分このエンブレムが《試練に臨むギデオン》を他のフォーマットへ押し上げるんじゃないだろうか。
 
 とまぁこんなところだ。これらが僕が考えるスタンダードで見かけることになるアモンケットのカードトップ10だ。僕が見逃した君のベストカードがもしあったら、下のコメント欄で是非教えてくれ。良い構築を!


翻訳終わり

【翻訳】看板としてのプレインズウォーカー、その問題点
みんな大好きMTGGoldfishより。クリーチャーのインフレは広く指摘されるようになった感がある一方、そこまで指摘されることのなかったPWの問題にMTGGoldfishのセス(SaffronOliveでお馴染み)が切り込みます。
ちなみにStarCityGames.comにてロス・メリアムが反論記事を書いています。参考までに。
原文:The "Face-walker" Problem by SaffronOlive
https://www.mtggoldfish.com/articles/the-face-walker-problem

以下訳


 マジックが生まれてから約25年、その間に様々な変化があり、これからも間違いなく幾つもの変化が訪れるだろうが、ここ数年で最も大きな変化――新世界秩序や神話レアの導入、レジェンドルールの改訂、もしくは基本セットの終了よりも大きな変化――はプレインズウォーカー(以下PW)の誕生だろう。
 現実を直視しよう。PWは心躍らせるものだ(った)。PWは今や全てのMTGセットにおける看板カードだ。ゲートウォッチ(以下GW)中心に物語が進められるようになって約2年経つし、次のアモンケットブロックでもほぼ確実にPWとしてのニコル・ボーラスに焦点が当てられるだろう。もちろん、これは必ずしも悪いということじゃない。PW疲れは懸念要素で、現に小さなPWグループがここ最近ほぼ毎回現れているからなおさらだ(リークされたアモンケットのアートによると、同じスタンダードプールで3枚の別のニッサが可能になるようで、これは今までなかったことだ(※訳者注:正確にはPWデッキ版を含めた4枚))。しかし特にウィザーズからすると、PWには大きな利点があるんだ。
 現代の物語/ブランド先行型マジックにおいて、PWはストーリーに目的を与えてくれるという意味で非常に重要だ。実際、ウィザーズはマジックをスーパーヒーロー映画に変えようとしている(それともスーパー「フレンズ」映画と言うべきかな?)。僕らは多元世界を巡るジェイス-ティスリーグ(※ジャスティスリーグのもじり)の偉業を追わなければならなくなる――様々な悪役と戦い、ちょっと息抜きし、新しい友を作り、時には喧嘩をし、(残念ながら)間もなく恋に落ち、破局し、そしておそらく最終的にはMTG版ジェリー・スプリンガー・ショー(※超低俗ながらも高視聴率を叩き出しているトーク番組。番組の締めは皆舞台で暴れまくるのがお約束)的な終わり方になるだろう。冗談はさておき、継続して出るキャラクターというのは数セット、数ブロック、数年をまたがったストーリーを扱う際にとても助けになる。というのもプレイヤー(もしくは読者や視聴者)は既にキャラクターを知っているし、親しみさえ覚えているだろうからね。
 既に指摘したように、同じ顔触れを何度も何度も出されることによって人々が飽きてしまうというリスクがあり、実際GWへの不満は度々聞くことがあるが、まだそこまで危険な領域には達していない。しかし少なくとも今回、僕はPWのストーリー面での問題を大々的に取り上げるつもりはないよ。勿論ウィザーズにとってPWがいかに重要か――その重要性はストーリーとブランディングに基づいたものだ――を理解することは今回の話の前提になってはいるんだけれども、今回の主題はPWがゲームプレイに与えた影響だ。物語面での影響はあくまでも二次的なものってことだね。個人的にはGWの終わりのないストーリーは大好きではないんだけど、それは僕個人の感想であって、それを好きな人が沢山いるってことは勿論分かってるよ。一方でGWと近年のセットで強力なPWが増えているということはスタンダードで特に顕著にゲームプレイが詰まらない大きな理由の一つだと思っている。


セット販売の顔としてのプレインズウォーカー

 新しいセットを売るためにウィザーズがよくやるのは何枚かの強力なカードを「看板カード」として推すやり方だ。これは別に悪いことじゃないし、実に理にかなった方法だ。それを聞いてタルキール覇王譚でフェッチランドが看板だったじゃないかとか、基本セット2010では《悪斬の天使》がそうだったじゃなかとか、色々言う人がいるかもしれない。しかしここ数年、ウィザーズがPWを各セットの看板カードにしようとする完璧な影響力の嵐を僕らは目撃したわけだ(例外は『異界月』の看板《約束された終末、エムラクール》くらいだ)。
 以下が大まかな流れだ:ハスブロ社(※全米第二位の玩具メーカーでありウィザーズの株主)はMTGをトランスフォーマーやX-MENのようなフランチャイズにしたかった。これを実現するには、MTGには継続的に出るキャラクターが必要だ。そして当然の選択としてPWが選ばれた。そんなわけで、『Magic Story -未踏世界の物語-』は主にPW達(GWのような)に焦点を当てるようになったのだ。しかしこの計画を機能させるに、PWには二つの要素が必要だった。一つはPWはセットの主な焦点及びセールスポイントである必要があるということ。二つ目はPWは強力でなければならないということ――プレイヤーがFNMやカバレージで見かけるように、最低でもスタンダード級の強さが求められる。もしたまたま超強力になって、必ず目にするレベルであればさらに良い。
 最近のスタンダードのセットをちょっと振り返ってみようか。『戦乱のゼンディカー』の看板PWは、恐らく今現在スタンダードで最も強力なカードであり、スタンダードで最もプレイされているカードトップ10にも入る《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》だ。『ゲートウォッチの誓い』の看板は、今はちょっと下火だが、去年のベストデッキの一つ(緑白トークン)で重要な役割を果たしていた《ゼンディカーの代言者、ニッサ》。『イニストラードを覆う影』は緑黒昂揚の必須パーツとして《約束された終末、エムラクール》を禁止に至らせる手助けをした《最後の望み、リリアナ》だろう。『異界月』は例外(《約束された終末、エムラクール》がセットの顔だったが、良い幕切れとはいかなかった)。そして『カラデシュ』には《反逆の先導者、チャンドラ》(現在スタンダードで使われているカードトップ10の一つ)と《サヒーリ・ライ》(厳密には看板PWではないが、無能がなせる奇妙な巡り合わせ、もしくは偶然によって。同じくトップ10カードの一つ)がある。最後に、《策謀家テゼレット》が『霊気紛争』の顔だ。
 この看板PWリストはスタンダードにおける最良のカードたちの名士録のようだ。あまりにも強力過ぎて禁止されたものもあれば(《約束された終末、エムラクール》)、2つはこの前の禁止改訂の短いリストに載っていたし(《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《サヒーリ・ライ》)、残りも(《策謀家テゼレット》を除けば)何かしらの期間においてはスタンダードでのトップ5カードだった。重要なのは、ウィザーズはセットを売るためだけにPWを使っているのではなく、これらのカードがスタンダードにおいて、とても強力と壊れの間のパワーになるように最大限推し進めているということだ。


看板プレインズウォーカーとゲームプレイ

 このように猛プッシュされるPWが物語の推進剤として、またセットを売るためには間違いなく良いものである一方、幾つかの理由によってゲームプレイにおいては非常に問題がある。その理由を理解する前に、まずはゲームプレイにおいてPWが何たるかを確認しておく必要があるだろう。フレイバーやストーリーとは関係なく、PWは何度も起動できる、分割カードとパーマネントのある種奇妙な合成のようなデザインをされている(アーティファクトやエンチャントのように)。結果として、PWは本質及びデザインの時点でカードアドバンテージを生み出し続けるエンジンになっているんだ。たとえ実際カードを引かせるということがなくても、毎ターン能力を起動できるからね。分割カードの面はPWの複数の能力に当てはまる。僕らがここ数年で見ることになった多くの強力なPWは防御に素晴らしい働きをする(《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の2/2トークンは毎ターンチャンプブロックさせてくれる)だけでなく、攻撃でも素晴らしい働きをし(《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》はたった4マナで5/5破壊不能のアタッカーになる)、デッキを安定させ、プレイヤーを延命し、さらにはゲームを終わらせることもできる。これにより、多くのPWがマジックのカードにおいて稀少なグループ――劣勢の時も、優勢で勝ちに繋がるカードを探している時も、両方においてベストなカード――に分類されているわけだ。
 おそらく最も明白なPWの問題は、それらはあまりに他のカードより優れているが故に、プレイアブルなカードの数を極端に損なわせているということだ。例えば、《反逆の先導者、チャンドラ》を見てみよう。彼女は最悪でも「4マナ4ダメージに少しのライフゲインがつく」これは絶対に得られる最低ラインだ。逆に彼女の天井は(他のPWにも言えることだが)「ゲームに勝つ」だ(《反逆の先導者、チャンドラ》の場合、+1でのダメージとドローに始まり、最終的には奥義でその過程を加速させるだろう)。一方で、《集団的抵抗》は本当に、本当に強力なマジックのカードで、クリーチャーに4点のダメージを与えるだけでなく、もしマナがあれば相手プレイヤーにダメージを与えられ、さらに《意外な授かり物》のようにいらない手札を入れ替えることも出来る。問題は《集団的抵抗》は大抵《反逆の先導者、チャンドラ》より劣っているので、誰もプレイしないということだ。もし君が《集団的抵抗》を使っているなら、それは間違いだ。なぜなら《反逆の先導者、チャンドラ》の方がはるかに強力だから。これは他のPWにも同じようなことが言える。もし君が素早く相手を殴り倒すプランを採用していて、かつ白を使っているのなら、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を使わずに《折れた刃、ギセラ》や《大天使アヴァシン》を使うということはあり得ない。要するにPWはそれに本来備わっているカードパワーによって、スタンダードの他のカードを押しのけてしまうのだ。そしてこの問題は、スタンダードのゲームプレイと関係のない目的のためにPWが意図的にプッシュされることで、さらに膨れ上がる。
 多様性を狭める以外にも、PWは他にも大きな影響をゲームにもたらしている。PWは全てを中マナ域に偏った戦略を推し進めがちなのだ。スタンダードの競技用デッキを組もうとした時、そのフォーマットにおいて最も強力なカードを使わないというのは非常に難しい。ブライアン・デマースが数日前にChannelFireballの記事で指摘したように(拙訳http://enokitake.diarynote.jp/201703172305397824/)、僕らはアグロ/ミッドレンジ/コントロールではなく、攻撃的なミッドレンジ(《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》入り)や、純粋なミッドレンジ(《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》入り)、そしてコントロール寄りのミッドレンジ(これまた《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》入り)に辿り着くわけだ。
 ミッドレンジからミッドレンジへと移り変わる過去数セットのスタンダードのメタゲームの原因はPWだけというわけではない。全体除去やバーンスペルのマナコストは上がり、除去も同じように続き、そして皮肉にもこれらの他の変化がPW問題を更に悪化させているのだ。もし《稲妻》がスタンダードにあれば、《反逆の先導者、チャンドラ》を思考停止で最適な除去と見做すわけにはいかないだろう。そして更にはPWのない赤いデッキを組むことだって可能かもしれない。
 最後に、これは万人に当てはまるわけではないかもしれないが、猛列にプッシュされ、絶対プレイしなければならないPWが毎セット存在するということは、限られた予算で競おうとするプレイヤーにとってスタンダードを高価なものにしてしまう。もし君がBudget Magicシリーズ(https://www.mtggoldfish.com/series/budget-magic)をチェックしてくれているのなら、プレイしたデッキのアップグレード版を毎週投稿しているのは知っていると思う。意外じゃないと思うけど、今のところスタンダードのデッキを「アップグレード」する最も一般的な方法は《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》のようなPWを足すことなんだ。大抵、それは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》がデッキのテーマにあっているとかシナジーがあるというわけじゃなく、ただ単にギデオンがあまりに強力なので、ギデオン抜きの白いデッキという時点で、ギデオン入りより弱くなっているからなんだ。
 かつてウィザーズは神話レアは推したい構築用カードのためでも、そのセットでの最高のカードが上から選ばれるようなものでもないと言った。まあ、ストーリーと売り上げのためにPWを推していく新しい方針下では、各セット少なくとも一つの、競技レベルの構築がしたければ「絶対に入手しなければならない」カード専用の、神話レア枠を拵えることになる。そしてセットによっては複数の推しPWがいるわけで、最終的には更なる神話レア枠が構築で必須のカード専用枠になるだろう。それはつまり更なる超高額カード(マスターピース制度が設けられた以上、神話は印刷される中で唯一重要な価値を維持できるカードだ)の増加を意味し、それは代わりに、スタンダードで競技的でありたいならプレイヤーは多くの資金を溢れんばかりの神話レアのために費やさなければならないということを意味する。
 公平に言えば、僕はPWがゲームプレイに与えた良い影響についても書きたかったんだけど、どうしても良い答えが思い浮かばないんだ。PWは確かに楽しいものである一方で、その楽しいPWは明らかに構築用に調整された看板PWではないんだ。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を形容するあらゆる形容詞の中には、「楽しい」は含まれていない。実際、僅かにパワーを落とされたPWの方が遥かに楽しいんだ。倒されやすく、時には面白い動きをするゲームプレイを体験できるだけでなく、《滞留者ヴェンセール》を入れるか《リリアナ・ヴェス》を入れるかといった選択とジレンマをデッキビルドで味わえるからね。「どちらが先に《サヒーリ・ライ》を引いたか?」に帰着するゲームは楽しくない。「《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を倒すための数少ない回答札の一つを持っているか?」でゲームが決まるのも楽しくない。つまりPWは楽しい存在になれるが、極めて強力なPWはほぼ確実に楽しくはなれないのだ。そして最近は(既に述べた理由により)僕らはもっともっと超強力なPWを目にしている。


解決策

 PW問題への解決策に入る前に、いくつかの選択肢は既に利用不可能なのではないかという前提に触れるべきかもしれない。例えば、セールスポイントであり推しカードでもある「看板PW」を取り除けば問題は解決するかもしれないが、ウィザーズがその案を受け入れるとは考えにくい。良くも悪くも、ウィザーズにはマジックをX-MENやトランスフォーマーのようなフランチャイズにする計画があり、この計画には各セットに最も重要なカードとしてのPWがあることが不可欠なんだ。PWがゲームプレイに悪影響を与えないようにするために、ウィザーズが包括的目標を巻き戻すなんてことはないだろう。また、これは特定のPWにだけ当てはまる話じゃない。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を少し弱くするのにそこまで意味はない。なぜなら僕たちが持ち合わせている情報を統合すると、これからも当分の間は看板PWの大行進は続くだろうからね。なので個別のPWを「手直し」しても、ウィザーズはマーケティング及びセット販売のためにPWを推し進める必要があるという根本的な問題は何も解決しないわけだ。
 もう一つの前置きとして、PWを神話レアから単なるレアに降格するというのがあり、確かにこれは価格を抑えてはくれる(良いことと言える)だろうけど、それはPWがゲームプレイにもたらしている問題に関しては何の影響もないんだ(《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》がレアになってもその強力さや詰まらなさは神話の時と何も変わらない)。しかし実現可能な解決策がないわけではないんだ。

その1:プレインズウォーカーを「少し」弱くする
 そうそう、前の章で言い忘れたんだけど、PWを弱くするのも同様に現実的な解決策とは言い難い。というのも、ブランド及びマーケティング目標を達成するために、PWはプレイされ見かけるようにならないといけないからね。しかしながら僕は、PWがあまりに強力過ぎてウィザーズのストーリー/マーケティング目標を助けるのではなく、害するようになる転換点があると信じている。人々がFNMやグランプリ/SCGのカバレージで看板PWを見るようにするというのはウィザーズにとって素晴らしいことかもしれないが、一方であまりに多く目にする機会があると、プレイヤーはそういったPWカードを嫌いになり(もしくはカバレージを読むのをやめFNMに皆行かなくなる)、それはウィザーズが望むところではないだろう。なので、ウィザーズはPW開発に関して、単に高みを狙い過ぎているのかもしれない。「明らかに疑いの余地なくスタンダードの定番」を目指した結果、最終的に息苦しく多様性のない醜い化け物のようなメタに辿り着くのではなく、おそらく目指すべきは「スタンダードでプレイアブル」なのではないだろうか。そうすればカードが多少強すぎたりしても、それは壊れではなくスタンダードの定番になる程度で済む。やはりウィザーズは今一度ストーリーや販売目標を達成するためにPWが――たとえ看板PWであっても――壊れているほど強力である必要はないという事実を受け入れる必要がある。

その2:恒常的なプレインズウォーカーヘイトカードを
 スタンダードに対応カードを戻すことについて色々書きたい気分だよ――多分やり過ぎなくらい。特にウィザーズが脅威と対策の振り子が脅威の方に傾き過ぎているから、それを戻すべきだと気付いたと表明したことを考えるとね。しかし今回は少々事情が異なる。普通の「脅威が強すぎて回答が弱すぎる」という主張ではなく、スタンダードに常に特定の回答札があるように、という嘆願だ。ウィザーズは別にPW中心のストーリーを変更したりPWを著しく弱体化させるつもりはないだろうから、最も簡単なPW問題の解決策は、常にPW(マジックにおいて最も強力なカードタイプ)に対処できるカードがスタンダードにあるようにすることだ。
 現在のスタンダードにおけるPW問題は通常よりもはるかに酷い。なぜならPWへの回答がマジックの歴史上類を見ない程弱いんだ。火力呪文は2マナ(のソーサリー)なのに3点しか与えられず、《破滅の道》も同様にソーサリーだ。優良火力呪文(赤がPWに対処するには良い選択肢だ)や《英雄の破滅》を戻せば部分的な解決策にはなりえるだろうが、PWは現在あまりも大きな役割をゲームプレイにおいて果たしているため、特定の色だけに少しの対策を与えるだけでは十分に改善されたとは言い難い(例えば《英雄の破滅》だけでは、黒を使わなければ《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を倒せなくなるというだけで、デッキ構築の制約が加わったに過ぎない)。
 本当に必要なのは、強力でかつ無色の回答が常にスタンダードにあるようにすることだ(「どうやって」そういったカードをスタンダードに常駐させるかは、基本セットが終了したので、少々込み入っているが、《否認》のことを考えれば不可能ではないだろう)。個人的にはスタンダードに《真髄の針》を戻す案に賛成したいが、ウィザーズは(特定のメカニズムを支援するために)この類の能力は避けたいんじゃないかと思う。だからPWしか指定できない《真髄の針》ならどうだろう?「カード名を1つ指定する」の代わりに「プレインズウォーカー・カードを1つ指定する」にする以外は文字通り全部同じテキストでね
 PWにはまだまだ手を付けられていないデザイン領域があるから、それを変える必要がある。もしウィザーズがこれからもPWを最重要カードとしてプッシュしていくつもりなら、同時に「プレインズウォーカー」を対象に取れる《飛行機械による拘束》や《停滞の罠》のようなカードや、PWも一緒に流せる全体除去も増やすべきだ。もしくは、適切なマナコストで「もしプレイヤーがプレインズウォーカーの忠誠カウンターを加えるならば、代わりにそれと同じ数の忠誠値カウンターを取り除く」みたいな効果の黒エンチャントなんてどうだろう?基本的に僕らはPWの「強い」面ばかり見てきたし皆それの凄まじい性能については嫌と言うほど分かっていると思うが、同様に「弱い」面にについても目を向ける必要がある。他のカードタイプは全部、面白くかつ十分な回答があるわけで、PWも同じであるべきだ。

その3:プレインズウォーカーの数を減らせ
 『戦乱のゼンディカー』はストーリーをほぼ独占的にPWに焦点を合わせて MTGの物語に大きな変化をもたらしただけでなく、目にするPWの数を一気に増やした。『アラーラの断片』から『タルキール』ブロックまでは、大型エキスパンションには平均2.45人のPWがいた。もし『アラーラの断片』を除外すれば(『アラーラの断片』には諸事情により4人ものPWが収録されている)、平均2.3人まで落ちる。一方で、小エキスパンションの平均PWは1人未満となる(ほぼ全ての小セットにはきっかり1人PWが収録されているが、『アラーラ再誕』だけは1人もいないため)。『戦乱のゼンディカー』からの大エキスパンションのPW平均は4人で、小エキスパンションは2人だ。各セットの数が約2倍に膨れ上がっているわけだから、大きく増加していると言っていいだろう。さらにこれは『プレインズウォーカーデッキ』のPWはカウントしていないので、正確にはさらに多いことになる。
 これほどにPWが多いとキャラクターやカードとしての特別感が損なわれるし、実際ゲームプレイにおいては既に起こっている。PWを初めて見た時はとてつもなくワクワクしたし、PWとの蜜月はその後数年続いたんだが、単に毎年多くのPWを出したというだけの理由で、今やすっかり輝きを失ってしまった。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》のように猛烈にプッシュされているPWでさえ、『ローウィン』の《ジェイス・ベレレン》や《野生語りのガラク》ほどにはワクワクしない。
 理想を言えば、ウィザーズはPWの印刷数を『戦乱のゼンディカー』前のレベルまで落とすべきだろう(大セットに2人、小セットに1人)。こうすればスタンダードがPWで溢れるようなことは避けられるだろうし、もしかしたらPWをまたワクワクさせてくれるカードタイプに戻せるかもしれない。

その4:使い道が限定されたプレインズウォーカーを作れ
 これが最も実装される可能性が高い解決策かもしれない(勿論今回提示した解決策全てが採用されれば最高だけどね)。ウィザーズはゲームプレイとは関係のない理由によって強力なPWを刷る必要があるということは既に述べたね。これから述べることは矛盾してるように思えるかもしれないけど、強力なPWは必ずしも悪いことではないかもしれない。看板PWの多くに当てはまる問題点は、そのPWをキャストできるデッキなら漏れなく強力な働きをするということだ。《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》や《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》、《反逆の先導者、チャンドラ》のようなカードは、色さえ合っていればアグロ、ミッドレンジ、そしてコントロールといった全てのデッキにとってベストなカードだという主張になんらおかしいところがない。この幅広い使い方ができる性能は、至る所でPWを見かけるようにしているだけでなく、これまでに語ってきた多くの問題――PWでなく他のカードをプレイするのが間違っている――に結び付く。
 他方で僕らは、とても強力であるにもかかわらず特定のアーキタイプでしか輝かないPWがいることも知っている。《ボーラスの工作員、テゼレット》は最高の例だ。ざっと目を通しただけでもそれが非常に強力だと分かるだろう。しかし本当にそれの力を引き出すためには、多くのアーティファクトを擁した専用のデッキが必要になる。少なくとも《守護フェリダー》が来るまでは《サヒーリ・ライ》も似たようなものだった。多くのデッキがサヒーリには目もくれなかったが、特定のシナジー(《太陽のタイタン》のような)があれば《サヒーリ・ライ》はとても良いカードだった。これは《滞留者ヴェンセール》(ブリンク)や、《野生語りのガラク》(ランプ)、《群れの統率者アジャニ》(アグロ)、そして《悪夢の織り手、アショク》(コントロール)にも当てはまる。これらのPWは全て(紹介しきれなかった幾つかの他のPWも)、10点満点中8点のパワーはあるが特定のアーキタイプでしかその力を発揮しないんだ。なのでこれらのPWは環境を息苦しくしないし、スタンダードを歪めることもないし、使っても使われても楽しいんだ。これは僕ら全てのプレイヤーにとって良いことだ。加えて、カードパワーは十分なわけだから、こういったPWもまだウィザーズのスタンダードの収録基準を満たしているんだ。


結論

 良くても悪くてもPWは今ここにいるわけだ。ウィザーズはマジックを一ゲームからフランチャイズブランドに変化させるためには、PWが最良と信じているわけだから、どちらかといえば、今後数年PWはますます重要になっていくと僕らは考えるべきだろう。古参はこの変化を嘆くだろうが(僕も時々そうなる)、ウィザーズからすれば全くもって合理的だし、ゲームプレイ外の目標を達成するには明確に最良な方法でもある。
 なのでウィザーズにはPWを正しく扱うこと求められている。僕らプレイヤーにとってこれが如何に重要かはこれまで述べてきたが、同時にウィザーズにとっても重要であるわけだ。最終的に顧客の大部分が、ウィザーズにとっての最重要キャラクターを嫌いになってしまえば、目的達成の真逆をやっていることになるわけだからね。ありがたいことに妥協点はある。ウィザーズが、スタンダードと実際のゲーム体験を破壊することなくセット売ったり、映画を製作するために強力なPWを刷り続けることは可能だ。(今一度思い出してほしい。ゲームプレイはMTGというブランドの根幹だ。マジックが楽しくなくプレイに耐えるものでなければ、だれも気にかける者がいなくなり、映画もTシャツも物語もその他もろもろ全部お釈迦だ)。単にPWを飽きさせないためにPW全体の数を減らしたり、PWに干渉できる方法を増やしたり(これがスタンダードに常にあるということも重要だ)、PWを色が合えば即採用されるような使い道の広い強力なカードから、特定のデッキじゃないと上手く扱えないように使い道は制限されているが条件が合えば依然として強力なデザインにしたりすればいいんだ。

 ともあれ、今回はこれで終わりだ。君はどう思った?PWが好き?PWは未だにワクワクするカードタイプかな?それともPW疲れを経験済み?PWの数についてはどう思う?カードパワーは?もしPWに問題があると思うなら、僕らプレイヤーのみならずウィザーズも満足させられるような他の解決策は何かあるだろうか?(PWを消去したり、レアやアンコモンに降格したり、PWの価値を下げるためにストーリーを変更したりしても、ウィザーズからすれば考慮するに値しないんだ。僕らの意見が真面目に受け止められるようにするためには、批判やフィードバックを送る際には、僕らはウィザーズの目指しているところを考慮しなきゃいけない。)是非コメント欄で教えてほしい。もちろんいつものように、Twitter @SaffronOlive もしくはSaffronOlive@MTGGoldfish.comに送ってくれても構わないよ。


翻訳終わり
【翻訳】スタンダードの直しかた byブライアン・デマース
【翻訳】スタンダードの直しかた byブライアン・デマース
サイゲの一件で腹が立ったので引っ込めようかと思いましたが、折角訳したので放出することにしました。モッタイナイヨクナイ。
ちょくちょく参照画像がありますが、画像見なくても別に大丈夫です(画像見た方が理解しやすくはなると思いますが)。
原文:How to Fix Standard By Brian DeMars
http://www.channelfireball.com/articles/how-to-fix-standard/

以下訳



 月曜の禁止改訂ではどのフォーマットにも禁止はなかった。エターナルでは禁止はないと踏んでいたが、スタンダードでは何かしら禁止されるだろうと思っていた。どうやら機を逃してしまったように見える。


僕は猫派じゃない

 《守護フェリダー》(もしくは《サヒーリ・ライ》)が禁止されるのを見たかった。コピーキャットコンボがロケットに乗せられて宙高く打ち上げられて二度とスタンダードに戻ってこないのを見たかった。

画像①

 お手軽2枚「揃えば勝ち」コンボはスタンダードでは強すぎる。マルドゥは(僅差ではあるが)ベストデッキかもしれないが、コンボの存在がマルドゥを大いに利している。
 マルドゥに有利なアーキタイプは幾つもあるが、それらはコンボに対してあまりにも脆弱なために土俵に上がれないんだ。イシュカナは対マルドゥには素晴らしいカードだが、コントロール向きの重いカードはこの環境では駄目だ。なぜなら一度タップアウトすると、1グーゴルプレックス(10の10の100乗乗。つまり滅茶苦茶多い)もの生まれたての子猫ちゃんが押し寄せてきて、数匹の蜘蛛じゃとても足りないからね。
 僕が気になるのはサヒーリコンボがスタンダードからいなくなるかどうかであって、ギデオンやキランの真意号が壊れても涙を流すことはないだろう。しかしサヒーリコンボをスタンダードから取り除くことは更なる選択肢を提供すると強く信じている。


なぜ今禁止すべきだったのか

 今禁止する、後で禁止する、決して禁止しない。結局どれか選ばなくてはならないんだ!
 理想の世界ではDCIはカードを禁止する必要なんてないが、僕らがいるのは現実の世界で、理想の世界じゃない。
 後で禁止することの利点として、DCIがフォーマットをより観察する時間を得ることと、もしかしたら次のセットのカードが問題を和らげてくれるかもしれないってことがある。更に禁止を後回しにするということは禁止しないという理想的な選択肢を手にするということでもある。
 最高のシナリオ(問題が自然と直る)が存在する一方で、現実ではコピーキャットは勝手に消えるような類の問題ではない。DCIがフェリダーを禁止することは大いに意義があると僕が考える理由は2つある。

1.環境はどうやったってつまらなくなる

 今度のスタンダードは楽しく、良いフォーマットだなと思ったよ。週ごとにあるデッキから別のデッキへとメタが移り変わったしね。しかし今や埃が積もりパズルはすっかり解かれてしまった。
 SNSで行われたある議論に少し僕も加わったんだけど、そこで僕はスタンダードの本質的な問題について考えさせられたよ。結局僕はこのスタンダードが好きだし、「倒すべきデッキ」が週ごとに変わるのも最初の1カ月くらいは楽しめた。しかし多くの人が情報を共有し一つのフォーマットをプレイしてるこの時代においてフォーマットをしばらく解明しないようにすることは可能なのか?
 以下がその議論だ。

ブライアン・デマース「分かってるよ!文字通りそれと同じことを言ったし、とても相互作用に満ちていて決断が重要なゲームだって指摘したんだ。でも皆肩をすくめて『分かんないな。スタンはクソだよ』って言うだけだ。これ以上何を望むんだよ?笑」

エリック・フローリッヒ「スタン環境は全くもって悲惨だけど、ゲーム自体はとても駆け引きがあるよ。もし勝ちたいなら2つしか選択肢がないし、多様性の欠如は酷いものだけどね。(確かに他のデッキでも勝てるには勝てるが、同じように勝てるかと言うと怪しいと思う)」

パウロ・ヴィター「僕はそんなに駆け引きがあるとは思えないな……僕が見る限り多くのゲームはマナの問題で決着がついているし(一番人気のデッキが3色アグロだからね)、ミラーマッチだと先手がとても有利だ。それでもって4キルコンボもあるときた。確かに良いゲームもあるだろうけど、一度『色事故していないか?』『後手で素晴らしいハンドか?』の壁にぶち当たると、その壁を乗り越えるのはこのフォーマットでは非常に難しい」

ブライアン・デマース「発売から2ヶ月程度で2つもしくは3つのデッキに収束してスタンダードが『解明される』のは多分不可避なんじゃないかと思えてきたよ。これだけ色んな情報を見れる世界になって、そこに行きつくのはしょうがないんじゃないかな。
 もう一つ言いたいのは、フォーマットの価値はそれが解明されるかどうかでも、最後にどう見えるかでもなくて、全体の流れがどうだったかだと思う。メタゲームは流動的だったし週ごとに変わっていった。どう転んでいくか全く分からなかったんだ。この特定のスタンが悪かったんじゃなく、スタンダードというフォーマットが新セット前には辿り着く普遍的な問題なんじゃないかと思う」

エリック・フローリッヒ「いやいや、こんな事態は避けられるよ、当然さ。絶対プレイしなきゃいけない幾つかの壊れカードをただなくせばいいだけだ。他のフォーマットみたいにね」

コービン・ホスラー「FNMで勝てるレベルのティア2デッキは5~6個あって、99%のプレイヤーはそうやってスタンに取り組んでるということを君は見逃してるよ」

ブライアン・デマース「エリック、君が思う良いスタンダードはいつなんだい?」

エリック・フローリッヒ「最近まさに同じことを自問したんだけど、思いつかなかったな……問題はまさに君が指摘したようにプレイヤーが環境をすぐに解明することにあると思う。これは解決可能な問題ではあるけど、WotCが解決するようなものではないし、必ずしも解決すべきものではないかもしれない。超強力なカードを刷ることは売り上げに大いに貢献するだろうけど、勝ちたきゃそういうカードを絶対使わなきゃいけないから環境は硬直する」

パウロ・ヴィター「コービン・ホスラー君、僕らはそれを知ってるよ。見逃してなんかいない。ただ『このスタンはプロレベルでプレイする/観戦する/デッキを作るのには詰まらない』ということへの反論には、必ずしもなっていないんじゃないかってことさ。多くの絶対的に退廃していないフォーマットはFNMレベルではこの多様性を保っている。なのでそういう多様性を達成することはプロレベルでの多様性が酷いことへの『言い訳』にはならないよ。それらは両立可能なんだ。
 君が霊気紛争のスタンダード全体の過程をどう感じようと、僕らはもう環境解明に行きついてしまっていて、今やるべきことは殆ど残っていないということについては全員同意できるだろう。
 もしDCIが禁止を出したなら、それはメタゲームを変動させるし、プレイヤーとデッキビルダーにとって踏破すべき全く新しい世界を作り上げるだろう。もう一ヶ月マルドゥ対サヒーリばかりの試合に文句を言わせるのでなく、新しいメタゲームを作り上げ、読み解こうとして非常に楽しいことになっただろうね。
 僕はこういう禁止はマジックの良い点だと思っている。『死んだフォーマット』を活気のあるものに変えてくれるからね。誰も今のスタンをあと数ヶ月もプレイしたいなんて思わないだろうし、禁止すれば一度は死んだスタンにまた興味を持ってくれるだろう」


2. 禁止は正しい文脈でスポイラーを見直させてくれる

 このまま次のセットのリリースを待つより今禁止をすべきもう一つの理由として、次のセットのスポイラーを新たな視点で見れるというのがある。今後数カ月スタンダードで起こることによっては、僕らはスポイラーを「へえ、コピーキャットが禁止『だったら』この新カードはすごく良かったね」と言いながら眺めてるかもしれない。
 また、もし将来コピーキャットがスポイラー期間中に禁止されるだろうというデータが出たらどうなるだろう?「全てのカードを2つの別の文脈で見直さなければならないのか?コピーキャットがいるかいないかで?」少なくとも今何かを禁止しておけば、次の環境がどうなるかと言う点において今の立ち位置を知ることはできる。


スタンダードは再考されるべきだ

 チームメイトのカイル・ボージェムとスタンダードと禁止について話したんだけど、そこでカイルがスタンダードの本質について鋭い指摘をしていたのでここで紹介するよ。
 スタンダードの問題その一はミッドレンジが良すぎるということだ。ミッドレンジが全然駄目だった時に、僕はミッドレンジとミッドレンジが大好きな人達を馬鹿にしていたんだけど(本当さ)、今や時代は変わりミッドレンジがスタンダードの王となって随分経つ。
 ミッドレンジが強すぎるのは、それがウィザーズがここ数年作り続けてきたカードの影響をモロに受けているからだ。ミッドレンジ向けのカードがただひたすら他のカードよりも良質なんだ。ハッキリさせておきたいんだが、マルドゥ機体はアグロのミッドレンジだし、BG巻きつき蛇は純粋なミッドレンジで、サヒーリデッキはコンボを備えたミッドレンジだ。
 マルドゥはアグロでサヒーリはコンボ、BGはミッドレンジの三竦みメタゲーム何て言われるが、実際はどれも全てミッドレンジでゲームプラン立てている。
 除去でもあり生き残れば能力を使いまわせて時にはゲームに勝たせてくれるパーマネントをプレイできる時に、どうしてただの除去スペルを使わなきゃいかないんだ?
 特にPWはクリーチャーやその他のスペルよりもスタンダードでは遥かに強力だ。PWは
盤面にすぐさま干渉し、死なない限りその後のターンもアドバンテージを生み出し続け、すぐに対処されなければPWだけでゲームを完全に掌握してしまう。

画像②

 ギデオンが良い例だ。こいつは比較的軽いコストにもかかわらず多様な働きをして、すぐに対処しないと数ターンで相手プレイヤーを倒してしまう。対処し辛く、適切に回答するのが不可能と思うのも当然だ。
 もし僕の目的が出来るだけ多く勝利することだったら(実際そうだ)、これらの(A)「非常に効率がよく、階級無視で非常に強力」で(B)「他のカードに簡単に対処されたり咎められるものがない」カードを使わない理由はない。
 この硬直した2デッキメタゲームに行きついた大きな理由はミッドレンジのような特定の戦略が、効率的で強力なカードを上手く使えるが故に、他の戦略よりも単純に優れているからだ。


「楽しくない」戦略を戻せ

 フェイスブックでエリック・フロードリッヒにした質問「一番いいスタンダードは何だった?」をカイルにも訊いてみたところ、カイルはすぐさま非常に説得力のある理由付きでラヴニカ/神河だと答えてくれた。
 カイル曰くラヴニカ/神河が素晴らしかったのは文字通り終わりがないくらい色々なことをプレイヤーは出来たからで、それはウィザーズが「楽しくない」カードを刷るのを恐れなかったから可能だったという。当時は全ての種類の不愉快なデッキがあったし、馬鹿みたいに強い壊れカードも同じくらいあったんだ。
 パッと見、不愉快なデッキや壊れカードは良くないように思える。しかしそれによってプレイヤーはあらゆることを出来る選択肢を手にしていたんだ。

画像③

 《猛烈に食うもの》ポンザ、《春の鼓動》コンボ、《けちな贈り物》ランプ、太陽拳コン、UGテンポフラッシュ、Zooアグロ、オルゾフミッドレンジ、ハウリング・オウル、など枚挙に暇がない。
 強力なカードばかりで、マナ基盤も上質だったのでプレイヤーはやりたいことを全部やれたんだ。特定の理想的なプレイ体験(ミッドレンジ)に焦点を当てるのではなく、ゲームプレイ全体に多様な可能性を促進するようにカードがデザインされていた。
 僕はアナリストが何らかの表を見て「どうやらミッドレンジでプレイするのが好まれているようだな。ランデスは嫌われているようだ。カウンタースペルも嫌われているようだ。ロックデッキも嫌われているようだ」と言ったんじゃないかと思うよ。そして開発は好ましくないアーキタイプ全てを排除しほしいものを与えるという最も論理的な帰結に辿り着いたわけだ。

画像④

 問題はプレイヤー自身が本当に何を望んでるのかしばしば分かっていないということだ。確かに、短期的には人々は何であれ負ければイラつくだろう(そもそも土俵に上がっていないかのような負かされ方をしたならなおさらだ)。しかし僕は問いたい「2つのミッドレンジしかトップメタにいない硬直したメタゲームの方が本当に優れているのか?」と。
 これは誰に尋ねるかによって大分違う答えが出るだろう。ああいった戦略がプレイヤーに人気かどうか知るにはモダンが格好の例だ。モダンには全て(もしかしたらそれ以上)がある。ああいった「不人気な」戦略全てが存在しそれを実際目にすることができるんだ。ランタンのようなプリズン、ストームのような速いコンボ、RGポンザ、そしてもちろんカウンター満載のデッキもなんでもござれだ。多くのプレイヤーが嫌いなカードについて不平を漏らすが、実際はプレイヤーはモダンを愛しているしモダンは不平が絶えないにも関わらず成長し盛り上がっているんだ。


子供だましの施策はやめろ

 もし僕が開発だったら、子供だましはやめて違った戦略が存在できるようなカードを刷ることでスタンダードを立て直そうとするだろうね。もし戦略の多様性とダイナミックなプレイ体験がゴールなら、もっと色々な選択肢があるべきだ。どう見たって「強い」カードトップ5が全部ミッドレンジ向きであるべきじゃない。
 今キミが何を思ってるか分かるよ「もし今後さらに情報化が進んで、環境が解明されたとき、ミッドレンジがベストな戦略という代わりに2つの更に楽しくない戦略がトップメタになったどうするんだ?」
 良い質問だ!表面的には、トップメタが2つしかないメタゲームでも、少なくとも4Cサヒーリ対マルドゥは面白いし駆け引きのあるゲームを後押しするだろう。一方でランデス対コントロールは多くのプレイヤーにとって楽しい体験とは言い難いだろう。特にこういったデッキはFNMのようなカジュアル層への受けが極めて悪い。
 僕の答えはこうだ。ゲームデザイナーをゲームの一部が「立ち入り禁止」になっているような箱に押し込めるのではなく、彼もしくは彼女たちのやりたいようにやらせる。ウィザーズには素晴らしいプレイヤーやデザイナーがいるし、僕は彼/彼女たちが何とかすると信頼している。開発チームが挑戦し続ける限り、スタンダードでどんな問題が起こったとしても僕は彼/彼女らのミスを受け入れるだろう。
 これの問題はここ最近のスタンダードより悪い、末期のフォーマットになるリスクがあることだ。しかしそうは言っても、ここ最近のスタンダードがそこまで酷くはないにしても素晴らしいとは言い難いのも事実なわけで、スタンダードをもっともっと良くする余地は確実にあると思う。


翻訳終わり
雑な翻訳です。言い訳です。誤訳等お気づきの方はコメント欄にてご指摘いただければ幸いです。
原文:The 4 Big Problems with Standard by Mike Sigrist
http://www.channelfireball.com/articles/the-4-big-problems-with-standard/

以下訳


 今週末のGPピッツバーグの後、スタンダードのメタは既に硬直化してるっていう不満をちょくちょく聞くようになった。そこで僕はどのくらいの人がスタンを楽しんでるか、もしくはそうでないかをツイッターで訊いてみたんだ。結果は拮抗していたが、僅かに否定派が肯定派を上回った。僕は今のスタンは「否定派」だから、この結果には特に驚かなかったよ。僕がそう思うのは幾つか理由があって、同時に僕らが今直面している問題への根本的な解決策も提示するつもりだ。


【1】先手が重要過ぎる
 ダイスロールに勝てなきゃすごく不利になるぞって初めて感じた時のことを今でもよく覚えているよ―2016年のGPデトロイト、「エルドラージの冬」の時だ。確かにマジックでは先手は大抵有利だ。しかしこの時ほどではなかった。このエルドラージミラーでは《難題の予見者》を最初に出せることは凄まじいアドバンテージで、今のスタンダードも先手の重要度という点ではこれと大差ないと思う。
 ジェスカイサヒーリでPT霊気紛争に向けた準備をしてる時、先手で初手に土地が数枚に《蓄霊稲妻》と《サヒーリ・ライ》があった時は最高に嬉しかったね。サヒーリをがら空きの戦場にプレイできるということはとても強いアクションだ。対戦相手はタップアウトしたらフェリダーが出てきて即死するリスクを考慮して土地を立たせなければならないからね。後手でも同じような手札になることが度々あったが厳しいものだった。というのも3ターン目には既に相手の場に脅威が並んでいて、たとえ除去があっても3マナカードをプレイできないからだ。
 機体もまた先手ゲーを加速させている原因だ。機体は先手だと本当に輝く。盤面を構築し、先に攻撃でき、召喚酔いをしているクリーチャーを搭乗させることができる。搭乗するためにタップされたクリーチャーはブロックしないし、機体はマナコストの割に非常に大きなPTを有している。《キランの真意号》を有効に止められる2マナクリーチャーはいないんだ。だからブロックなんてできないし、つまりそれは先手をとてつもなく利しているということになる。古いフォーマットでは少なくとも同じサイズかそれ以上の大きさのクリーチャーをプレイして有利なブロックをすることができたんだけどね。機体を《屑鉄場のたかり屋》や《模範的な造り手》と組み合わせたなら、ブロックするのは最高に難しくなる。ゲームの序盤なら尚更だ。《模範的な造り手》は1/1としてしかブロックに参加できないし、たかり屋に至ってはそもそもブロックできないからね。ブロックしないのならゲームはダメージレースになり、ダメージレースは大抵先手が有利だ。
 緑黒《巻きつき蛇》デッキに関しても同じだ。《巻きつき蛇》はクリーチャーをバカデカくし、ブロックをさせ辛くする。《巻きつき蛇》から《ピーマの改革派、リシュカー》に繋げるだけで3ターン目にしてパワー8を戦場に送ることが出来るんだ。《巻きつき蛇》は《ピーマの改革派、リシュカー》や《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》、《新緑の機械巨人》のようなカードと組み合わさることで、対戦相手のブロックをチャンプブロックに変えてしまう。《巻きつき蛇》や《新緑の機械巨人》の後押しで量産された巨大クリーチャーは《豪華の王、ゴンティ》を最近よく見かけるようになった理由だ。ゴンティはアドを生み出すし接死でどんなクリーチャーでも受けとめられる。これに気付いて、何人かのチームメイトと僕は先週末に自分たちのBGデッキに《節くれ木のドライアド》を入れてみたんだが、《新緑の機械巨人》と《巻きつき蛇》によってデカくなったクリーチャーたちと目論見通りトレードすることが出来たよ。《節くれ木のドライアド》や《ナーナムの改革派》は単体だと流石に弱いが、大型クリーチャーに蹂躙されるような状況ではブロックで相打ちを取るという選択肢を与えてくれる。

解決策
 《致命的な一押し》は後手の遅れを取り返す手段の一つだろう。実際GPピッツバーグでは後手の《致命的な一押し》がないハンドはキープすべきでないと感じるほどだったよ。もちろん《致命的な一押し》のために常にマリガンするなんてことは出来ないが、デッキ構築の際にこのカードを4枚採用する理由として覚えておいて損はない。よく3枚採用しているリストを目にするが、今くらいにBGが隆盛しているなら、このカードを可能な限り採用しないのは大きな間違いだと思うね。


【2】先行している時に雪だるま式に影響を及ぼすカードが多過ぎる

 雪だるま効果はなぜ先手がとても重要かということに似ているだけでなく、これらの脅威が野放しになっている時であればいつでも当てはまる。
以下は直ちに回答されなければ雪だるま式に影響を及ぼすカードの簡易リストだ。

《巻きつき蛇》
《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
《牙長獣の仔》
《不屈の追跡者》
《光袖会の収集者》
《霊気池の驚異》
《残忍な剥ぎ取り》

 これらのカードは全て、対応されない限り雪だるま式にアドバンテージを生み出していく。これらが戦場にある限り毎ターン追加のアドバンテージを生み出し、締め付けを強めていくんだ。土地が詰まった?死亡。スペルを唱えられないターンがある?ゲームオーバー。
 《不屈の追跡者》は毎ターン追加カードをもたらし、自身も大きくなる。《巻きつき蛇》は脅威をさらに大きくする。《牙長獣の仔》はエネルギーの連鎖が続く限りターン毎にブロックし辛くなり、与えるダメージが大きくなり、勿論《巻きつき蛇》と組み合わされた日にはうんざりするだろう。《光袖会の収集者》は毎ターン追加でドローをもたらすし、《霊気池の驚異》はデッキを掘って《絶え間ない飢餓、ウラモグ》のようなとてつもないスペル0マナでキャストさせる。もしウラモグを見つけられなくとも、大抵次のガチャ起動のエネルギーを掘り当てるだろう。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は1ターンに1つトークンを生み出し、戦場にいればそれだけ回答するのが難しくなる。《残忍な剥ぎ取り》は昂揚達成で勝手に大きくなるうえに「占術3」のような能力で攻め手が止まらないようにデッキトップを操作できる。
 こういったカードは後手の不利を加速させる。なぜなら後手プレイヤーはこれらの次々現れる超強力な脅威に対して常に対応しなければならないからだ。さもなくば後手プレイヤーはすぐさま圧倒されてしまうだろう。たしかに後手ならカードを1枚引けるが、これらの強力なカードが放置されることによる作り出すアドバンテージの方が遥かに大きい。これらのカードに共通する他の点はなんだろうか?そういったカードは大抵、早いターンに出遅れると酷いカードに成り下がるということだ。

解決策
 この手の脅威は非常に強力なので、特に後手用に、これらのカードに対応するプランをサイドボードに盛り込むことが絶対に必要だ。よくやるのは《闇の掌握》や《破滅の道》といった除去を増やすやり方だ。メインデッキにも採用されるカードだが、この手のマッチでは放置すれば負けに繋がってしまう脅威に対応するために、さらに必要になるだろう。僕は後手になった時のためだけに追加除去をサイドに取るようにしているよ。そうでもしないと後手の不利をリカバー出来ないからね。


【3】多様性の欠如
サム・パーディー「スタンダードのプレミアイベントで22ラウンド戦ったけど、その内21回がBGかマルドゥだったよ」

 サムの言葉はこのフォーマットの多様性が如何に暗澹たるものかをよく表している。僕のマッチアップも彼と大差ないものだった。BG系のデッキにも色々あるが、大抵のBGデッキは対戦してみると殆ど同じように感じられるんだ。大抵《巻きつき蛇》とシナジーを形成するように構築してあって、その後で昂揚やエネルギーといったサブテーマがある。このサブテーマの如何でデッキが少し違って見えるが、大抵のゲームで殆ど似たような動きをする。
 BGがそんなに多いなら、メタればいいんじゃないか?BGに強いデッキを使えばいいだけだ、そうだろ?まあ確かに、BGは強力で直線的なデッキだが不利なマッチアップはある。PTに向けたデッキ調整の時に話を戻すと、僕たちが作った「面白い」デッキの殆どはBGに対しては強かった。しかし問題があって、それらはジェスカイサヒーリに対してかなり不利だったし、マルドゥ機体に対してもそうだった。これは《金属製の巨像》みたいなデッキをプレイするなら、かなりの確率でBGと当たることを想定しなきゃいけないということでもある。
 BGとマルドゥ機体に同じ戦略で挑むのはかなり厳しい。僕がBGを使っている時に負けるゲームは大抵《燻蒸》が原因で、それを聞いて君はこの全体除去はアグロという点で共通しているマルドゥ機体にも有効だと思うかもしれない。問題は、実際はそうじゃないってことだ。現にマルドゥ機体側はよくBG用としてサイドボードに燻蒸を採用している。マルドゥは《屑鉄場のたかり屋》や《キランの真意号》、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》といった、クリーチャーしか取り除けない全体除去に強い、復帰力の高い脅威を溢れんばかりに有しているからね。

解決策
 ギデオンのようなPWや機体の復帰力に対処するためには、《次元の浄化》のような 、全体除去としては少し重いが、クリーチャーと一緒にPWや機体を流せるスイーパーがあれば良いんじゃないかと思う。これがあれば、機体やBGといったデッキに対してもコントロールで追いつくことが出来るし、ミシュラランドがあるからライフを低くしても良いということにもならないしね。
多様性の問題については、他に不利なマッチアップがあったとしてもBGとマルドゥ両方に強いデッキを見つけられれば、解決と言えるだろう。残念ながら僕はまだそういったデッキを見つけられていないが、青赤ゾンビみたいなデッキは良い立ち位置にいると思う。もっとも、青赤ゾンビがメタゲームを動かすほどマルドゥに強いかはまだ確証がないけどね。


【4】サヒーリコンボがミッドレンジを排斥している
 今のスタンダードはじゃんけんみたいなものだ。マルドゥはBGに対して僅かに不利で、BGはサヒーリに対してやや不利、そしてサヒーリはマルドゥの格好のカモ、といった具合だ。
 この3つの中ではサヒーリデッキは一番弱いが、同時にサヒーリデッキはスタンの多様性を損なわせている元凶であり、ミッドレンジが過小評価されている理由でもある。
 もう一度CFB IceとFace to FaceのPTテスト合宿に話を戻そうか。僕たちはスタンの素晴らしいカードをありったけ利用した有望そうなデッキを幾つも作り上げたんだ。これらのデッキの多くは同じCFBのチームメイトであるパウロ(Paulo Vitor Damo da Rosa)とヨエル(Joel Larsson)が考案したものだった。
 僕たちのローグデッキの多くが上手くいかなかったのは、それらがジェスカイサヒーリとその亜種に対してあまりに無力だったからだ。同じデッキをBG系に対しても試したが、そっちは好感触だった。金属製の虚像、青赤ゾンビ、グリコン、これら全てがBGとのマッチアップでは大いに勝った。しかし、3つのうちの2つがサヒーリコンボの良いカモだったんだ。
 ある時イヴァン・フロックが《霊気貯蔵器》コンボか《効率的構築》でソプタートークンを死ぬほど出して勝つ、青単《逆説的な結果》/《発明品の唸り》デッキを作ったことがあった。一見ポテンシャルを秘めているように思えたんだが、どうやっても対コンボで勝つ手段がなかったので、すぐにお蔵入りになってしまった。
青単
クリーチャー:8枚
4《上級建設官、スラム》
4《羽ばたき飛行機械》
他スペル:33枚
4《解析調査》
4《《逆説的な結果》》
3《発明品の唸り》
2《霊気貯蔵器》
1《鼓舞する彫像》
4《骨の鋸》》
4《聖戦士の盾》
3《予期》
4《改革派の地図》
4《発明家のゴーグル》
土地:19枚
4《港町》
2《大草原の川》
4《産業の塔》
1《平地》
8《島》

 この手のデッキは、絶対に勝てないようなコンボがいるような環境でのBGやマルドゥに対しても「十分に」強くないから、今後も日の目を見ることはないだろう。確かに面白いしパワーもあるが、コンボの相手をしながら自分のコンボ達成を目指すにはあまりに直線的すぎる動きしかできないので、結局コンボにボコボコにされてしまうんだ。《金属の叱責》は相性を改善するには全然足りないが、そんなスペルしか選択がないんだ。
 6マナソーサリータイミングのアクションではサヒーリコンボに対処できず、即ちそれは死を意味するので、《不撓のアジャニ》や《死の宿敵、ソリン》のようなミッドレンジ向きカードも埃を被っている。サヒーリコンボが存在する限り、こういった面白いカードは残念ながらベンチウォーマーであり続けるだろう。
 僕らの巨像デッキは素晴らしく、霊気紛争から多くの新カードを採用し目覚ましい成果をあげていたが、サヒーリコンボとマルドゥ機体に対して相性が良くないという大きな問題があった。もし巨像に有利なサヒーリコンボが死滅したら間違いなく見かけることになるデッキだと思うんだけどね。

解決策
 なので僕の意見では、もし《守護フェリダー》が禁止になれば、サヒーリコンボに弱かったデッキが隆盛して、面白いゲームが見れるようになるし、もっとユニークなカードや戦略を採ることも可能になると思う。たとえサヒーリコンボが支配的でなかったとしても、サヒーリコンボはそれに対抗できない他の多くの戦略を締め出すことでスタンダードをつまらなくしている。


 僕は普段フォーマットの愚痴を言うタイプではないんだけど、このフォーマットでマジックに取り組むためには何が必要かを知ってもらいたかったんだ。今回僕はカードのスピードとパワーレベルがこのフォーマットで有利になるのを難しくしてるということに気付いた。しかし引き続き何か手掛かりがないか探し続けるつもりだし、君たちもそうしてくれ。もしスタンダードについて何か思うところがあるなら是非コメント欄で教えてくれよな。


訳終わり
Mファイル『霊気紛争』編・パート1 フェリダー部分のみ訳
また土日跨いで10日後とかなりそうなので勝手に抄訳(文量少ないし)


《守護フェリダー》
 TJA:2枚並ぶと(もしくは片方は《クローン》でもいい)無限になるね。
 DEL:任意の大きさね、でも少なくとも引き分けにはならないわ。

正確に言うと、無限は任意数とは違います。他の土地以外のパーマネントがない状態下での3つの《忘却の輪》は無限にならなければならず、ゲームは引き分けになります。このコンボはあなたにそれを何度も繰り返させます。ティムがこのコメントをしましたが、我々は2枚の《守護フェリダー》が無限にブリンクすることをそれほど懸念していませんでした。3枚目のカードが必要になるだろうから、と。
しかし我々はサヒーリとのシナジーを見逃していました。そしてそれがいくつかの…面白いスタンダードデッキへと繋がりました。『霊気紛争』で我々はスタンダードに更なるコンボデッキが生まれるように後押ししていましたが、このコンボは我々が意図的に危険を冒してまで作るようなデッキではありません。今になってみれば、《守護フェリダー》は「クリーチャーかアーティファクト」にすべきでした。
今週末にはプロツアー『霊気紛争』があり、我々はこの種のデッキがどうなるか注視しています。

ソース:http://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/m-files-aether-revolt-part-1-2017-02-03



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