■前口上
皆さんレスポンス早くてビビる。そして自分の文章力及び思考整理力がゴミカスなのが露呈して辛い。
2017年1月9日 禁止制限告知
http://mtg-jp.com/publicity/0018224/



■禁止カード個別所感

《約束された終末、エムラクール》
最初は禁止するほどかというと大いに疑問でしたが、一日経って冷静に考えてみると禁止もやむなしという考えに至りました。開発の発表では今のところぼんやりとした理由しか提示されていませんが、個人的にこのカードの問題は1.強力な性能2.対応策の少なさ 3.選択肢の縮小 だと思います。

1.強力な性能
13マナ13/13飛行トランプルプロテクションインスタントで精神隷属付き。この時点で十分強いですが、カラデシュで構築レベルのアーティファクトが増えたことで昂揚達成がさらに容易になり、霊気池も現れ、土地7枚以下で出ることが非常に多くなりました。そして7マナ生物として改めて上記の性能を見ると……うぉ強っ!

2.対応策の少なさ
土地7枚から出るクリーチャーでありながら、《即時却下》で打ち消すか白の《停滞の罠》でキャッチしないと、一度着地したらもうソーサリー確定除去をトップするしかないというのはやはりおかしい。
じゃあエムラが出る前に倒そうと思っても、イシュカナで時間稼ぎをされるので、実質的に5ターン目までに倒すかエムラが出ても引っくり返されないほど圧倒的な盤面を形成しないといけなくなってしまい、こちらもかなり厳しいです。

3.選択肢の縮小
個人的に一番問題だと思う点。エムラはフィニッシャーとして強すぎて他の6マナ以上のカードの選択肢を奪っています。エムラ以外の6マナ以上のカードで使われているのは青・黒ハルクくらいでしょうか。それの2つも結局ETBでエムラに対応できるから採用に耐えているわけですからね。
霊気紛争プレビューで折角面白そうな重めの新カードが公開されても、「それ、エムラどうするの?」という問いが常につきまとい、「微妙」の烙印を押されたカードが多かったと記憶しています。

《密輸人の回転翼機》
強力過ぎて必須パーツ化しており、選択肢を狭めるとともに新規参入の障壁にもなっているので、残念でもないし当然。
霊気紛争で対策カードがあるとサムが明言したこともあり、霊気紛争のカードを見てから禁止を決めても良かったのではという意見が多いですが、霊気紛争のカードでメインからヘリ対策できそうなものは《致命的な一押し》《霊気圏の収集艇》の2枚くらいで、実はそんなに多くないのです。なので開発がテストした結果大した抑止にならないと結論付けたのであれば、新セット前に禁止をしたのもやむを得ないのかなと思います。

《反射魔道士》
半年遅いというのが正直な感想。出てすぐ仕事をしない/追加コストを要求するクリーチャーの人権を軒並み蹂躙しており、このカードによるデッキ構築の制約・圧迫感は半端ではなかったです。再録しやすいようにわざわざ同盟者を外したらしいですが、二度と再録してほしくないですね。

《ギタクシア派の調査》
インスタントの攻防を潰していたのでしょうがないですね。バーン的にはタダで身を削ってくれるので有難かったですが。

《ゴルガリの墓トロール》
仮出所中なのにすぐ新しいワル仲間を見つけてしまったのが運の尽き。


■今回の禁止で良い点
1.スタンで禁止はないという風潮を正した
バントカンパニーがメタゲームの60%以上を支配しても《集合した中隊》が禁止されなかったことから、やはりスタンでは余程のことがない限り禁止はされないという認識が広く共有されていましたが、今回の改定はそれを払拭しました。良い環境のためなら禁止もやぶさかではないという姿勢を示したのは良かったと思います。

2.メタゲームの流動化
今回の改訂は特例的なものなのか、それとも今後もこの調子で禁止カードを出すのか、現時点では不明ですが、仮にこれを継続するのであれば、以前書いたローテ変更によるメタゲーム硬直化問題(http://enokitake.diarynote.jp/201610220145542145/)に対する解決策になります。
今回だけの特別措置であっても、少なくとも霊気紛争環境が激変するのは確定であり、それだけでも評価に値するのではないでしょうか。


■今回の禁止で悪い点
1.方針の欠如
《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は議論の余地がない程に強力なプレインズウォーカーであり、その証左としてエムラやヘリにより他のPWが軒並み使用率を激減させる中、ギデオンだけはトップメタデッキに4積みされ続けました。《約束された終末、エムラクール》《密輸人の回転翼機》、いずれも強力であり他のカードの選択肢を狭めています。そして今回の改定で禁止されました。では同等かそれ以上の性能を有し、かつ他の選択肢も潰しているギデオンはなぜ名を連ねていないのか?
加えて《反射魔導士》が禁止されるのであれば、収斂や追加コストを要求するカードを非常に使い難くしている《呪文捕らえ》も禁止されなければおかしい筈です。
仮にウィザーズが明確な禁止方針を提示しないままだと、プレイヤーは自分の使うカードがいつ紙束になるか分からず、買い控えは避けられず、曖昧な開発に愛想を尽かして引退するプレイヤーも現れるでしょう。

2.開発環境への不信
禁止を出した時点で開発は自らのテスト環境の未熟さを開陳したようなものであり、ユーザーの不信は免れません。今回は予期せぬカード同士のシナジーではなく、セットの目玉として自覚的に強力に調整された2枚が禁止されたので、明確にテストプレイ及び調整不足です。加えてサムが霊気紛争でそれらの対策カードがあると明言したにも関わらず、新セット発売前に禁止したので、新セットの調整「も」不十分だったと自供しているに等しいことになります。
ローテ変更問題の際も言いましたが、一度失われた信用を取り返すのは至難の業であり、ウィザーズはこれまで以上に丁寧かつ誠実な応対する必要があります。


■後口上
まぁ謝罪文が来るでしょうからそれ待ちですね。しかしちゃんと(した)理由を提示しないと本当に本当に本当に不味い状況だと思います。

コメント

alchestis
2017年1月12日9:49

あまり触れられていませんが、禁止改定についてはプレリ後に変わるかもしれないというのがネックですね。
やらないとは思いますが、その3枚について禁止解除もあり得ると・・・。

REQUIEM
2017年1月12日14:59

リンクさせていただきました。色々と参考にさせていただきます!

エノキ
2017年1月12日22:08

>alchestisさん
一部のプロの間では《密輸人の回転翼機》が解禁されるのではと、まことしやかに囁かれているようですね。開発方針のブレに拍車をかけるようなものなので個人的には悪手だと思いますが、禁止直撃してしまったプレイヤーにとっては死活問題でもあるので難しいところですね……

>REQUIEMさん
こちらもリンクさせて頂きました!なにとぞよろしくお願いします。

シグマ@dj-SIGMA
2017年1月12日23:08

禁止された瞬間に個人的に最初に思ったのは、「俺が寝てから仕事から帰る間になんでこんなにブログ記事とツイッター乱立してるんだよ!」でした。みんな動きが早すぎます。

エノキ
2017年1月13日0:03

>シグマ@dj-SIGMAさん
皆さん筆早いですよね。勿論今回はそれだけ衝撃的な内容だったということもあるのでしょうが。
シグマさんのGathered!のようなキチンとしたブログだと、注目される分作業量も凄まじく多そうですね……

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