【翻訳】スタンダードの問題点4つ byマイク・シグリスト
2017年2月19日 翻訳 コメント (2)雑な翻訳です。言い訳です。誤訳等お気づきの方はコメント欄にてご指摘いただければ幸いです。
以下訳
今週末のGPピッツバーグの後、スタンダードのメタは既に硬直化してるっていう不満をちょくちょく聞くようになった。そこで僕はどのくらいの人がスタンを楽しんでるか、もしくはそうでないかをツイッターで訊いてみたんだ。結果は拮抗していたが、僅かに否定派が肯定派を上回った。僕は今のスタンは「否定派」だから、この結果には特に驚かなかったよ。僕がそう思うのは幾つか理由があって、同時に僕らが今直面している問題への根本的な解決策も提示するつもりだ。
【1】先手が重要過ぎる
ダイスロールに勝てなきゃすごく不利になるぞって初めて感じた時のことを今でもよく覚えているよ―2016年のGPデトロイト、「エルドラージの冬」の時だ。確かにマジックでは先手は大抵有利だ。しかしこの時ほどではなかった。このエルドラージミラーでは《難題の予見者》を最初に出せることは凄まじいアドバンテージで、今のスタンダードも先手の重要度という点ではこれと大差ないと思う。
ジェスカイサヒーリでPT霊気紛争に向けた準備をしてる時、先手で初手に土地が数枚に《蓄霊稲妻》と《サヒーリ・ライ》があった時は最高に嬉しかったね。サヒーリをがら空きの戦場にプレイできるということはとても強いアクションだ。対戦相手はタップアウトしたらフェリダーが出てきて即死するリスクを考慮して土地を立たせなければならないからね。後手でも同じような手札になることが度々あったが厳しいものだった。というのも3ターン目には既に相手の場に脅威が並んでいて、たとえ除去があっても3マナカードをプレイできないからだ。
機体もまた先手ゲーを加速させている原因だ。機体は先手だと本当に輝く。盤面を構築し、先に攻撃でき、召喚酔いをしているクリーチャーを搭乗させることができる。搭乗するためにタップされたクリーチャーはブロックしないし、機体はマナコストの割に非常に大きなPTを有している。《キランの真意号》を有効に止められる2マナクリーチャーはいないんだ。だからブロックなんてできないし、つまりそれは先手をとてつもなく利しているということになる。古いフォーマットでは少なくとも同じサイズかそれ以上の大きさのクリーチャーをプレイして有利なブロックをすることができたんだけどね。機体を《屑鉄場のたかり屋》や《模範的な造り手》と組み合わせたなら、ブロックするのは最高に難しくなる。ゲームの序盤なら尚更だ。《模範的な造り手》は1/1としてしかブロックに参加できないし、たかり屋に至ってはそもそもブロックできないからね。ブロックしないのならゲームはダメージレースになり、ダメージレースは大抵先手が有利だ。
緑黒《巻きつき蛇》デッキに関しても同じだ。《巻きつき蛇》はクリーチャーをバカデカくし、ブロックをさせ辛くする。《巻きつき蛇》から《ピーマの改革派、リシュカー》に繋げるだけで3ターン目にしてパワー8を戦場に送ることが出来るんだ。《巻きつき蛇》は《ピーマの改革派、リシュカー》や《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》、《新緑の機械巨人》のようなカードと組み合わさることで、対戦相手のブロックをチャンプブロックに変えてしまう。《巻きつき蛇》や《新緑の機械巨人》の後押しで量産された巨大クリーチャーは《豪華の王、ゴンティ》を最近よく見かけるようになった理由だ。ゴンティはアドを生み出すし接死でどんなクリーチャーでも受けとめられる。これに気付いて、何人かのチームメイトと僕は先週末に自分たちのBGデッキに《節くれ木のドライアド》を入れてみたんだが、《新緑の機械巨人》と《巻きつき蛇》によってデカくなったクリーチャーたちと目論見通りトレードすることが出来たよ。《節くれ木のドライアド》や《ナーナムの改革派》は単体だと流石に弱いが、大型クリーチャーに蹂躙されるような状況ではブロックで相打ちを取るという選択肢を与えてくれる。
解決策
《致命的な一押し》は後手の遅れを取り返す手段の一つだろう。実際GPピッツバーグでは後手の《致命的な一押し》がないハンドはキープすべきでないと感じるほどだったよ。もちろん《致命的な一押し》のために常にマリガンするなんてことは出来ないが、デッキ構築の際にこのカードを4枚採用する理由として覚えておいて損はない。よく3枚採用しているリストを目にするが、今くらいにBGが隆盛しているなら、このカードを可能な限り採用しないのは大きな間違いだと思うね。
【2】先行している時に雪だるま式に影響を及ぼすカードが多過ぎる
雪だるま効果はなぜ先手がとても重要かということに似ているだけでなく、これらの脅威が野放しになっている時であればいつでも当てはまる。
以下は直ちに回答されなければ雪だるま式に影響を及ぼすカードの簡易リストだ。
《巻きつき蛇》
《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
《牙長獣の仔》
《不屈の追跡者》
《光袖会の収集者》
《霊気池の驚異》
《残忍な剥ぎ取り》
これらのカードは全て、対応されない限り雪だるま式にアドバンテージを生み出していく。これらが戦場にある限り毎ターン追加のアドバンテージを生み出し、締め付けを強めていくんだ。土地が詰まった?死亡。スペルを唱えられないターンがある?ゲームオーバー。
《不屈の追跡者》は毎ターン追加カードをもたらし、自身も大きくなる。《巻きつき蛇》は脅威をさらに大きくする。《牙長獣の仔》はエネルギーの連鎖が続く限りターン毎にブロックし辛くなり、与えるダメージが大きくなり、勿論《巻きつき蛇》と組み合わされた日にはうんざりするだろう。《光袖会の収集者》は毎ターン追加でドローをもたらすし、《霊気池の驚異》はデッキを掘って《絶え間ない飢餓、ウラモグ》のようなとてつもないスペル0マナでキャストさせる。もしウラモグを見つけられなくとも、大抵次のガチャ起動のエネルギーを掘り当てるだろう。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は1ターンに1つトークンを生み出し、戦場にいればそれだけ回答するのが難しくなる。《残忍な剥ぎ取り》は昂揚達成で勝手に大きくなるうえに「占術3」のような能力で攻め手が止まらないようにデッキトップを操作できる。
こういったカードは後手の不利を加速させる。なぜなら後手プレイヤーはこれらの次々現れる超強力な脅威に対して常に対応しなければならないからだ。さもなくば後手プレイヤーはすぐさま圧倒されてしまうだろう。たしかに後手ならカードを1枚引けるが、これらの強力なカードが放置されることによる作り出すアドバンテージの方が遥かに大きい。これらのカードに共通する他の点はなんだろうか?そういったカードは大抵、早いターンに出遅れると酷いカードに成り下がるということだ。
解決策
この手の脅威は非常に強力なので、特に後手用に、これらのカードに対応するプランをサイドボードに盛り込むことが絶対に必要だ。よくやるのは《闇の掌握》や《破滅の道》といった除去を増やすやり方だ。メインデッキにも採用されるカードだが、この手のマッチでは放置すれば負けに繋がってしまう脅威に対応するために、さらに必要になるだろう。僕は後手になった時のためだけに追加除去をサイドに取るようにしているよ。そうでもしないと後手の不利をリカバー出来ないからね。
【3】多様性の欠如
サム・パーディー「スタンダードのプレミアイベントで22ラウンド戦ったけど、その内21回がBGかマルドゥだったよ」
サムの言葉はこのフォーマットの多様性が如何に暗澹たるものかをよく表している。僕のマッチアップも彼と大差ないものだった。BG系のデッキにも色々あるが、大抵のBGデッキは対戦してみると殆ど同じように感じられるんだ。大抵《巻きつき蛇》とシナジーを形成するように構築してあって、その後で昂揚やエネルギーといったサブテーマがある。このサブテーマの如何でデッキが少し違って見えるが、大抵のゲームで殆ど似たような動きをする。
BGがそんなに多いなら、メタればいいんじゃないか?BGに強いデッキを使えばいいだけだ、そうだろ?まあ確かに、BGは強力で直線的なデッキだが不利なマッチアップはある。PTに向けたデッキ調整の時に話を戻すと、僕たちが作った「面白い」デッキの殆どはBGに対しては強かった。しかし問題があって、それらはジェスカイサヒーリに対してかなり不利だったし、マルドゥ機体に対してもそうだった。これは《金属製の巨像》みたいなデッキをプレイするなら、かなりの確率でBGと当たることを想定しなきゃいけないということでもある。
BGとマルドゥ機体に同じ戦略で挑むのはかなり厳しい。僕がBGを使っている時に負けるゲームは大抵《燻蒸》が原因で、それを聞いて君はこの全体除去はアグロという点で共通しているマルドゥ機体にも有効だと思うかもしれない。問題は、実際はそうじゃないってことだ。現にマルドゥ機体側はよくBG用としてサイドボードに燻蒸を採用している。マルドゥは《屑鉄場のたかり屋》や《キランの真意号》、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》といった、クリーチャーしか取り除けない全体除去に強い、復帰力の高い脅威を溢れんばかりに有しているからね。
解決策
ギデオンのようなPWや機体の復帰力に対処するためには、《次元の浄化》のような 、全体除去としては少し重いが、クリーチャーと一緒にPWや機体を流せるスイーパーがあれば良いんじゃないかと思う。これがあれば、機体やBGといったデッキに対してもコントロールで追いつくことが出来るし、ミシュラランドがあるからライフを低くしても良いということにもならないしね。
多様性の問題については、他に不利なマッチアップがあったとしてもBGとマルドゥ両方に強いデッキを見つけられれば、解決と言えるだろう。残念ながら僕はまだそういったデッキを見つけられていないが、青赤ゾンビみたいなデッキは良い立ち位置にいると思う。もっとも、青赤ゾンビがメタゲームを動かすほどマルドゥに強いかはまだ確証がないけどね。
【4】サヒーリコンボがミッドレンジを排斥している
今のスタンダードはじゃんけんみたいなものだ。マルドゥはBGに対して僅かに不利で、BGはサヒーリに対してやや不利、そしてサヒーリはマルドゥの格好のカモ、といった具合だ。
この3つの中ではサヒーリデッキは一番弱いが、同時にサヒーリデッキはスタンの多様性を損なわせている元凶であり、ミッドレンジが過小評価されている理由でもある。
もう一度CFB IceとFace to FaceのPTテスト合宿に話を戻そうか。僕たちはスタンの素晴らしいカードをありったけ利用した有望そうなデッキを幾つも作り上げたんだ。これらのデッキの多くは同じCFBのチームメイトであるパウロ(Paulo Vitor Damo da Rosa)とヨエル(Joel Larsson)が考案したものだった。
僕たちのローグデッキの多くが上手くいかなかったのは、それらがジェスカイサヒーリとその亜種に対してあまりに無力だったからだ。同じデッキをBG系に対しても試したが、そっちは好感触だった。金属製の虚像、青赤ゾンビ、グリコン、これら全てがBGとのマッチアップでは大いに勝った。しかし、3つのうちの2つがサヒーリコンボの良いカモだったんだ。
ある時イヴァン・フロックが《霊気貯蔵器》コンボか《効率的構築》でソプタートークンを死ぬほど出して勝つ、青単《逆説的な結果》/《発明品の唸り》デッキを作ったことがあった。一見ポテンシャルを秘めているように思えたんだが、どうやっても対コンボで勝つ手段がなかったので、すぐにお蔵入りになってしまった。
この手のデッキは、絶対に勝てないようなコンボがいるような環境でのBGやマルドゥに対しても「十分に」強くないから、今後も日の目を見ることはないだろう。確かに面白いしパワーもあるが、コンボの相手をしながら自分のコンボ達成を目指すにはあまりに直線的すぎる動きしかできないので、結局コンボにボコボコにされてしまうんだ。《金属の叱責》は相性を改善するには全然足りないが、そんなスペルしか選択がないんだ。
6マナソーサリータイミングのアクションではサヒーリコンボに対処できず、即ちそれは死を意味するので、《不撓のアジャニ》や《死の宿敵、ソリン》のようなミッドレンジ向きカードも埃を被っている。サヒーリコンボが存在する限り、こういった面白いカードは残念ながらベンチウォーマーであり続けるだろう。
僕らの巨像デッキは素晴らしく、霊気紛争から多くの新カードを採用し目覚ましい成果をあげていたが、サヒーリコンボとマルドゥ機体に対して相性が良くないという大きな問題があった。もし巨像に有利なサヒーリコンボが死滅したら間違いなく見かけることになるデッキだと思うんだけどね。
解決策
なので僕の意見では、もし《守護フェリダー》が禁止になれば、サヒーリコンボに弱かったデッキが隆盛して、面白いゲームが見れるようになるし、もっとユニークなカードや戦略を採ることも可能になると思う。たとえサヒーリコンボが支配的でなかったとしても、サヒーリコンボはそれに対抗できない他の多くの戦略を締め出すことでスタンダードをつまらなくしている。
僕は普段フォーマットの愚痴を言うタイプではないんだけど、このフォーマットでマジックに取り組むためには何が必要かを知ってもらいたかったんだ。今回僕はカードのスピードとパワーレベルがこのフォーマットで有利になるのを難しくしてるということに気付いた。しかし引き続き何か手掛かりがないか探し続けるつもりだし、君たちもそうしてくれ。もしスタンダードについて何か思うところがあるなら是非コメント欄で教えてくれよな。
訳終わり
原文:The 4 Big Problems with Standard by Mike Sigrist
http://www.channelfireball.com/articles/the-4-big-problems-with-standard/
以下訳
今週末のGPピッツバーグの後、スタンダードのメタは既に硬直化してるっていう不満をちょくちょく聞くようになった。そこで僕はどのくらいの人がスタンを楽しんでるか、もしくはそうでないかをツイッターで訊いてみたんだ。結果は拮抗していたが、僅かに否定派が肯定派を上回った。僕は今のスタンは「否定派」だから、この結果には特に驚かなかったよ。僕がそう思うのは幾つか理由があって、同時に僕らが今直面している問題への根本的な解決策も提示するつもりだ。
【1】先手が重要過ぎる
ダイスロールに勝てなきゃすごく不利になるぞって初めて感じた時のことを今でもよく覚えているよ―2016年のGPデトロイト、「エルドラージの冬」の時だ。確かにマジックでは先手は大抵有利だ。しかしこの時ほどではなかった。このエルドラージミラーでは《難題の予見者》を最初に出せることは凄まじいアドバンテージで、今のスタンダードも先手の重要度という点ではこれと大差ないと思う。
ジェスカイサヒーリでPT霊気紛争に向けた準備をしてる時、先手で初手に土地が数枚に《蓄霊稲妻》と《サヒーリ・ライ》があった時は最高に嬉しかったね。サヒーリをがら空きの戦場にプレイできるということはとても強いアクションだ。対戦相手はタップアウトしたらフェリダーが出てきて即死するリスクを考慮して土地を立たせなければならないからね。後手でも同じような手札になることが度々あったが厳しいものだった。というのも3ターン目には既に相手の場に脅威が並んでいて、たとえ除去があっても3マナカードをプレイできないからだ。
機体もまた先手ゲーを加速させている原因だ。機体は先手だと本当に輝く。盤面を構築し、先に攻撃でき、召喚酔いをしているクリーチャーを搭乗させることができる。搭乗するためにタップされたクリーチャーはブロックしないし、機体はマナコストの割に非常に大きなPTを有している。《キランの真意号》を有効に止められる2マナクリーチャーはいないんだ。だからブロックなんてできないし、つまりそれは先手をとてつもなく利しているということになる。古いフォーマットでは少なくとも同じサイズかそれ以上の大きさのクリーチャーをプレイして有利なブロックをすることができたんだけどね。機体を《屑鉄場のたかり屋》や《模範的な造り手》と組み合わせたなら、ブロックするのは最高に難しくなる。ゲームの序盤なら尚更だ。《模範的な造り手》は1/1としてしかブロックに参加できないし、たかり屋に至ってはそもそもブロックできないからね。ブロックしないのならゲームはダメージレースになり、ダメージレースは大抵先手が有利だ。
緑黒《巻きつき蛇》デッキに関しても同じだ。《巻きつき蛇》はクリーチャーをバカデカくし、ブロックをさせ辛くする。《巻きつき蛇》から《ピーマの改革派、リシュカー》に繋げるだけで3ターン目にしてパワー8を戦場に送ることが出来るんだ。《巻きつき蛇》は《ピーマの改革派、リシュカー》や《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》、《新緑の機械巨人》のようなカードと組み合わさることで、対戦相手のブロックをチャンプブロックに変えてしまう。《巻きつき蛇》や《新緑の機械巨人》の後押しで量産された巨大クリーチャーは《豪華の王、ゴンティ》を最近よく見かけるようになった理由だ。ゴンティはアドを生み出すし接死でどんなクリーチャーでも受けとめられる。これに気付いて、何人かのチームメイトと僕は先週末に自分たちのBGデッキに《節くれ木のドライアド》を入れてみたんだが、《新緑の機械巨人》と《巻きつき蛇》によってデカくなったクリーチャーたちと目論見通りトレードすることが出来たよ。《節くれ木のドライアド》や《ナーナムの改革派》は単体だと流石に弱いが、大型クリーチャーに蹂躙されるような状況ではブロックで相打ちを取るという選択肢を与えてくれる。
解決策
《致命的な一押し》は後手の遅れを取り返す手段の一つだろう。実際GPピッツバーグでは後手の《致命的な一押し》がないハンドはキープすべきでないと感じるほどだったよ。もちろん《致命的な一押し》のために常にマリガンするなんてことは出来ないが、デッキ構築の際にこのカードを4枚採用する理由として覚えておいて損はない。よく3枚採用しているリストを目にするが、今くらいにBGが隆盛しているなら、このカードを可能な限り採用しないのは大きな間違いだと思うね。
【2】先行している時に雪だるま式に影響を及ぼすカードが多過ぎる
雪だるま効果はなぜ先手がとても重要かということに似ているだけでなく、これらの脅威が野放しになっている時であればいつでも当てはまる。
以下は直ちに回答されなければ雪だるま式に影響を及ぼすカードの簡易リストだ。
《巻きつき蛇》
《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
《牙長獣の仔》
《不屈の追跡者》
《光袖会の収集者》
《霊気池の驚異》
《残忍な剥ぎ取り》
これらのカードは全て、対応されない限り雪だるま式にアドバンテージを生み出していく。これらが戦場にある限り毎ターン追加のアドバンテージを生み出し、締め付けを強めていくんだ。土地が詰まった?死亡。スペルを唱えられないターンがある?ゲームオーバー。
《不屈の追跡者》は毎ターン追加カードをもたらし、自身も大きくなる。《巻きつき蛇》は脅威をさらに大きくする。《牙長獣の仔》はエネルギーの連鎖が続く限りターン毎にブロックし辛くなり、与えるダメージが大きくなり、勿論《巻きつき蛇》と組み合わされた日にはうんざりするだろう。《光袖会の収集者》は毎ターン追加でドローをもたらすし、《霊気池の驚異》はデッキを掘って《絶え間ない飢餓、ウラモグ》のようなとてつもないスペル0マナでキャストさせる。もしウラモグを見つけられなくとも、大抵次のガチャ起動のエネルギーを掘り当てるだろう。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は1ターンに1つトークンを生み出し、戦場にいればそれだけ回答するのが難しくなる。《残忍な剥ぎ取り》は昂揚達成で勝手に大きくなるうえに「占術3」のような能力で攻め手が止まらないようにデッキトップを操作できる。
こういったカードは後手の不利を加速させる。なぜなら後手プレイヤーはこれらの次々現れる超強力な脅威に対して常に対応しなければならないからだ。さもなくば後手プレイヤーはすぐさま圧倒されてしまうだろう。たしかに後手ならカードを1枚引けるが、これらの強力なカードが放置されることによる作り出すアドバンテージの方が遥かに大きい。これらのカードに共通する他の点はなんだろうか?そういったカードは大抵、早いターンに出遅れると酷いカードに成り下がるということだ。
解決策
この手の脅威は非常に強力なので、特に後手用に、これらのカードに対応するプランをサイドボードに盛り込むことが絶対に必要だ。よくやるのは《闇の掌握》や《破滅の道》といった除去を増やすやり方だ。メインデッキにも採用されるカードだが、この手のマッチでは放置すれば負けに繋がってしまう脅威に対応するために、さらに必要になるだろう。僕は後手になった時のためだけに追加除去をサイドに取るようにしているよ。そうでもしないと後手の不利をリカバー出来ないからね。
【3】多様性の欠如
サム・パーディー「スタンダードのプレミアイベントで22ラウンド戦ったけど、その内21回がBGかマルドゥだったよ」
サムの言葉はこのフォーマットの多様性が如何に暗澹たるものかをよく表している。僕のマッチアップも彼と大差ないものだった。BG系のデッキにも色々あるが、大抵のBGデッキは対戦してみると殆ど同じように感じられるんだ。大抵《巻きつき蛇》とシナジーを形成するように構築してあって、その後で昂揚やエネルギーといったサブテーマがある。このサブテーマの如何でデッキが少し違って見えるが、大抵のゲームで殆ど似たような動きをする。
BGがそんなに多いなら、メタればいいんじゃないか?BGに強いデッキを使えばいいだけだ、そうだろ?まあ確かに、BGは強力で直線的なデッキだが不利なマッチアップはある。PTに向けたデッキ調整の時に話を戻すと、僕たちが作った「面白い」デッキの殆どはBGに対しては強かった。しかし問題があって、それらはジェスカイサヒーリに対してかなり不利だったし、マルドゥ機体に対してもそうだった。これは《金属製の巨像》みたいなデッキをプレイするなら、かなりの確率でBGと当たることを想定しなきゃいけないということでもある。
BGとマルドゥ機体に同じ戦略で挑むのはかなり厳しい。僕がBGを使っている時に負けるゲームは大抵《燻蒸》が原因で、それを聞いて君はこの全体除去はアグロという点で共通しているマルドゥ機体にも有効だと思うかもしれない。問題は、実際はそうじゃないってことだ。現にマルドゥ機体側はよくBG用としてサイドボードに燻蒸を採用している。マルドゥは《屑鉄場のたかり屋》や《キランの真意号》、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》といった、クリーチャーしか取り除けない全体除去に強い、復帰力の高い脅威を溢れんばかりに有しているからね。
解決策
ギデオンのようなPWや機体の復帰力に対処するためには、《次元の浄化》のような 、全体除去としては少し重いが、クリーチャーと一緒にPWや機体を流せるスイーパーがあれば良いんじゃないかと思う。これがあれば、機体やBGといったデッキに対してもコントロールで追いつくことが出来るし、ミシュラランドがあるからライフを低くしても良いということにもならないしね。
多様性の問題については、他に不利なマッチアップがあったとしてもBGとマルドゥ両方に強いデッキを見つけられれば、解決と言えるだろう。残念ながら僕はまだそういったデッキを見つけられていないが、青赤ゾンビみたいなデッキは良い立ち位置にいると思う。もっとも、青赤ゾンビがメタゲームを動かすほどマルドゥに強いかはまだ確証がないけどね。
【4】サヒーリコンボがミッドレンジを排斥している
今のスタンダードはじゃんけんみたいなものだ。マルドゥはBGに対して僅かに不利で、BGはサヒーリに対してやや不利、そしてサヒーリはマルドゥの格好のカモ、といった具合だ。
この3つの中ではサヒーリデッキは一番弱いが、同時にサヒーリデッキはスタンの多様性を損なわせている元凶であり、ミッドレンジが過小評価されている理由でもある。
もう一度CFB IceとFace to FaceのPTテスト合宿に話を戻そうか。僕たちはスタンの素晴らしいカードをありったけ利用した有望そうなデッキを幾つも作り上げたんだ。これらのデッキの多くは同じCFBのチームメイトであるパウロ(Paulo Vitor Damo da Rosa)とヨエル(Joel Larsson)が考案したものだった。
僕たちのローグデッキの多くが上手くいかなかったのは、それらがジェスカイサヒーリとその亜種に対してあまりに無力だったからだ。同じデッキをBG系に対しても試したが、そっちは好感触だった。金属製の虚像、青赤ゾンビ、グリコン、これら全てがBGとのマッチアップでは大いに勝った。しかし、3つのうちの2つがサヒーリコンボの良いカモだったんだ。
ある時イヴァン・フロックが《霊気貯蔵器》コンボか《効率的構築》でソプタートークンを死ぬほど出して勝つ、青単《逆説的な結果》/《発明品の唸り》デッキを作ったことがあった。一見ポテンシャルを秘めているように思えたんだが、どうやっても対コンボで勝つ手段がなかったので、すぐにお蔵入りになってしまった。
青単
クリーチャー:8枚
4《上級建設官、スラム》
4《羽ばたき飛行機械》
他スペル:33枚
4《解析調査》
4《《逆説的な結果》》
3《発明品の唸り》
2《霊気貯蔵器》
1《鼓舞する彫像》
4《骨の鋸》》
4《聖戦士の盾》
3《予期》
4《改革派の地図》
4《発明家のゴーグル》
土地:19枚
4《港町》
2《大草原の川》
4《産業の塔》
1《平地》
8《島》
この手のデッキは、絶対に勝てないようなコンボがいるような環境でのBGやマルドゥに対しても「十分に」強くないから、今後も日の目を見ることはないだろう。確かに面白いしパワーもあるが、コンボの相手をしながら自分のコンボ達成を目指すにはあまりに直線的すぎる動きしかできないので、結局コンボにボコボコにされてしまうんだ。《金属の叱責》は相性を改善するには全然足りないが、そんなスペルしか選択がないんだ。
6マナソーサリータイミングのアクションではサヒーリコンボに対処できず、即ちそれは死を意味するので、《不撓のアジャニ》や《死の宿敵、ソリン》のようなミッドレンジ向きカードも埃を被っている。サヒーリコンボが存在する限り、こういった面白いカードは残念ながらベンチウォーマーであり続けるだろう。
僕らの巨像デッキは素晴らしく、霊気紛争から多くの新カードを採用し目覚ましい成果をあげていたが、サヒーリコンボとマルドゥ機体に対して相性が良くないという大きな問題があった。もし巨像に有利なサヒーリコンボが死滅したら間違いなく見かけることになるデッキだと思うんだけどね。
解決策
なので僕の意見では、もし《守護フェリダー》が禁止になれば、サヒーリコンボに弱かったデッキが隆盛して、面白いゲームが見れるようになるし、もっとユニークなカードや戦略を採ることも可能になると思う。たとえサヒーリコンボが支配的でなかったとしても、サヒーリコンボはそれに対抗できない他の多くの戦略を締め出すことでスタンダードをつまらなくしている。
僕は普段フォーマットの愚痴を言うタイプではないんだけど、このフォーマットでマジックに取り組むためには何が必要かを知ってもらいたかったんだ。今回僕はカードのスピードとパワーレベルがこのフォーマットで有利になるのを難しくしてるということに気付いた。しかし引き続き何か手掛かりがないか探し続けるつもりだし、君たちもそうしてくれ。もしスタンダードについて何か思うところがあるなら是非コメント欄で教えてくれよな。
訳終わり
コメント
元をただせばサヒコンが強すぎて、そのメタとして台頭してるわけですからね
サヒコンだけが今のすべてのデッキを歪めてるのは間違いないと思います
BGも機体も結局のところただのビートですからね(機体はちょっと攻めが多角的ですが)。一方コピー猫はそれらと軸が違いますし、対策がヌルいと一気に持っていくので別格感あります。