【翻訳】マイク・シグリスト的アモンケットトップ10
マイク・シグリストによるスタンダード視点のアモンケットランキングです。

原文:The Top 10 Amonkhet Cards for Standard by Mike Sigrist
https://www.channelfireball.com/articles/the-top-10-amonkhet-cards-for-standard/

以下訳


 遂にアモンケットのフルスポが公開されたね。僕はこのセットのフレイバー全てが大好きだ。
しかし今のスタンの不安な状態が原因で、僕はちょっとプレビューに参加するのが乗り気じゃなかった。公開されたカードを見ながらずっと考えていたよ「でもサヒーリコンボはどうするんだ?」ってね。同じような声を多くのプレイヤー、特にフルスポが出たら一目散に構築するようなプレイヤーから聞いたよ。
 今のところ何が禁止されるか分からないが、《守護フェリダー》と《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の両方が禁止の鉄槌を食らうだろうと僕は踏んでいる。
 サヒーリコンボはスタンダードにいてはいけない。開発は見過ごしを認めたから、僕は開発がスタンダードに新しい風を吹き込むことで、次のスタンダードでの過ちも認めると信じている。サヒーリコンボのパーツの方がギデオンより禁止される可能性は高いと思うけど、両方とも禁止するのには今は絶好の機会だと思う。
ギデオンは刷られてからずっとスタンではベストカードであり続けた。そして今回、新しいギデオンが来たわけだから、今こそ同盟者の方のギデオンとお別れする時だと思う。
 新しいカードに話を戻すと、それらがスタンダードで実際にプレイされるのを待ちきれないよ。神のような幾つかのカードは実際に手に取って動かしてみないと評価がとても難しい。禁止改訂がどう転ぶか分からないのでこれらのカードを評価するのはとても難しいんだ。なので、今回僕はただ直観に従って普通の状況下における格付けをしようと思う。
そんなわけで、スタンダードで使えるアモンケットのカードトップ10の始まりだ。

10位 死の権威、リリアナ
Liliana, Death’s Majesty / 死の権威、リリアナ (3)(黒)(黒)
プレインズウォーカー — リリアナ
[+1]:黒の2/2のゾンビ・クリーチャー・トークンを1体生成する。あなたのライブラリーの一番上からカードを2枚あなたの墓地に置く。
[-3]:あなたの墓地からクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを戦場に戻す。そのクリーチャーは、それの他のタイプや色に加えて黒のゾンビでもある。
[-7]:ゾンビでないクリーチャーをすべて破壊する。
忠誠値5

 《死の権威、リリアナ》は僕がPWに求める要件の多くを満たしている。初期忠誠値が高い?イエス。自分を守れる能力がある?イエス。奥義は強力か?イエス。問題は(このカードがトップ10の一番下になった理由でもある)は《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》とマナ域的に競合し、唯一性により《最後の望み、リリアナ》と競合するということだ。
 とは言うものの《死の権威、リリアナ》はこれを中心にして構築するポテンシャルを秘めており、リアニする生物を墓地に送りつつ同時にリアニもこなすリアニスペルとして振る舞うこともできるし、ゾンビデッキの頂点に据えても良い。そういうわけで彼女は10位になったのだ。

9位 刻み角
刻み角/Manglehorn (2)(緑)
クリーチャー — ビースト
刻み角が戦場に出たとき、アーティファクト1つを対象とする。あなたはそれを破壊してもよい。
対戦相手がコントロールするアーティファクトはタップ状態で戦場に出る。
2/2

 今のスタンダードでは多くのアーティファクトを見かけるから、《刻み角》はメインに採用されるだろうと予想している。《歩行バリスタ》や《屑鉄場のたかり屋》、《キランの真意号》といったカードが多くのデッキに入り込んでいるから、《刻み角》をメインデッキから採用するのは十分アリだと思う。
 サイクリングによって昂揚を達成しやすくなるから、1枚刺しの《刻み角》を《ウルヴェンワルド横断》でサーチするというシルバーバレット戦略なんかもよく見かけるようになるだろうね。
 このカードの最大の問題は、4Cサヒーリがほんの僅かな《歩行バリスタ》以外はアーティファクトを殆どプレイしないということだが、サヒーリコンボ相手であってもこのカードは有用だ。なぜなら《サヒーリ・ライ》のコピーはアーティファクトだから、《刻み角》の2つ目の能力によってタップ状態で場に出るからね。

8位 ドレイクの安息地
ドレイクの安息地/Drake Haven (2)(青)
エンチャント
あなたがカードを1枚サイクリングするか捨てるたび、あなたは(1)を支払ってもよい。そうしたなら、飛行を持つ青の2/2のドレイク(Drake)・クリーチャー・トークンを1体生成する。

 《ドレイクの安息地》は評価が難しいカードだ。1つのアーキタイプを生み出す可能性を秘めているし、てんで駄目な可能性もある。このカードは現代マジックにちょっと合わない気がするから、僕はこれに過度な期待はしないようにしている。勿論、効果は強力なんだけどね。
 《ドレイクの安息地》は強くなった《稲妻の裂け目》といったところだが、新時代のマジックでは《稲妻の裂け目》は遅すぎる。これを中心とした構築の可能性と豊富な低マナサイクリングカードによって、《ドレイクの安息地》はスタンダードで躍進するポテンシャルあると思う。いや、本当にこのカードがアモンケット環境で沢山キャストされることを願っているよ。僕はこのカードのデザインが大好きなんだ。

7位 マグマのしぶき
Magma Spray / マグマのしぶき (赤)
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。マグマのしぶきはそれに2点のダメージを与える。このターン、そのクリーチャーが死亡するなら、代わりにそれを追放する。

 スタンダードの多くのデッキに投入されている《屑鉄場のたかり屋》に対処するために、プレイヤーが《マグマのしぶき》再録を望むようになったのは割と最近だ。《マグマのしぶき》はそういう意味で素晴らしい役割を果たすだろうし、ゆえにスタンダードで多く見かけることになるだろう。不朽も加わったことで、このカードの価値は想像以上に高くなった。
 《マグマのしぶき》の切実な問題は《ショック》と競合するということだろう。《ショック》はPWを追い詰めることができる――その重要性は《サヒーリ・ライ》と《守護フェリダー》コンボによるところが大きい。もしコンボパーツのどちらかが次の禁止改訂で絞首台に上げられることがあれば、《ショック》は最終的には全て《マグマのしぶき》に入れ替わるだろう。

6位 明日からの引き寄せ
明日からの引き寄せ/Pull from Tomorrow (X)(青)(青)
インスタント
カードをX枚引き、その後カード1枚を捨てる。

 《明日からの引き寄せ》はまさに、コントロールを強くするためにここのところずっと待ち望まれていたカードだ。これはインスタントのXドローだから、峠を越したなと思った時にコントロールの手札が乏しくならないようにゲーム全体を規定する。このカードはスタンダードで間違いなくプレイされると思うけど、スフィンクスの啓示と違って、想像より多く使われるということはないだろう。
 《明日からの引き寄せ》が抱える最大の問題は、《奔流の機械巨人》と噛み合わないということだ。両方ともマナコストが重いし、インスタントではあるがギアハルクで再利用できない。それでも「そしたら対戦相手が《明日からの引き寄せ》をトップしてさ」といった話を沢山聞くことになるだろうが、前述の理由によりそこまでプレイはされないとも思う。そういうこともあってこのランキングでは実際のカードパワーよりも低く評価している。とはいえ、僕は「本当に」大量のマナを注ぎ込んだ最初の《明日からの引き寄せ》をプレイする瞬間を楽しみにしてるよ。

5位 検閲
Censor / 検閲 (1)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(1)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
サイクリング(青)((青),このカードを捨てる:カードを1枚引く。)

 《検閲》は素晴らしいデザインのカウンターだ。しばらくの間は対戦相手のマナカーブをぶち壊すことが出来るし、腐ったらサイクリングすれば良い。このカードはスタンダードの青いデッキで複数枚採用され、そしてそういった青いデッキの存在によってスタンダードのゲームプレイは変わるだろうと思う。
 このカードの存在は僕らに面白い選択を迫り、君が持っていないのに対戦相手がこのカードをケアした動きをすれば追加の価値も得られるわけだ。そしてもし君がこれを持って「いる」時にケアをされたら、サイクリングの出番だ。
 プレイヤーがまだこのカードに適応しきれていない環境初期には、このカードを見かける機会はとても多いだろう。そして《検閲》が実際にプレイされなくてもその効力を発揮し始めたら、プレイヤーは他のカードを使う。一旦《検閲》が一般的なデッキから消えたら、賢いプレイヤーはガードが下がっているのを見越してまたデッキに加えるだろうね。

4位 栄光をもたらすもの
栄光をもたらすもの/Glorybringer (3)(赤)(赤)
クリーチャー — ドラゴン
飛行、速攻
栄光をもたらすものが攻撃するに際し、あなたはこれを督励してもよい。そうしたとき、対戦相手がコントロールするドラゴン(Dragon)でないクリーチャー1体を対象とする。これはそれに4点のダメージを与える。(督励されたクリーチャーは、あなたの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。)

 《栄光をもたらすもの》は《嵐の息吹のドラゴン》以降で最高の速攻飛行クリーチャーだ。PWにプレッシャーを与え、クリーチャーを倒し、クロックにもなる――これら全てが1枚のカードに収まっているからこのカードは素晴らしく、ゆえにこのカードは今後のスタンダードで定番になるだろう。
 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》にとって《栄光をもたらすもの》は天敵となるだろうが、別の5マナ4/4飛行クリーチャーが《栄光をもたらすもの》を完膚なきまで叩き潰すだろうということも分かっている。《大天使アヴァシン》はこのドラゴンに対して素晴らしい働きをするから、それによって5マナで《栄光をもたらすもの》をキャストしてアタックしないというような面白い駆け引きが起こるだろうね。このカードには期待してるけど、アヴァシンの奇襲には目を光らせておく必要がありそうだ。

3位 排斥
Cast Out / 排斥 (3)(白)
エンチャント
瞬速
排斥が戦場に出たとき、対戦相手がコントロールする土地でないパーマネント1つを対象とし、排斥が戦場を離れるまでそれを追放する。
サイクリング(白)((白),このカードを捨てる:カードを1枚引く。)

 《排斥》が上位なのは、このカードは近いうちにスタンダードの定番カードになると思うからだ。サイクリングによってマナカーブが多少重くなっても問題ない。ギデオンのような4マナカードが手札に溢れたりしてもね。《排斥》は白いデッキ全てに一定数は採用されるだろうと踏んでいる。回答札として幅広い脅威に対応できるし、サイクリングもできるからだ。
 《英雄の破滅》以来、単色のインスタントでPWに対処できるカードはなかったが、《サヒーリ・ライ》コンボや《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》のようなPWをあちらこちらで見かけるような環境(次もまぁ多分そうなる)では、《排斥》のPWへの対処能力は必須だ。

2位 サイクリング2色土地
隠れた茂み/Sheltered Thicket
土地 — 山・森
(T):あなたのマナ・プールに(赤)か(緑)を加える。
隠れた茂みはタップ状態で戦場に出る。
サイクリング(2),このカードを捨てる:カードを1枚引く。

 機能的なマナがスタンダードにおいていかに重要かを考えたら、サイクリング2色土地がこのランキングに入るのは当然と言える。サイクリング土地は『テ―ロス』の占術土地と似ていて、フラッド時にドローに変換できるというユニークな機能を有している。しかし世間ではちょっとこの土地を持ち上げすぎなんじゃないかと僕は思う。
 占術土地が素晴らしかったのは、その土地をプレイした時に恩恵を受けるからで、これによってゲーム前半は土地を探せるし、後半はスペルを探しに行ける。一方サイクリング土地はフラッドを緩和させるだけで、タップインさせたら追加効果は得られないという短所がある。それでも良い土地であることに変わりはないが、僕らが愛した占術土地よりは僅かに劣ると思う。
 サイクリング2色土地は『イニストラードを覆う影』のシャドウランドと自然なシナジーがある。サイクリング土地公開でシャドウランドを早い段階でプレイして、後半は余分な土地をサイクリングするというわけだ。これは3色デッキを構築する際の面白い決断につながる――僕はその作業が大の苦手なんだけれども。
 フラッドのリスクを軽減できるので、サイクリング土地には多め土地を許容するという利点もある。これは《明日からの引き寄せ》のようなカードを中心にデッキを構築しているコントロールにとって非常に大きな恩恵をもたらす(大量ドローで不要な土地を多く引くため)。
 サイクリング土地はスタンダードで山ほどプレイされるだろう。これは間違いない。

1位 試練に臨むギデオン
Gideon of the Trials / 試練に臨むギデオン (1)(白)(白)
プレインズウォーカー — ギデオン(Gideon)
[+1]:パーマネント1つを対象とする。あなたの次のターンまで、それが与えるダメージをすべて軽減する。
[0]:ターン終了時まで、試練に臨むギデオンは破壊不能を持つ4/4の人間(Human)・兵士(Soldier)クリーチャーになる。これはプレインズウォーカーでもある。このターン、これに与えられるダメージをすべて軽減する。
[0]:あなたは「あなたがギデオン(Gideon)・プレインズウォーカーをコントロールしているかぎり、あなたはこのゲームに敗北できず、対戦相手はこのゲームに勝利できない。」を持つ紋章を得る。
忠誠値3

 このカードは評価が難しい――《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》がどうなるか分からないとなると特にね。なので今回はカードパワーだけを見て評価したいと思う。ウィザーズが《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》をどう扱っても良いようにね。もし同盟者の方のギデオンがリーガルであり続けるなら、《試練に臨むギデオン》を目にする機会は大幅に減るだろうけど、もし同盟者が禁止されるのなら《キランの真意号》を採用したアグレッシブなデッキにスッポリ収まるだろう。
 《試練に臨むギデオン》は2つの強力な能力を持った強力な3マナPWだ。自身を守る能力と強力な脅威となる能力が、これを素晴らしい3マナカードにしており、おそらく《キランの真意号》の後に出すカードとして相応しい。一旦着地してしまえばコントロールではゲーム序盤に対処できないので、《試練に臨むギデオン》は3マナでありながら、カウンター系のデッキをうんざりさせることができる。
 《ギデオン・ジュラ》の攻撃強制能力に似ている、ゲームに敗北しなくなる奥義はクールなだけでなく、《栄光の幕切れ》と組み合わせることで、アグロデッキでありながら《Time Walk》的な効果を得ることが出来るんだ。多分このエンブレムが《試練に臨むギデオン》を他のフォーマットへ押し上げるんじゃないだろうか。
 
 とまぁこんなところだ。これらが僕が考えるスタンダードで見かけることになるアモンケットのカードトップ10だ。僕が見逃した君のベストカードがもしあったら、下のコメント欄で是非教えてくれ。良い構築を!


翻訳終わり

コメント

シグマ@dj-SIGMA
2017年4月25日22:39

>ひ
最近タイムリーなネタの翻訳は被りを警戒して慎重になってます。あ、今週末この翻訳紹介して良いです?

エノキ
2017年4月26日20:47

>シグマ@dj-SIGMAさん
僕も好きな記事は被らないように大急ぎでやるようにしてますが、中々時間が取れなかったりして難しいですね……
翻訳紹介、大丈夫です。というか光栄です。ありがとうございます。

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