【翻訳】スタンダードで禁止される要因
2017年12月17日 翻訳 コメント (2)みんな大好き金魚より。
以下訳
先週行われた、今年を締めくくるSCG Invitationalでは、2日目進出デッキの65%はティムールか4Cエネルギーで、75%が1ターン目に《霊気との調和》をキャストするデッキだった。これらの数字を見て、最初に頭に浮かんだのがカウブレードだった。当時のスタンダードは一つの最強デッキに支配された環境だった。カウブレードは基本的にはとてもフェアなデッキであり、同時に強力でもあったので、凄まじい使用率を誇った。65%を占めるティムールや4C、75%の調和は多く見えるかもしれないが、カウブレが禁止される前はGP2日目進出デッキの88%が2枚以上の神ジェイスを採用し、70%が石鍛冶を入れていた。
そういう点ではエネルギーデッキはまだカウブレードほどではない(75%も十分凄いが、88%は高すぎて最早信じられないレベルだ)が、プレイヤーの興味は既に次のデッキやアーキタイプに興味が移っている。とはいえローテーションはまだまだ先だし、今のデータを見て、ウィザーズがエネルギーデッキに対して何らかのアクションを起こすだろうかと考えてもしょうがないように思える。とりわけ、6週間後にイクサランの相克がメタを動かせなかったとしたら尚更だ。
とはいえ、エネルギーとその禁止の話が出るたび、決まって「確かにエネルギーはとても強力なデッキだけど、同時にフェアなデッキでもある」という指摘に突き当たる。エネルギーデッキは4ターンキルするわけでもないし、無限コンボでも、特定の壊れカードがあるわけでもない。他のデッキができないくらい山ほど強力なカードを詰め込んでいるだけだ。そしてまさにそれが理由で、さらに多くのプレイヤーが、スタン最強カード群を使えるエネルギーを使うようになっているんだ。
つまりここで問題なのは、フェアデッキでも禁止されうるのか?ということだ。この問いにしっかり答えるためには、もう一段階上の問いに向き合う必要がある。それはスタンで禁止される要因とは何か?ということだ。ウィザーズが行う禁止で最高なのは、禁止する時は必ずその背景を説明する記事を公表してくれることだ。そこでちょっと古い告知を掘り出して、ウィザーズがスタンで禁止を出す理由を分析してみよう。というわけで今回は、ウィザーズがこれまで禁止する際に使った6つの理由を検証し、その後に今のエネルギーデッキはそれらの要件に当てはまるか照らし合わせてみるとする。そうすれば、将来禁止されるかどうか予想する助けになるだろうからね。
①やらかし 頭蓋骨絞め 守護フェリダー カウブレード
スタンダードにおける禁止は、ウィザーズが自身の過ちを認めたということでもある。カードプ-ルが広すぎて全ての相互作用をテスト出来ないエターナルフォーマットと違い、スタンは広範囲にわたってテストされており、新しいセットを作る際のゴールの一つは、禁止されるほど強力なカードを刷らないというものだ(アーロン・フォーサイスがカウブレ禁止時の記事で述べている)。とはいえ、今回僕らはもっと具体的な「やらかし」案件を検証していく。
つい忘れがちだが、ウィザーズ社員は現実の人間で、いくら彼らが安全策をとっているとはいえ、僕らと同じ人間だから時には間違いを犯す時もある。たまに決して印刷され日の目を見るべきではなかったカードを世に送り出してしまったりね。禁止改訂告知を読むと、この項目に明確に当てはまるカードは2つある。
《頭蓋骨絞め》のデザインの変遷は非常に興味深い。開発期間中、この装備品は変更を繰り返し、完全に安全な(それこそアンプレイアブルなほど弱い)カードから、禁止カードにまで変化した。初期デザインがあまりに弱かったので、誰もそのカードの経過を気に留めなかったんだ(例えば、生物のタフネスにマイナス修正を加えるテキストはデベロップの後期に加えられた)。そして何の前触れもなく、最高に壊れたカードがスタンダードに解き放たれた。
もう一つはより最近のカードだ。《守護フェリダー》。ウィザーズはこのカードが持つコンボを見落とした。最初は信じ難かったよ。なぜなら《修復の天使》のようなカードは無限コンボにならないような言葉遣いがされているからだ。しかし、《たなびき織りの天使》(訳注:カラデシュの6マナ天使。CIPで天使を含む他のクリーチャー1体ブリンクできる)にはこういった文言は無く、その数カ月後に、ウィザーズは単体で無限ブリンクするバージョンの人質取りを刷った(もっとも人質取りが問題を起こす前にウィザーズは問題を把握してエラッタを出したけどね)。これはすなわち、近年のセットにおいてウィザーズは無限コンボとなるとどうもマークが薄くなっているということだ。とにかく、ウィザーズはこの失態の責任を取ったし、コピーキャットのような無限コンボは、気付けていれば決して世に出さなかっただろうと言っている。加えて、このフェリダーの失敗(と幾つかの他の問題)によって、ウィザーズはフルタイムの熱心なプレイデザインチームを創設したようだ。守護フェリダーは間違いなく失敗カードだが、それによってウィザーズに変化が訪れたという意味で、長い目で見れば良い失敗だったと言えるだろう。
②圧倒的な支配率 カウブレ―ド(と一連のデッキ)
禁止制限告知にはメタゲームにおける占有率がよく出てくるが、その数字の本当の意味を理解するのは実は非常に困難だ。「2日目進出デッキの88%が《精神を刻む者、ジェイス》を、同じく70%が《石鍛冶の神秘家》を使っていた」カウブレ禁止時、この数字は大々的に取り上げられた。環境に一つのデッキしかないというのは間違いなく健全ではない。しかし、これより小さい数字も禁止制限告知で言及されることがある。たしかに、親和のメタ占有率は禁止理由の一つではあったが、2003年当時の具体的なデータが乏しく、告知では他の要因に焦点を当てている。一方40%でもフェリダー禁止の理由になったし、《霊気池の驚異》禁止の際にも、43%という数字が言及された。しかしメタ占有率が40%というだけでは禁止はならない。というのも、これらの禁止には他の理由が同時に示されているからだ。
全ての禁止制限告知に目を通すと分かるが、確かにメタ占有率だけで禁止はあり得る(カウブレ)が、占有率だけを禁止理由にするには、本当に、本当に高い占有率でなければならないし、禁止の鉄槌を振り下ろす前にウィザーズは十分な時間をとると思われる(メタの動きとプレイヤーの反応をみるために)。とはいえ、40%を超えたら危険ゾーンであることは間違いない。40%だけでは必ずしも禁止とはならないが、40%のメタ占有率と他の要因が合わされば、禁止される可能性は十分ある。
③人口減/楽しくない カウブレード 親和 霊気池の驚異
最初は人口減と「楽しくない」理由を個別に取り扱おうと思っていたが、それらは不可分だということに気付いた。実際、《霊気池の驚異》は唯一、人口減に言及されなかった「楽しくない」ことによる禁止だ。しかし僕が記憶している限り、霊気池全盛期の人口減は一つの問題だったと思う。
ここで今一度、ウィザーズの究極目的は儲けることだと思い出す必要がある。ありがたいことにウィザーズは楽しいMTGのカードを作ることによって利益を生み、そしてそれは僕ら全員を幸せにもする。なので基本的にはWinWinだ。しかし、もしウィザーズが急に思い切った施策をとるとすれば、それは人々がマジックをプレイしなくなった時だ。これはカウブレや親和のように人口減が禁止の要因となった時だけでなく、他の状況でも見られる(例えばローテーションの変更とか。とはいえその時の人口が減った本当の理由は《約束された終末、エムラクール》や《密輸人の回転翼機》かもしれないから、僕らプレイヤーは完全には知りえない)。
おそらく、人口減が最も禁止に影響したのはカウブレだろう。当時の告知で、ウィザーズは「一強メタ」に対してプレイヤーがどう反応するか見たかったという。少なくとも2011年当時は、一強というだけではスタンで禁止するのは不十分だった(とはいえこれはここ数年で変わったようだ。スタンの禁止ラインが少しばかり下がったことを鑑みるとね)。最終的にジェイスと石鍛冶を禁止させたのは、プレイヤーが大会に姿をみせなくなったからで、それによってウィザーズは禁止の鉄槌を振り下ろすに至ったんだ。
ここで問題なのは、人口減というのは、僕らウィザーズ外部の人間には知りえない情報ということだ。ウィザーズならイベントの参加人数を把握できるだろうが、僕らは大抵裏付けの取れない特定の地域の特定のショップの証言しかなく、もし仮にこういった噂話を統合したとしても、根本的な原因に辿り着くのはほぼ不可能だ。スタンダードが不健全だからなのか、それとも他の要因なのか?他の禁止理由が外部からも容易に把握できる(メタゲームや壊れコンボの存在によって)のに対し、人口減は観測し難い。ただこれだけは言える。もしウィザーズに他の何よりも急速な行動を起こさせるものがあるとしたら、それは人口減だ。
④解答不足 カウブレード 霊気池の驚異
ウィザーズは常に学習し、忘れ、そして再学習している。ジェイスが禁止された時、禁止制限告知で示された最も大きな教訓は、スタンには常に《真髄の針》や《忘却の輪》のような回答が必要ということだった。この教訓の成果は『ラヴニカへの回帰』や『テ―ロス』までは見て取れたが、その後からはウィザーズは恒久的な解答の重要性を忘れだした。そして《霊気池の驚異》の禁止制限告知でウィザーズが言うには、霊気池を抑止するためだけに(針のような)解答となるカードを盛り込むことも検討した(しかし結局ウィザーズはその案を退けた)ということだ。ありがたいことにイクサランに《魔術遠眼鏡》が真髄の針的な安全弁として収録された。願わくば今回ばかりはこの教訓が忘れられず、針やリング、そして《強迫》がスタンにありますように。特定のカードをちょっと強くし過ぎてしまった時のセーフティネットとしてね。
⑤コミュニティの抗議 霊気池の驚異
霊気池の禁止制限告知は他全ての禁止制限告知の中でも飛び抜けて特異で興味深い。なぜなら霊気池デッキがいかに強力で、どれほど多くプレイされたかを語るのではなく、前半の丸々半分でそのデッキが実はそれほど強力でも、多過ぎたわけでもないと語っているからだ。MOのデータによると多くの上位デッキは霊気池に対して悪くない勝率を誇っていた。そして確かに43%のメタ占有率は大きい数字だが、既に述べたように、それだけでは禁止にするのは難しい。その告知で述べているのは詰まるところこういうことだ。「我々ウィザーズとしては、霊気池はデータ的に問題ないと思いますが、あなた方コミュニティはそうは思っていないようなので、皆さんのために禁止します」
ある意味、これは素晴らしいことだ。僕らはウィザーズに耳を傾けてもらいたい。そしてウィザーズがスタンで(しぶしぶ)禁止したという事実は、ウィザーズがコミュニティの声を聞いているという明確なサインだ。他方で霊気池の告知は、コミュニティが延々と大きな声で不平を垂れ流し続ければ、ウィザーズは動くという認識に繋がりかねない。僕らユーザーコミュニティは今や、不平を叫び続ければ要求が通るということを知ってしまったから、これからさらに頻繁にその武器を使うだろう。そして結果的に、ノイズを取り払って本当に重要な要望を探し当てるのが困難になり(カード在庫買い占め問題のようにね。それはゲームにとって差し迫った危機なのに全く改善する兆しがない)、重要でないばかりか、不合理な要望を拾ってしまうかもしれない(アモンケット発売から数週間くらいは、栄光をもたらすものを禁止しろという声があった)。基本的に、ウィザーズがコミュニティの声に耳を傾けるのは素晴らしいことだが、僕らはこの力を良いことに使うように気を付け、そして本当に重要な問題にだけ声を割くようにすべきだ。でないとウィザーズはまとめて無視するようになってしまうかもしれない。
⑥メタゲームに多様性をもたらすため 約束された終末、エムラクール 密輸人の回転翼機 反射魔道士
おそらく最も理解しがたい禁止は、昨冬に《約束された終末、エムラクール》《密輸人の回転翼機》《反射魔道士》が約束された終末を迎えた時だろう。当時のメタゲームを見ても、いずれの数字も壊れているとは言い難い。最もプレイされた青白フラッシュのメタ占有率は約30%で、それにエムラ、ヘリデッキが続く。特定のカードが壊れていたり(《頭蓋骨絞め》や《守護フェリダー》、もしくは《霊気池の驚異》)、メタ占有率が飛び抜けて高かったり(カウブレード、親和)、人口が大幅に減ったなら、禁止理由を理解するのはたやすい。しかし、「不均衡」「楽しさ」「創造的」といった言葉はあまりに抽象的で、それらの言葉をマジックに関する特定の意味に結び付けるのは不可能に近い。ましてそういった言葉をスタンで禁止する理由に結び付けるなんてもってのほかだ。
これはエムラヘリ反射禁止が間違いだったということではない。告知の残り半分を読めば、エムラとヘリは「やらかし」カテゴリーにも分類できることが分かるだろう。とはいえ、これらのカードがどれほど間違っていたのかは、もしそれの潜在能力を理解していたら世に出さなかったとウィザーズに言わしめた《頭蓋骨絞め》や《守護フェリダー》ほど明らかではない。むしろヘリとエムラは意図的に非常に強力にデザインされている(それはウィザーズのカード製作における目的の大部分だ)。それらのカードはたまたま少し強すぎただけだ。特にスタンにそれらへの回答が乏しかったということを鑑みるとね。
つまるところ、禁止される要因に関して、エムラヘリ反射の告知から曖昧な不確定性以外の意味を読み取るのは難しい。ある意味これは良いことだ:ウィザーズはスタンダードの異常事態に気付き(告知では触れられていないが、巷では人口減によりローテ変更に至ったという噂だ)行動を起こしたんだからね。一方で、従来の禁止要件には明らかに当てはまらないカードがスタンで禁止されたというのはひどく奇妙なことだ。
まとめ
これまでの分析から引き出される教訓はおそらく、ここ数年でスタンにおける禁止要因は大きく変わったということだ。親和とカウブレの禁止は両方ともきちんと分析できる:両デッキともメタ占有率が高すぎたし、プレイヤーはマジックを楽しめず、人口は減り、そしてウィザーズはキーカードを禁止した。単純明快だ。
一方で近年の禁止はかつての禁止基準をきっちりと満たすわけではない。ウィザーズが間違いを犯したから、《守護フェリダー》の禁止は《頭蓋骨絞め》の延長線上にあるが、最近の記事でウィザーズ曰く、フェリダーは従来の禁止要件には当てはまらず(最も顕著なのは霊気池で、それの禁止告知では霊気池はそれほど支配的でも強力でもないということが語られている)しかし結局他の理由で禁止された。
楽しくなく、人口を減らすような明らかに環境を支配しているデッキは常に禁止されうるし、これからは常にそうなりそうだ。しかしそうなると、これまで以上に分析し難い第二の禁止候補グループが現れることになる。《霊気との調和》禁止に対する有力な反論として、調和はただの、かつてプレイアブルですらなかった《地勢》の亜種だというものがある。しかし思い出してほしい。《反射魔道士》はただの《霊気の達人》の亜種で、これもまたスタン時代は強力でもプレイアブルでもなかった。しかしだからといって青白3マナのアンコモンが禁止を免れたわけではない。エネルギーに関しては、これまで論じてきた禁止カテゴリーに当てはまるかどうかだけ、今回は検証して終わりにしよう。
エネルギーは禁止されうるのか?
①やらかし:エネルギーは失敗なのか?多分。しかしもし過ちであるなら、絞めやフェリダーというより、親和やヘリのような、新しいメカニズムを単に強くし過ぎたということになる。ウィザーズはエネルギーを強力にしたかった?イエス。間違いない。これほどまでに強力にしたかった?ノー。おそらく違う。が、特定の壊れコンボを見逃したり(守護フェリダー)、特定のカードを強力にし過ぎた(頭蓋骨絞め)というわけじゃないから、少なくとも従来の基準なら、エネルギーが禁止されるとは言い難い。
②支配率:これまでのおさらいをしよう。70~88%のメタ占有率であれば、その理由だけで禁止されうる(カウブレ)が、40%では(霊気池)他の理由なしに禁止するのは難しい。ウィザーズがMOのデータを絞り、直近の大きな大会が3人チームの内2人は非エネルギーデッキを使うチームスタンのWMCだったから、詳細なメタゲームの数字を得るのは難しいが、SCG Invitationalの数字を見ると、エネルギーは2日目進出デッキの60~75%であり、これは「それだけでは禁止できない」40%とそれだけで禁止されうる70~88%の中間だ。60%強のメタ占有率でエネルギーデッキを禁止できるかは断言できない。もしかしたら可能かもしれないし、不可能かもしれない。しかし確実に言えるのは、一度40%のラインを超え(続け)ると、そこは薄氷の上であり、たとえ些細なものでもあと一つか二つ要因があれば、禁止される可能性がある。つまり、少なくともメタ占有率という物差しにおいては、エネルギーは既に禁止できる状態と禁止に近い状態の間のどこかであると言える。
③人口減/楽しくない:既に述べたように、プレイ人口は非常に測定し難い。スタン人口が自分の周りで減少しているという人がいても、サンプルとして小さすぎるし、特定地域で何が起きているかなんて確かめようがないから、あまり意味がないんだ。スタンの大会人口を正確に測定するために、ツイッターで非科学的な調査をしたんだけど、多くの人がイクサランが発売されてから悪くなっていると答えた一方で、全体の約半数が「結果だけ見る」をクリックしたから、あまり参考にならなかった。
楽しさについて。そもそも楽しさ自体が主観的という問題もあるが、まだ人々は霊気池やフェリダー、エムラのようにはエネルギーについて文句を言っていない。なのでもしかしたら皆50%の確率でエネルギーデッキに当たることに関してはそれほど気にしていないのかもしれない。従来の感覚で言えば、4ターン目にイカれたことをされて負けるなんてことはないからね。結局エネルギーがこれらの評価値に当てはまっているか判断するのは難しいが、人口が減っているというデータをウィザーズが有しているなら、禁止につながるかもしれない。
④解答不足:この点に関しては、議論の余地すらないと思う。ウィザーズはもっとエネルギーに触れるカードを刷るべきだった。マーク・ローズウォーターが自身のブログで言うには、「もしやり直せるなら、対戦相手のエネルギーに干渉する手段をもっと作っただろう」とのことだ。
⑤コミュニティの抗議:最近の他の禁止とエネルギーとではこれが最も違う点だと思う。霊気池やフェリダーの時は多くの人が憤慨し文句を言っていたが、エネルギーに関しては意見が割れているからだ。エネルギーが嫌いな人もいる一方で、それを全く問題ないと思っている人もいて、コミュニティの声がウィザーズに行動を起こさせるような状態には至っていない。もちろん、これはいくらか主観的な見方だが、僕が記憶している限り霊気池やフェリダーの時は、プロコミュニティ含む幅広いSNSで常に禁止が議論されていた。エネルギーに関する議論はあるが、近年の禁止カードの時とは状況がかなり違うということだ。これが、人々がエネルギーを気にかけていないからなのか、それともただに禁止に疲れたからなのか(もしくはその両方なのか)は分からないが、少なくとも今のところ、エネルギーを禁止させるにはコミュニティの声が十分ではないように思う。
⑥メタゲームに多様性をもたらすため:今のスタン環境はもっと多様になれるのか?イエス。今のスタンはエムラやヘリ、反射魔道士が禁止されたときよりも多様性がないのか?多分。これはエネルギー禁止の理由になるか?分からない。「メタゲームに多様性をもたらすため」はとても曖昧で抽象的な禁止基準で、間違いなく全てのスタン環境に当てはまるだろう。全てのメタゲームはもっと多様に、楽しくなる可能性を秘めている。これは最高に愛されている環境にも最悪の環境にも当てはまることだ。基本的に、この項目はあまりに広すぎて、他の禁止においてもエネルギーに限定しても、何も意味していないに等しい。しかし、全ての禁止が理解できるものや、分類しやすいカテゴリーに入るわけでもないということを思い出させてはくれる。今分かっているのは、ウィザーズはエネルギーだけでなく、ハゾレトや秘密の備蓄品も禁止しようとしているかもしれないってことだ。ふんわりした理由でね。
では、これらのことからエネルギー禁止に関して分かることは?今利用できる情報に基づくと、メタ占有率に解答不足やもしくは少し「やらかし」を認めることが加わると、ウィザーズは簡単に禁止を正当化できる。一方でウィザーズは同じくらい簡単に「禁止はなし」に靡く可能性もある。コミュニティの抗議がそれほど多くないし、エネルギーは必ずしも4ターン目に相手を倒してしまうフェリダーや霊気池のような、楽しくなかったりアンフェアなデッキではないという理由でね。すなわち、エネルギーが次の告知で禁止される可能性は半々で、次の禁止を逃れ、相克がリリースされ、環境が何も変わらなかったら禁止の可能性は高まる。
どんな状況にも有効なのがプレイ人口だ。もし人口が減れば(それに関してウィザーズ外部からは噂程度の証拠しか入手できない)、エネルギー禁止の可能性は大幅に上がる(もし禁止されなかったら驚くほど)だろう。高いメタ占有率と人口減が合わされば、カウブレや親和の時のように従来の基準でエネルギーが禁止される。もし人口が減少しなかったら、禁止の可能性は低くなる。来月もしくは2ヶ月以内に何か(コミュニティの激しい抗議やメタを席巻するとか)が起こらない限りはね。
結論
とにかく、今回はこんなところだ。君の行きつけのショップのスタン人口はどうかな?エネルギーやスタンダード環境についてどう思う?コメントで教えてくれ!いつものように、Twitter@SaffronOliveやSaffronOlive@MTGGoldfish.com宛でも大丈夫だ。
訳終わり
原文:What Makes a Card Bannable in Standard? by SaffronOlive
https://www.mtggoldfish.com/articles/what-makes-a-card-bannable-in-standard
以下訳
先週行われた、今年を締めくくるSCG Invitationalでは、2日目進出デッキの65%はティムールか4Cエネルギーで、75%が1ターン目に《霊気との調和》をキャストするデッキだった。これらの数字を見て、最初に頭に浮かんだのがカウブレードだった。当時のスタンダードは一つの最強デッキに支配された環境だった。カウブレードは基本的にはとてもフェアなデッキであり、同時に強力でもあったので、凄まじい使用率を誇った。65%を占めるティムールや4C、75%の調和は多く見えるかもしれないが、カウブレが禁止される前はGP2日目進出デッキの88%が2枚以上の神ジェイスを採用し、70%が石鍛冶を入れていた。
そういう点ではエネルギーデッキはまだカウブレードほどではない(75%も十分凄いが、88%は高すぎて最早信じられないレベルだ)が、プレイヤーの興味は既に次のデッキやアーキタイプに興味が移っている。とはいえローテーションはまだまだ先だし、今のデータを見て、ウィザーズがエネルギーデッキに対して何らかのアクションを起こすだろうかと考えてもしょうがないように思える。とりわけ、6週間後にイクサランの相克がメタを動かせなかったとしたら尚更だ。
とはいえ、エネルギーとその禁止の話が出るたび、決まって「確かにエネルギーはとても強力なデッキだけど、同時にフェアなデッキでもある」という指摘に突き当たる。エネルギーデッキは4ターンキルするわけでもないし、無限コンボでも、特定の壊れカードがあるわけでもない。他のデッキができないくらい山ほど強力なカードを詰め込んでいるだけだ。そしてまさにそれが理由で、さらに多くのプレイヤーが、スタン最強カード群を使えるエネルギーを使うようになっているんだ。
つまりここで問題なのは、フェアデッキでも禁止されうるのか?ということだ。この問いにしっかり答えるためには、もう一段階上の問いに向き合う必要がある。それはスタンで禁止される要因とは何か?ということだ。ウィザーズが行う禁止で最高なのは、禁止する時は必ずその背景を説明する記事を公表してくれることだ。そこでちょっと古い告知を掘り出して、ウィザーズがスタンで禁止を出す理由を分析してみよう。というわけで今回は、ウィザーズがこれまで禁止する際に使った6つの理由を検証し、その後に今のエネルギーデッキはそれらの要件に当てはまるか照らし合わせてみるとする。そうすれば、将来禁止されるかどうか予想する助けになるだろうからね。
①やらかし 頭蓋骨絞め 守護フェリダー カウブレード
スタンダードにおける禁止は、ウィザーズが自身の過ちを認めたということでもある。カードプ-ルが広すぎて全ての相互作用をテスト出来ないエターナルフォーマットと違い、スタンは広範囲にわたってテストされており、新しいセットを作る際のゴールの一つは、禁止されるほど強力なカードを刷らないというものだ(アーロン・フォーサイスがカウブレ禁止時の記事で述べている)。とはいえ、今回僕らはもっと具体的な「やらかし」案件を検証していく。
つい忘れがちだが、ウィザーズ社員は現実の人間で、いくら彼らが安全策をとっているとはいえ、僕らと同じ人間だから時には間違いを犯す時もある。たまに決して印刷され日の目を見るべきではなかったカードを世に送り出してしまったりね。禁止改訂告知を読むと、この項目に明確に当てはまるカードは2つある。
頭蓋骨絞め (1)
アーティファクト — 装備品
装備しているクリーチャーは+1/-1の修整を受ける。
装備しているクリーチャーが死亡するたび、カードを2枚引く。
装備(1)((1):あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それにつける。装備はソーサリーとしてのみ行う。このカードはつけられていない状態で戦場に出て、クリーチャーが戦場を離れても戦場に残る。)
《頭蓋骨絞め》のデザインの変遷は非常に興味深い。開発期間中、この装備品は変更を繰り返し、完全に安全な(それこそアンプレイアブルなほど弱い)カードから、禁止カードにまで変化した。初期デザインがあまりに弱かったので、誰もそのカードの経過を気に留めなかったんだ(例えば、生物のタフネスにマイナス修正を加えるテキストはデベロップの後期に加えられた)。そして何の前触れもなく、最高に壊れたカードがスタンダードに解き放たれた。
守護フェリダー (3)(白)
クリーチャー — 猫 ビースト
守護フェリダーが戦場に出たとき、あなたがコントロールする他のパーマネント1つを対象とする。あなたはそれを追放してもよい。そうしたなら、その後そのカードをオーナーのコントロール下で戦場に戻す。
1/4
もう一つはより最近のカードだ。《守護フェリダー》。ウィザーズはこのカードが持つコンボを見落とした。最初は信じ難かったよ。なぜなら《修復の天使》のようなカードは無限コンボにならないような言葉遣いがされているからだ。しかし、《たなびき織りの天使》(訳注:カラデシュの6マナ天使。CIPで天使を含む他のクリーチャー1体ブリンクできる)にはこういった文言は無く、その数カ月後に、ウィザーズは単体で無限ブリンクするバージョンの人質取りを刷った(もっとも人質取りが問題を起こす前にウィザーズは問題を把握してエラッタを出したけどね)。これはすなわち、近年のセットにおいてウィザーズは無限コンボとなるとどうもマークが薄くなっているということだ。とにかく、ウィザーズはこの失態の責任を取ったし、コピーキャットのような無限コンボは、気付けていれば決して世に出さなかっただろうと言っている。加えて、このフェリダーの失敗(と幾つかの他の問題)によって、ウィザーズはフルタイムの熱心なプレイデザインチームを創設したようだ。守護フェリダーは間違いなく失敗カードだが、それによってウィザーズに変化が訪れたという意味で、長い目で見れば良い失敗だったと言えるだろう。
②圧倒的な支配率 カウブレ―ド(と一連のデッキ)
禁止制限告知にはメタゲームにおける占有率がよく出てくるが、その数字の本当の意味を理解するのは実は非常に困難だ。「2日目進出デッキの88%が《精神を刻む者、ジェイス》を、同じく70%が《石鍛冶の神秘家》を使っていた」カウブレ禁止時、この数字は大々的に取り上げられた。環境に一つのデッキしかないというのは間違いなく健全ではない。しかし、これより小さい数字も禁止制限告知で言及されることがある。たしかに、親和のメタ占有率は禁止理由の一つではあったが、2003年当時の具体的なデータが乏しく、告知では他の要因に焦点を当てている。一方40%でもフェリダー禁止の理由になったし、《霊気池の驚異》禁止の際にも、43%という数字が言及された。しかしメタ占有率が40%というだけでは禁止はならない。というのも、これらの禁止には他の理由が同時に示されているからだ。
精神を刻む者、ジェイス (2)(青)(青)
伝説のプレインズウォーカー — ジェイス
[+2]:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーのライブラリーの一番上のカードを見る。あなたはそのカードを、そのプレイヤーのライブラリーの一番下に置いてもよい。
[0]:カードを3枚引く。その後、あなたの手札のカード2枚をあなたのライブラリーの一番上に望む順番で置く。
[-1]:クリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
[-12]:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーのライブラリーからすべてのカードを追放する。その後、そのプレイヤーは自分の手札を自分のライブラリーに加えて切り直す。
忠誠値3
全ての禁止制限告知に目を通すと分かるが、確かにメタ占有率だけで禁止はあり得る(カウブレ)が、占有率だけを禁止理由にするには、本当に、本当に高い占有率でなければならないし、禁止の鉄槌を振り下ろす前にウィザーズは十分な時間をとると思われる(メタの動きとプレイヤーの反応をみるために)。とはいえ、40%を超えたら危険ゾーンであることは間違いない。40%だけでは必ずしも禁止とはならないが、40%のメタ占有率と他の要因が合わされば、禁止される可能性は十分ある。
③人口減/楽しくない カウブレード 親和 霊気池の驚異
最初は人口減と「楽しくない」理由を個別に取り扱おうと思っていたが、それらは不可分だということに気付いた。実際、《霊気池の驚異》は唯一、人口減に言及されなかった「楽しくない」ことによる禁止だ。しかし僕が記憶している限り、霊気池全盛期の人口減は一つの問題だったと思う。
ここで今一度、ウィザーズの究極目的は儲けることだと思い出す必要がある。ありがたいことにウィザーズは楽しいMTGのカードを作ることによって利益を生み、そしてそれは僕ら全員を幸せにもする。なので基本的にはWinWinだ。しかし、もしウィザーズが急に思い切った施策をとるとすれば、それは人々がマジックをプレイしなくなった時だ。これはカウブレや親和のように人口減が禁止の要因となった時だけでなく、他の状況でも見られる(例えばローテーションの変更とか。とはいえその時の人口が減った本当の理由は《約束された終末、エムラクール》や《密輸人の回転翼機》かもしれないから、僕らプレイヤーは完全には知りえない)。
おそらく、人口減が最も禁止に影響したのはカウブレだろう。当時の告知で、ウィザーズは「一強メタ」に対してプレイヤーがどう反応するか見たかったという。少なくとも2011年当時は、一強というだけではスタンで禁止するのは不十分だった(とはいえこれはここ数年で変わったようだ。スタンの禁止ラインが少しばかり下がったことを鑑みるとね)。最終的にジェイスと石鍛冶を禁止させたのは、プレイヤーが大会に姿をみせなくなったからで、それによってウィザーズは禁止の鉄槌を振り下ろすに至ったんだ。
ここで問題なのは、人口減というのは、僕らウィザーズ外部の人間には知りえない情報ということだ。ウィザーズならイベントの参加人数を把握できるだろうが、僕らは大抵裏付けの取れない特定の地域の特定のショップの証言しかなく、もし仮にこういった噂話を統合したとしても、根本的な原因に辿り着くのはほぼ不可能だ。スタンダードが不健全だからなのか、それとも他の要因なのか?他の禁止理由が外部からも容易に把握できる(メタゲームや壊れコンボの存在によって)のに対し、人口減は観測し難い。ただこれだけは言える。もしウィザーズに他の何よりも急速な行動を起こさせるものがあるとしたら、それは人口減だ。
④解答不足 カウブレード 霊気池の驚異
ウィザーズは常に学習し、忘れ、そして再学習している。ジェイスが禁止された時、禁止制限告知で示された最も大きな教訓は、スタンには常に《真髄の針》や《忘却の輪》のような回答が必要ということだった。この教訓の成果は『ラヴニカへの回帰』や『テ―ロス』までは見て取れたが、その後からはウィザーズは恒久的な解答の重要性を忘れだした。そして《霊気池の驚異》の禁止制限告知でウィザーズが言うには、霊気池を抑止するためだけに(針のような)解答となるカードを盛り込むことも検討した(しかし結局ウィザーズはその案を退けた)ということだ。ありがたいことにイクサランに《魔術遠眼鏡》が真髄の針的な安全弁として収録された。願わくば今回ばかりはこの教訓が忘れられず、針やリング、そして《強迫》がスタンにありますように。特定のカードをちょっと強くし過ぎてしまった時のセーフティネットとしてね。
⑤コミュニティの抗議 霊気池の驚異
霊気池の禁止制限告知は他全ての禁止制限告知の中でも飛び抜けて特異で興味深い。なぜなら霊気池デッキがいかに強力で、どれほど多くプレイされたかを語るのではなく、前半の丸々半分でそのデッキが実はそれほど強力でも、多過ぎたわけでもないと語っているからだ。MOのデータによると多くの上位デッキは霊気池に対して悪くない勝率を誇っていた。そして確かに43%のメタ占有率は大きい数字だが、既に述べたように、それだけでは禁止にするのは難しい。その告知で述べているのは詰まるところこういうことだ。「我々ウィザーズとしては、霊気池はデータ的に問題ないと思いますが、あなた方コミュニティはそうは思っていないようなので、皆さんのために禁止します」
霊気池の驚異 (4)
伝説のアーティファクト
あなたがコントロールするパーマネントが1つ墓地に置かれるたび、あなたは(E)(エネルギー・カウンター1個)を得る。
(T),(E)(E)(E)(E)(E)(E)を支払う:あなたのライブラリーの一番上からカードを6枚見る。あなたはその中からカード1枚を、そのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。
ある意味、これは素晴らしいことだ。僕らはウィザーズに耳を傾けてもらいたい。そしてウィザーズがスタンで(しぶしぶ)禁止したという事実は、ウィザーズがコミュニティの声を聞いているという明確なサインだ。他方で霊気池の告知は、コミュニティが延々と大きな声で不平を垂れ流し続ければ、ウィザーズは動くという認識に繋がりかねない。僕らユーザーコミュニティは今や、不平を叫び続ければ要求が通るということを知ってしまったから、これからさらに頻繁にその武器を使うだろう。そして結果的に、ノイズを取り払って本当に重要な要望を探し当てるのが困難になり(カード在庫買い占め問題のようにね。それはゲームにとって差し迫った危機なのに全く改善する兆しがない)、重要でないばかりか、不合理な要望を拾ってしまうかもしれない(アモンケット発売から数週間くらいは、栄光をもたらすものを禁止しろという声があった)。基本的に、ウィザーズがコミュニティの声に耳を傾けるのは素晴らしいことだが、僕らはこの力を良いことに使うように気を付け、そして本当に重要な問題にだけ声を割くようにすべきだ。でないとウィザーズはまとめて無視するようになってしまうかもしれない。
⑥メタゲームに多様性をもたらすため 約束された終末、エムラクール 密輸人の回転翼機 反射魔道士
おそらく最も理解しがたい禁止は、昨冬に《約束された終末、エムラクール》《密輸人の回転翼機》《反射魔道士》が約束された終末を迎えた時だろう。当時のメタゲームを見ても、いずれの数字も壊れているとは言い難い。最もプレイされた青白フラッシュのメタ占有率は約30%で、それにエムラ、ヘリデッキが続く。特定のカードが壊れていたり(《頭蓋骨絞め》や《守護フェリダー》、もしくは《霊気池の驚異》)、メタ占有率が飛び抜けて高かったり(カウブレード、親和)、人口が大幅に減ったなら、禁止理由を理解するのはたやすい。しかし、「不均衡」「楽しさ」「創造的」といった言葉はあまりに抽象的で、それらの言葉をマジックに関する特定の意味に結び付けるのは不可能に近い。ましてそういった言葉をスタンで禁止する理由に結び付けるなんてもってのほかだ。
約束された終末、エムラクール (13)
伝説のクリーチャー — エルドラージ
約束された終末、エムラクールを唱えるためのコストは、あなたの墓地にあるカードに含まれるカード・タイプ1種類につき(1)少なくなる。
あなたが約束された終末、エムラクールを唱えたとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーの次のターンの間、あなたはそのプレイヤーのコントロールを得る。そのターンに続いて、そのプレイヤーは追加の1ターンを得る。
飛行、トランプル、プロテクション(インスタント)
13/13
密輸人の回転翼機 (2)
アーティファクト — 機体
飛行
密輸人の回転翼機が攻撃かブロックするたび、あなたはカードを1枚引いてもよい。そうしたなら、カード1枚を捨てる。
搭乗1(あなたがコントロールする望む数のクリーチャーを、パワーの合計が1以上になるように選んでタップする:ターン終了時まで、この機体はアーティファクト・クリーチャーになる。)
3/3
反射魔道士 (1)(白)(青)
クリーチャー — 人間ウィザード
反射魔道士が戦場に出たとき、対戦相手がコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。あなたの次のターンまで、そのクリーチャーのオーナーはそれと同じ名前を持つ呪文を唱えられない。
2/3
これはエムラヘリ反射禁止が間違いだったということではない。告知の残り半分を読めば、エムラとヘリは「やらかし」カテゴリーにも分類できることが分かるだろう。とはいえ、これらのカードがどれほど間違っていたのかは、もしそれの潜在能力を理解していたら世に出さなかったとウィザーズに言わしめた《頭蓋骨絞め》や《守護フェリダー》ほど明らかではない。むしろヘリとエムラは意図的に非常に強力にデザインされている(それはウィザーズのカード製作における目的の大部分だ)。それらのカードはたまたま少し強すぎただけだ。特にスタンにそれらへの回答が乏しかったということを鑑みるとね。
つまるところ、禁止される要因に関して、エムラヘリ反射の告知から曖昧な不確定性以外の意味を読み取るのは難しい。ある意味これは良いことだ:ウィザーズはスタンダードの異常事態に気付き(告知では触れられていないが、巷では人口減によりローテ変更に至ったという噂だ)行動を起こしたんだからね。一方で、従来の禁止要件には明らかに当てはまらないカードがスタンで禁止されたというのはひどく奇妙なことだ。
まとめ
これまでの分析から引き出される教訓はおそらく、ここ数年でスタンにおける禁止要因は大きく変わったということだ。親和とカウブレの禁止は両方ともきちんと分析できる:両デッキともメタ占有率が高すぎたし、プレイヤーはマジックを楽しめず、人口は減り、そしてウィザーズはキーカードを禁止した。単純明快だ。
一方で近年の禁止はかつての禁止基準をきっちりと満たすわけではない。ウィザーズが間違いを犯したから、《守護フェリダー》の禁止は《頭蓋骨絞め》の延長線上にあるが、最近の記事でウィザーズ曰く、フェリダーは従来の禁止要件には当てはまらず(最も顕著なのは霊気池で、それの禁止告知では霊気池はそれほど支配的でも強力でもないということが語られている)しかし結局他の理由で禁止された。
霊気との調和 (緑)
ソーサリー
あなたのライブラリーから基本土地カード1枚を探し、それを公開してあなたの手札に加え、その後あなたのライブラリーを切り直す。あなたは(E)(E)(エネルギー・カウンター2個)を得る。
地勢 (緑)
ソーサリー
あなたのライブラリーから、基本土地カードを1枚探す。それを公開し、あなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリーを切り直す。
反射魔道士 (1)(白)(青)
クリーチャー — 人間 ウィザード
反射魔道士が戦場に出たとき、対戦相手がコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。あなたの次のターンまで、そのクリーチャーのオーナーはそれと同じ名前を持つ呪文を唱えられない。
2/3
霊気の達人 (1)(青)(青)
クリーチャー — 人間ウィザード
霊気の達人が戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
2/2
楽しくなく、人口を減らすような明らかに環境を支配しているデッキは常に禁止されうるし、これからは常にそうなりそうだ。しかしそうなると、これまで以上に分析し難い第二の禁止候補グループが現れることになる。《霊気との調和》禁止に対する有力な反論として、調和はただの、かつてプレイアブルですらなかった《地勢》の亜種だというものがある。しかし思い出してほしい。《反射魔道士》はただの《霊気の達人》の亜種で、これもまたスタン時代は強力でもプレイアブルでもなかった。しかしだからといって青白3マナのアンコモンが禁止を免れたわけではない。エネルギーに関しては、これまで論じてきた禁止カテゴリーに当てはまるかどうかだけ、今回は検証して終わりにしよう。
エネルギーは禁止されうるのか?
①やらかし:エネルギーは失敗なのか?多分。しかしもし過ちであるなら、絞めやフェリダーというより、親和やヘリのような、新しいメカニズムを単に強くし過ぎたということになる。ウィザーズはエネルギーを強力にしたかった?イエス。間違いない。これほどまでに強力にしたかった?ノー。おそらく違う。が、特定の壊れコンボを見逃したり(守護フェリダー)、特定のカードを強力にし過ぎた(頭蓋骨絞め)というわけじゃないから、少なくとも従来の基準なら、エネルギーが禁止されるとは言い難い。
②支配率:これまでのおさらいをしよう。70~88%のメタ占有率であれば、その理由だけで禁止されうる(カウブレ)が、40%では(霊気池)他の理由なしに禁止するのは難しい。ウィザーズがMOのデータを絞り、直近の大きな大会が3人チームの内2人は非エネルギーデッキを使うチームスタンのWMCだったから、詳細なメタゲームの数字を得るのは難しいが、SCG Invitationalの数字を見ると、エネルギーは2日目進出デッキの60~75%であり、これは「それだけでは禁止できない」40%とそれだけで禁止されうる70~88%の中間だ。60%強のメタ占有率でエネルギーデッキを禁止できるかは断言できない。もしかしたら可能かもしれないし、不可能かもしれない。しかし確実に言えるのは、一度40%のラインを超え(続け)ると、そこは薄氷の上であり、たとえ些細なものでもあと一つか二つ要因があれば、禁止される可能性がある。つまり、少なくともメタ占有率という物差しにおいては、エネルギーは既に禁止できる状態と禁止に近い状態の間のどこかであると言える。
③人口減/楽しくない:既に述べたように、プレイ人口は非常に測定し難い。スタン人口が自分の周りで減少しているという人がいても、サンプルとして小さすぎるし、特定地域で何が起きているかなんて確かめようがないから、あまり意味がないんだ。スタンの大会人口を正確に測定するために、ツイッターで非科学的な調査をしたんだけど、多くの人がイクサランが発売されてから悪くなっていると答えた一方で、全体の約半数が「結果だけ見る」をクリックしたから、あまり参考にならなかった。
楽しさについて。そもそも楽しさ自体が主観的という問題もあるが、まだ人々は霊気池やフェリダー、エムラのようにはエネルギーについて文句を言っていない。なのでもしかしたら皆50%の確率でエネルギーデッキに当たることに関してはそれほど気にしていないのかもしれない。従来の感覚で言えば、4ターン目にイカれたことをされて負けるなんてことはないからね。結局エネルギーがこれらの評価値に当てはまっているか判断するのは難しいが、人口が減っているというデータをウィザーズが有しているなら、禁止につながるかもしれない。
④解答不足:この点に関しては、議論の余地すらないと思う。ウィザーズはもっとエネルギーに触れるカードを刷るべきだった。マーク・ローズウォーターが自身のブログで言うには、「もしやり直せるなら、対戦相手のエネルギーに干渉する手段をもっと作っただろう」とのことだ。
⑤コミュニティの抗議:最近の他の禁止とエネルギーとではこれが最も違う点だと思う。霊気池やフェリダーの時は多くの人が憤慨し文句を言っていたが、エネルギーに関しては意見が割れているからだ。エネルギーが嫌いな人もいる一方で、それを全く問題ないと思っている人もいて、コミュニティの声がウィザーズに行動を起こさせるような状態には至っていない。もちろん、これはいくらか主観的な見方だが、僕が記憶している限り霊気池やフェリダーの時は、プロコミュニティ含む幅広いSNSで常に禁止が議論されていた。エネルギーに関する議論はあるが、近年の禁止カードの時とは状況がかなり違うということだ。これが、人々がエネルギーを気にかけていないからなのか、それともただに禁止に疲れたからなのか(もしくはその両方なのか)は分からないが、少なくとも今のところ、エネルギーを禁止させるにはコミュニティの声が十分ではないように思う。
⑥メタゲームに多様性をもたらすため:今のスタン環境はもっと多様になれるのか?イエス。今のスタンはエムラやヘリ、反射魔道士が禁止されたときよりも多様性がないのか?多分。これはエネルギー禁止の理由になるか?分からない。「メタゲームに多様性をもたらすため」はとても曖昧で抽象的な禁止基準で、間違いなく全てのスタン環境に当てはまるだろう。全てのメタゲームはもっと多様に、楽しくなる可能性を秘めている。これは最高に愛されている環境にも最悪の環境にも当てはまることだ。基本的に、この項目はあまりに広すぎて、他の禁止においてもエネルギーに限定しても、何も意味していないに等しい。しかし、全ての禁止が理解できるものや、分類しやすいカテゴリーに入るわけでもないということを思い出させてはくれる。今分かっているのは、ウィザーズはエネルギーだけでなく、ハゾレトや秘密の備蓄品も禁止しようとしているかもしれないってことだ。ふんわりした理由でね。
では、これらのことからエネルギー禁止に関して分かることは?今利用できる情報に基づくと、メタ占有率に解答不足やもしくは少し「やらかし」を認めることが加わると、ウィザーズは簡単に禁止を正当化できる。一方でウィザーズは同じくらい簡単に「禁止はなし」に靡く可能性もある。コミュニティの抗議がそれほど多くないし、エネルギーは必ずしも4ターン目に相手を倒してしまうフェリダーや霊気池のような、楽しくなかったりアンフェアなデッキではないという理由でね。すなわち、エネルギーが次の告知で禁止される可能性は半々で、次の禁止を逃れ、相克がリリースされ、環境が何も変わらなかったら禁止の可能性は高まる。
どんな状況にも有効なのがプレイ人口だ。もし人口が減れば(それに関してウィザーズ外部からは噂程度の証拠しか入手できない)、エネルギー禁止の可能性は大幅に上がる(もし禁止されなかったら驚くほど)だろう。高いメタ占有率と人口減が合わされば、カウブレや親和の時のように従来の基準でエネルギーが禁止される。もし人口が減少しなかったら、禁止の可能性は低くなる。来月もしくは2ヶ月以内に何か(コミュニティの激しい抗議やメタを席巻するとか)が起こらない限りはね。
結論
とにかく、今回はこんなところだ。君の行きつけのショップのスタン人口はどうかな?エネルギーやスタンダード環境についてどう思う?コメントで教えてくれ!いつものように、Twitter@SaffronOliveやSaffronOlive@MTGGoldfish.com宛でも大丈夫だ。
訳終わり
コメント
でもこういう記事が1番読まれるんですよねwwwww
嗜好は細分化しがちですが、不満はある程度コンセンサスがとれますからね!(言い訳)
真面目な話、ポジティブなコンテンツは公式含め大量に供給されていますが、ネガはそもそもの絶対数が少ないので需要が高くなるのかなと。